救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:85

3つの小児頭部外傷ルール、診断精度が高いのはどれ?/Lancet

 頭部外傷の小児において、CT検査の適応を臨床的に判断する3つのルール(PECARN、CATCH、CHALICE)は、デザインされたとおりに使用された場合の感度は高いことが、オーストラリア・王立小児病院のFranz E Babl氏らが行った前向きコホート研究(APHIRST)による検証の結果、明らかになった。これら3つのルールは、CT検査を行うべき頭部外傷患児の同定に役立つが、これまで外部検証や多施設大規模比較試験は行われていなかった。著者は、「今回の結果は、ルールの導入を検討している医師にとって、重要な出発点となる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年4月11日号掲載の報告。

日本における急性心筋梗塞のDoor to Balloon Time、90分を切るためには

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理において、90分以内のDoor to Balloon Time(DTBT)は重要な指標となるが、とくに米国や欧州以外の国では、多くの患者がこの目標を達成していない。慶應義塾大学の池村 修寛氏らは、国内の現状とDTBT遅延の予測因子について分析を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月23日号の報告。

救急退院後の早期死亡、入院率や疾患との関連は?/BMJ

 米国では、救急診療部を受診したメディケア受給者の多くが、致死的疾患の既往の記録がないにもかかわらず、退院後早期に死亡していることが、ハーバード大学医学大学院のZiad Obermeyer氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年2月1日号に掲載された。米国の救急診療部受診者は毎年20%近くも増加し、その結果として毎日、膨大な数の入院/退院の決定がなされている。また、入院率は病院によってかなりのばらつきがみられるが、その患者転帰との関連は不明だという。

敗血症診断の新基準は患者の院内死亡を正確に予測できるか?(解説:小金丸 博 氏)-640

2016年2月に、敗血症および敗血症性ショックの新しい定義(Sepsis-3)が発表された。感染症を疑った場合、ICU以外の場ではまず「意識の変容」「収縮期血圧100mmHg以下」「呼吸数22回/分以上」の3項目を評価する(qSOFA)。2項目以上を満たす場合には、続いて臓器障害の評価を行い、SOFAスコア2点以上の増加があれば敗血症と診断される。過去の後ろ向き研究において、qSOFAスコアの2点以上の増加が院内死亡率上昇と関連することが報告されていたが、前向き研究は行われていなかった。

Sepsis-3の予後予測に最適な指標について(解説:小林 英夫 氏)-638

本論文は、オセアニア地域の18万例以上のデータベースを用いた後方視的コホート研究で、結論は、感染症疑いで集中治療室(ICU)に入院した症例の院内死亡予測には「連続臓器不全評価(SOFA)スコア2点以上」が、全身性炎症反応症候群(SIRS)診断基準や迅速SOFA(qSOFA)スコアよりも有用、となっている。この研究背景は、集中治療以外の医師にとっては、ややなじみにくいかもしれないので概説する。

救急での死亡予測に有用な敗血症の新規国際基準/JAMA

 感染症が疑われる救急部門受診患者に対して、迅速連続臓器不全評価(qSOFA)スコアの使用は、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準や重症敗血症基準と比較して、院内死亡の予測能に優れることが、フランス・パリ第6大学のYonathan Freund氏らによる国際前向きコホート試験の結果、示された。著者は、「所見は、最近新たに定義された敗血症と敗血症性ショックの国際基準Sepsis-3の、救急部門での使用を支持するものであった」とまとめている。Sepsis-3では、高死亡リスクの患者を識別するためSIRS基準に代わってqSOFAスコアを使用することが推奨されている。しかし、この新基準については前向きな確認が行われていない臨床設定があり、救急部門で付加価値をもたらすのかは不明であった。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。

原因不明の失神と最新のICMデバイス

 日本メドトロニック株式会社から低侵襲の植え込み型心臓モニタReveal LINQ(リビール リンク)が2016年9月発売された。この機器は、体積比で従来品から87%小型化しており、皮下挿入型長時間心電計(以下、ICM)ともいわれる。原因が特定できない失神と潜在性脳梗塞の診断に適応を持ち、胸部皮下に挿入することで最長3年間の持続的な心電図モニタリングが可能である。また、データの自動的送信機能により遠隔からでも医師がイベントを確認できる。Reveal LINQの発売にあたり開催されたメディアセミナーにて「失神診療への貢献が期待される皮下挿入型心電計」と題し、産業医科大学 不整脈先端治療学 安部治彦氏が講演した。

感染症疑いICU患者の院内死亡予測能に優れる指標とは/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した感染症が疑われる成人患者について、院内死亡やICU入室(LOS)が3日以上などのアウトカムの識別能は、連続(敗血症関連)臓器不全評価(SOFA)スコアの2点以上増加の指標が、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準スコア2以上や迅速SOFA(qSOFA)2点以上の指標に比べて、予後の正確さが有意に高いことが明らかになった。オーストラリア・アルフレッド病院のEamon P Raith氏らが、感染症によるICU入室患者18万4,875例を対象とした後ろ向きコホート解析により明らかにし、JAMA誌2017年1月17日号で発表した。

上部消化管出血患者のリスク評価スコア5種を比較/BMJ

 上部消化管出血患者のリスク評価は、Glasgow Blatchfordスコアが治療の必要性や死亡に関する予測精度が最も高い。英国・グラスゴー王立診療所のAdrin J Stanley氏らが、複数のシステム(admission Rockall、AIMS65、Glasgow Blatchford、full Rockall、PNED)について予測精度と臨床的有用性を比較する国際多施設前向き研究を行い明らかにした。ただし、Glasgow Blatchfordスコアも、その他のエンドポイントに関しては臨床的有用性には限界があるという。上部消化管出血患者の管理では、リスク評価スコアを用いて外来管理か緊急内視鏡検査、またはより高度な治療を実施するかを決定することが推奨されているが、これまで、予測精度や普遍性、リスクを判断する最適閾値などが不明のままであった。BMJ誌2017年1月4日号掲載の報告。

5~18歳の脳震盪、7日以内の運動が回復を促進/JAMA

 急性脳震盪を発症した5~18歳の小児・年少者について、受傷後7日以内に運動を行ったほうが、行わなかった患者と比べて、28日時点の持続性脳震盪後症状(PPCS)を有するリスクが低いことが、カナダ・東オンタリオ研究センター小児病院(CHEO)のAnne M Grool氏らによる前向き多施設共同コホート研究の結果、示された。脳震盪治療ガイドラインでは、受傷直後は症状が治まるまで安静を支持しており、運動が回復を促進するという明白なエビデンスはなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「適切に設計した無作為化試験で、脳震盪後の運動のベネフィットを確認する必要がある」と提言している。JAMA誌2016年12月20日号掲載の報告。