外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:71

早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。

再発スコアの低いリンパ節転移陽性閉経後早期乳がん、術後化学療法は回避可能か(RxPonder)/SABCS2020

 リンパ節転移1~3個でオンコタイプDX乳がん再発スコアが0~25の閉経後早期乳がん患者において、術後内分泌療法への化学療法追加のベネフィットが認められなかったことが、RxPonder試験(SWOG S1007)の中間解析で示された。米国・エモリー大学のKevin Kalinsky氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。RxPonder試験は、米国国立がん研究所(NCI)の支援でSWOG Cancer Research Networkが主導している前向き無作為化第III相試験。

「523遺伝子を搭載した国内完結型がん遺伝子パネル検査」先進医療に承認/岡山大学

 新たながん遺伝子パネル検査に関する厚生労働省・先進医療技術【先進医療B】研究として、「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」が厚生労働省より承認され、2020年12月1日より、岡山大学病院が全国で初めて実施することになった。523遺伝子を搭載した国内では最多となるがん遺伝子パネル検査となる。  わが国で保険適応されている遺伝子パネル検査は2種類で、それぞれ114、324個の遺伝子を対象にしていた。しかし、がん種によっては十分な遺伝子が調べられないこともあった。

高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+パルボシクリブ、初回解析でiDFS改善みられず(PENELOPE-B)/SABCS2020

 術前化学療法後に浸潤性病変が残存している高リスクのホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性早期乳がん患者に対する、術後内分泌療法へのパルボシクリブ併用療法は、内分泌療法単独と比較して無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善を示さなかった。ドイツ・German Breast GroupのSibylle Loibl氏が、第III相PENELOPE-B試験の初回解析結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 ・対象:タキサンを含む術前化学療法後に病理学的完全奏効が得られず、再発リスクの高いHR+/HER2-の早期乳がん患者(術前補助療法後の残存浸潤性病変有、CPS-EGスコア≧3または 2、ypN+、術前化学療法≧16週、最終手術日から16週未満または放射線療法完了後10週未満) ・試験群:術後療法として、パルボシクリブ(125mg1日1回×3週投与1週休薬の28日を1サイクルとして、13サイクル)+標準的内分泌療法 ・対照群:術後療法として、プラセボ(13サイクル)+標準的内分泌療法 ・評価項目: [主要評価項目]iDFS [副次評価項目]二次性原発浸潤性非乳がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性など ・層別化因子:リンパ節転移の有無(ypN0-1 vs.ypN2-3)、年齢(50歳以下 vs.50歳超)、Ki-67値(15%超 vs.15%未満)、地域(アジア vs.非アジア)、CPS-EGスコア(3以上 vs.2かつypN+)

高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、iDFS改善が継続(monarchE)/SABCS2020

 再発リスクの高いリンパ節転移陽性ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の早期乳がんに対し、術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加の有効性を評価する第III相monarchE試験の追跡調査において、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の改善が引き続き示され、Ki-67値20%以上の患者での有意な改善が示された。米国・ピッツバーグ大学のPriya Rastog氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  monarchE試験は中間解析(追跡期間中央値15.5ヵ月)でアベマシクリブ追加によるiDFSの有意な改善(p=0.0096、ハザード比[HR]:0.747、95%信頼区間[CI]:0.598~0.932)が報告されている。今回、iDFSの約390イベント発生後に計画されていた解析の結果が報告された。

コロナ禍初期のがん治療キャンセル・変更患者、3人に1人

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、がん患者にどれほど影響を与えているか。本稿では、オランダ・Netherlands Comprehensive Cancer Organisation(IKNL)のLonneke V van de Poll-Franse氏らが、コロナ禍において同国がん患者が、がん治療とフォローアップ治療(電話/ビデオ相談を含む)、ならびにウェルビーイングについてどのように認識しているかを調べ、一般健常者と比較評価した。その結果、がん患者の3人に1人がコロナ禍の最初の数週間でがん治療が変化したと報告し、長期アウトカムに関する監視が必要なことが示されたという。一方で、コロナ禍は、がん患者よりも一般健常者においてメンタルヘルスにより大きな影響を与えていることも報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

「抗がん剤曝露調査サービス」の販売開始

 シオノギファーマは、2020年12月1日、セコム医療システムと協業し、病院で働く医療スタッフの職場での抗がん剤曝露リスクへの対策として、「セコム抗がん剤曝露調査サービス」の販売を12月1日から開始すると発表。  このサービスは、セコム医療システムが販売および受付窓口を担当、曝露対策の提案等を行うもの。シオノギファーマは抗がん剤曝露状況の試験測定を行うことで数値によるリスクの見える化を手伝う。

姉の乳がん発症年齢で、妹の発症リスクも高まる可能性

 姉が乳がん歴を有する場合、妹の乳がんスクリーニングにおいてはその発症年齢を考慮する必要がある可能性が示唆された。米国・国立環境衛生科学研究所のAnn Von Holle氏らが、2万例を超える姉妹コホートの前向き研究結果を、International Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年11月28日号に発表した。  著者らは、2万3,145人の姉妹コホートを前向きに調査し、乳がん歴のある姉の診断時の年齢前後でその妹の乳がんリスクが変化したかどうかを調べた。Cox回帰モデルの年齢依存性共変数を使用して、参加者がその姉の診断年齢に近い場合の乳がん発症のハザード比を、姉が全く異なる年齢で診断された同年齢の女性と比較して推定した。

がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクとその対策/日本医療薬学会

 近年、腫瘍循環器学という新しい概念が提唱されている。10月24日~11月1日にWeb開催された第30回日本医療薬学会総会のシンポジウム「腫瘍循環器(Onco-Cardiology)学を学ぼう~タスクシェア・シフト時代にマネジメントする薬剤師力の発揮~」において、腫瘍循環器領域の第一人者である向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科主任部長)が「腫瘍循環器学とは?臨床現場で薬剤師に求めること」と題し、腫瘍循環器学における新たな視点について語った。

がん治療は4週遅れるごとに死亡率が高まる/BMJ

 がん治療が4週間遅れるだけで、手術、全身療法、放射線療法の適応となる7つのがんで全体の死亡率が上昇する。カナダ・クイーンズ大学のTimothy P. Hanna氏らが、がん治療の遅延と死亡率上昇との関連を定量化する目的で実施したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。がん治療の遅れは転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、その影響の標準推定値はなく、これまでのメタ解析で治療の遅れと死亡/局所管理との関連が示されていたものの、各報告のばらつきが大きくメタ解析に限界があった。著者は、「世界的にがん治療の遅れは医療制度に問題がある。がん治療開始の遅れを最小限にするシステムに焦点を当てた政策が、集団レベルでの生存転帰を改善できるであろう」とまとめている。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。