泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:27

転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMA標的治療薬ルテチウム-177はPFSを延長(TheraP)/ASCO2022

 転移を有するドセタキセル既治療の去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的としたルテチウム177(Lu-PSMA-617)は、カバジタキセルと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのMichael Hofman氏から発表された。  今回は、オーストラリアで実施されたオープンラベルの無作為化比較第II相TheraP試験の生存に関する解析結果である。

転移尿路上皮がんに対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法は有用である可能性(COSMIC 021)/ASCO 2022

 転移のある手術不能の尿路上皮がん(mUC)に対するカボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法の有効性と安全性の初期データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta Pal氏より報告された。  これは、前立腺がんや腎がん、肺がんなども対象にしたカボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法の国際共同の第I相b試験COSMIC-021の結果で、今回はmUCの3つのコホートの解析結果である。

手術中の麻酔ケア引き継ぎ、術後アウトカムに影響なし/JAMA

 18歳以上の成人患者に対する2時間以上の手術中に、複数医師間で術中麻酔ケアの引き継ぎを行っても、術後30日間の死亡や再入院、重度合併症の発生といった術後アウトカムには影響しないことが示された。ドイツ・ミュンスター大学病院のMelanie Meersch氏らが、1,817例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果で、JAMA誌オンライン版2022年6月4日号で発表した。これまで大規模な観察試験において、術中麻酔ケアの引き継ぎは高い死亡率など有害アウトカムと関連することが報告されていた。  研究グループは2019年6月~2021年6月にかけて、ドイツ12ヵ所の医療センターで試験(患者登録)を開始し、術中麻酔ケアの引き継ぎと術後アウトカムの関連を検証した(最終フォローアップは2021年7月31日)。適格被験者は、米国麻酔科学会身体状態分類(ASA-PS)3~4で、2時間以上の主要入院手術が予定されていた18歳以上の1,817例だった。

進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果はQOLと関連(CheckMate 214)/ASCO2022

 進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法(Nivo-Ipi)の生存に及ぼす効果と健康関連QOL(HRQoL)の関連が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏より報告された。  これはNivo-Ipiとスニチニブを比較した国際共同の第III相CheckMate 214試験の結果で、過去にNivo-Ipiの無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の有意な延長効果が報告されている。今回はそれらとHRQoLの相関をみた報告である。

腎細胞がんに対するエベロリムスの術後療法は無再発生存期間を改善する可能性(EVEREST)/ASCO2022

 腎細胞がん(RCC)の術後療法としてのmTOR阻害薬のエベロリムスは無再発生存期間(RFS)を改善する可能性があることが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・Oregon Health & Science UniversityのChristopher W. Ryan氏から発表された。米国で行われた無作為化比較の第III相試験であるEVEREST試験(SWOG S0931)の最終解析結果である。 ・対象:腎部分または完全切除術を施行されたRCC症例1,545例 登録症例のリスクカテゴリーは ([中高リスク]pT1bではGrade3~4でN0、pT2では全GradeでN0、pT3aではGrade1~2でN0と定義、[超高リスク]pT3aではGrade3~4でN0、pT3b-c/T4では全GradeでN0、N+の場合は全pTで全Gradeと定義) ・試験群:エベロリムス10mg/日連日投与54週 (Evero群:775例) ・対照群:プラセボ連日投与54週 (Pla群:770例) ・評価項目: [主要評価項目] RFS [副次的評価項目] 全生存期間(OS)、安全性など

転移の有るホルモン感受性前立腺がんに対するエンザルタミド投与によるOSの改善(ENZAMET)/ASCO2022

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対し、アンドロゲン遮断療法(ADT)とエンザルタミドの併用療法は、ADTと非ステロイド系抗アンドロゲン剤(NSAA)の併用療法に比べ、全生存期間(OS)を有意に改善することが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)においてオーストラリア・Monash大学のDavis Ian氏から報告された。  同試験(ENZAMET)は、オーストラリア・ニュージーランドを中心に実施された国際共同の無作為化第III相試験であり、2019年に中間解析結果として、エンザルタミドのOS改善が報告されていた。今回はその長期追跡結果報告である。

高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法(解説:浦信行氏)

IgA腎症の治療法として、ステロイド剤はRA系阻害薬と並んで基本的治療法の一つである。一部の例外的報告を除いて腎障害進行抑制効果や尿蛋白低減効果は有意であるが、その治療法にはかなりのバリエーションがあり、0.8~1.0 mg/kg/日程度の高用量、その半量程度の低用量、さらにステロイドパルス療法や隔日投与法などがあるが、高用量以外はいずれも有害事象の発症抑制を意図したものである。本研究は多施設二重盲検RCTであり、当初高用量群とプラセボ群との比較であったが、実薬群で有害事象が多かったため観察期間の中央値が2.1年で中止となった。この時点で二重盲検が外れたことでデータの解析に多少のバイアスが掛かる結果となった。ただし、低用量による試験再開の結果でも、同様の臨床効果が得られたことから、その臨床的意義は低くはない。加えて有害事象は実薬群でプラセボ群より多かったとはいえ、高用量群の3分の1以下に留まっていることを考慮すれば、結果的に低用量群の優位性も示した結果となった。この結果は今後のステロイドによる治療に大きな示唆を与えるもので、低用量、隔日投与、パルス療法の意義も同方向にある。

膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。

高リスクIgA腎症への経口ステロイドで転帰改善、用量は?/JAMA

 高リスクIgA腎症患者において、経口メチルプレドニゾロンによる6~9ヵ月の治療は、プラセボと比較して、腎機能低下・腎不全・腎疾患死亡の複合アウトカムのリスクを有意に低下させた。ただし、経口メチルプレドニゾロンの高用量投与では、重篤な有害事象の発現率が増加した。中国・北京大学第一医院のJicheng Lv氏らが、オーストラリア、カナダ、中国、インド、マレーシアの67施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検比較試験「Therapeutic Effects of Steroids in IgA Nephropathy Global study:TESTING試験」の結果を報告した。本試験は、重篤な感染症が多発したため中止となったが、その後、プロトコルが修正され再開されていた。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。

標準治療にアビラテロンの上乗せ効果、転移性ホルモン感受性前立腺がんで有効(解説:宮嶋哲氏)

転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対する現在の標準治療は、アンドロゲン除去療法(ADT)にドセタキセルや第2世代抗アンドロゲン薬、もしくは放射線治療の併用である。本研究は標準治療にアビラテロンを追加する意義を検討した多施設ランダム化第III相試験(PEACE-1)である。欧州7ヵ国における77施設において、ECOG PSが0~2でde novo mHSPC患者を対象としている。2013年11月から2018年12月までに1,173例の患者が登録され、標準治療296例、標準治療+放射線治療293例、標準治療+アビラテロン292例、標準治療+アビラテロン+放射線治療291例に割り付けられた。なお本研究の標準治療群にはADT単独投与、またはADT+ドセタキセル併用を含んでいる。