呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:203

brigatinib、日本人ALK陽性NSCLCでも有望(J -ALTA)/JTO

 日本人を対象とした、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するbrigatinibの有効性と安全性を検討した第II相無作為化試験「J-ALTA試験」の結果が、がん研有明病院の西尾 誠人氏らにより論文発表された。多施設共同、単群非盲検による検討で、アレクチニブ難治性の日本人患者において、臨床的に意義のある有効性が示されたという。brigatinibは臨床的関連があるALK遺伝子変異に対して強力かつ幅広い活性を有するよう設計された次世代ALK-TKIであり、米国では本年承認された。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

AZ社の新型コロナワクチン4試験統合中間解析で安全性・有効性確認/Lancet

 ChAdOx1 nCoV-19ワクチン(AZD1222)は、英国・オックスフォード大学で開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン。同大学のMerryn Voysey氏らは、このワクチンに関する進行中の4つの臨床試験の第1回目の統合中間解析を行い、安全性プロファイルは容認可能なものであり、COVID-19に対し有効であることを確認した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年12月8日号に掲載された。AZD1222は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞表面の構造蛋白である糖蛋白抗原(スパイク蛋白:nCoV-19)遺伝子を含む、チンパンジー由来の増殖能を欠失させたアデノウイルスベクター(ChAdOx1)から成る。2020年4月23日、英国で第I/II相試験(COV001)が開始され、その後、英国(COV002、第II/III相)、ブラジル(COV003、第III相)、南アフリカ共和国(COV005、第I/II相)で無作為化対照比較試験が進められている。

オシメルチニブのEGFR変異肺がん術後補助療法が承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年12月18日、EGFR変異(exon19 delまたはexon21 L858R)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者の腫瘍切除後補助療法として、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)を承認した。  今回の承認は、術前補助化学療法の有無にかかわらず、完全な腫瘍切除が行われたEGFR変異陽性(exon19 delまたはexon21 L858R)NSCLC患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験ADAURAに基づくもの。ADAURA試験では682例の患者が、オシメルチニブ80mg/日またはプラセボに1対1に無作為化され、比較された。

高用量インフルワクチン、高リスクCVDの死亡改善せず/JAMA

 高リスク心血管疾患患者では、高用量3価不活化インフルエンザワクチンは標準用量4価不活化インフルエンザワクチンと比較して、全死因死亡率や心肺疾患による入院率を低下させないことが、米国・ミネソタ大学のOrly Vardeny氏らが行ったINVESTED試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2020年12月4日号で報告された。インフルエンザは、ワクチン接種への免疫応答が強くない心血管疾患患者の心肺合併症や死亡の割合を一時的に高めるという。高用量のインフルエンザワクチンは、インフルエンザによる疾患のリスクを低減する可能性が示唆されている。

日医・中川会長、Go Toトラベル一時停止を「率直に評価」

 日本医師会・中川 俊男会長は、16日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加に歯止めがかからない状況を受け、日本医師会の見解を述べた。  中川氏は、14日に菅 義偉内閣総理大臣と共に新型コロナウイルス感染症対策で中核的な役割を担う国立国際医療研究センター(NCGM)を視察したことを報告した。特殊感染症病棟の病室内でECMOなど重症患者への対応、特殊防護具を着けた挿管訓練、タブレット端末を用いてICU病棟で活動する医療従事者の様子などを見学し、日々尽力いただいていることに感謝を申し伝えたという。

新型コロナ、病床逼迫の診療現場から~呼吸器科医・倉原優氏が緊急寄稿

 各地で新型コロナ感染症の新規感染者数の増加が止まらない。7~8月にかけてのピーク時を超え、間違いなく現状は「第3波」の真っただ中にある。自治体独自の基準により「非常事態」を宣言している大阪府の状況について、CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿した。  大阪府は、現在コロナ第3波の最終局面であると信じたいくらい新規入院患者数が増えている。指定感染症として診療しているので、必然的に病床が逼迫している。政府は12月17日、向こう1年間は現行の指定感染症扱いを継続するという見通しを発表した。

肺癌診療ガイドライン2020薬物療法の改訂ポイント/日本肺癌学会

 肺癌診療ガイドラインが改訂され、2020年版が発刊された。第61回日本肺癌学会学術集会の教育講演では、薬物療法領域の変更点について岡山大学の堀田勝幸氏が発表した。  一次治療におけるゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドの追加(CQ52 2A)、エルロチニブと血管新生阻害薬の併用がアップデート(CQ52 2A)されるなど改訂された。  二次治療において、アレクチニブの使用のアップデート(CQ59 1C)、新たなALK-TKIブリガチニブが追加(CQ59 2C)されるなど改訂された。  MET遺伝子変異陽性が新設され、MET-TKI(テポチニブ、カプマチニブ)の推奨が追加された(CQ62 1C)。

高齢者扁平上皮NSCLCの新スタンダードとなるか(CAPITAL)/名古屋医療センター

 高齢者のStage IIIB/IV扁平上皮非小細胞肺がん(SQ NSCLC)1次治療の標準治療が世代交代か。nab-パクリタキセルとカルボプラチンの併用(nab-PTX+CBDCA)とドセタキセル(DTX)単剤を比較した無作為化第III相試験CAPITAL試験の結果を名古屋医療センターが発表した。  肺がんには高齢患者が多い。高齢患者の標準化学療法は長期にわたりドセタキセル単剤である。非扁平非小細胞肺がん(NSQ NSCLC)おいては、JCOG1210/WJOG7813L試験でカルボプラチン+ペメトレキセドのDTX単剤に対する非劣性が示され、2019年の肺癌診療ガイドラインでCBDCA併用レジメンの使用が推奨された。

特発性肺線維症へのST合剤、生存ベネフィット認めず/JAMA

 中等症~重症の特発性肺線維症(IPF)について、コトリモキサゾール(ST合剤:スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤)はプラセボと比較して、死亡・肺移植または予定外の初回入院までの期間の複合アウトカムの発生を低下しないことが、英国・イースト・アングリア大学のAndrew M. Wilson氏らによる検討で示された。IPFは予後不良で治療法が限られており、肺微生物叢の変化による肺への細菌負荷が死亡率に関連するとされている。先行の小規模無作為化試験においてST合剤投与による臨床アウトカムの改善および優れた費用対効果が示唆され、また探索的解析で健康関連のQOLや酸素必要量の改善、および試験プロトコールを順守した被験者における12ヵ月間の死亡率低下が示されていたが、生存ベネフィットのエビデンスは確定されていなかった。JAMA誌2020年12月8日号掲載の報告。

体験ルポ・新型コロナワクチン接種―米国の日本人医師が緊急寄稿

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種がついに始まった。世界に先駆け、英国で12月8日から、14日からは感染者数世界最多の米国でも医療・介護従事者に対し、優先的に接種が行われている。今回、米国・ワシントンDCの病院に勤務する日本人医師の安川 康介氏が、ワクチン接種の体験についてケアネットに緊急寄稿。日本においても来年には一般接種が開始されるとみられる中、同氏の体験をぜひ参考にしていただきたい。