呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:109

新型コロナ感染リスク、ワクチン未接種者は接種者の4倍!?

 米国の大手ドラッグストアであるCVSヘルスに所属するYing Tabak氏らは、新型コロナ感染に対するワクチン有効性を推定するにあたり、時間経過による変化がみられるのかなどを評価するため、診断陰性例コントロール試験を実施。その結果、ワクチン未接種者はワクチン接種者よりも感染リスクが最大で4倍も高いことが明らかになった。JAMA Network Open誌2021年12月22日号のリサーチレターに掲載された。  本研究は全米の新型コロナ検査のデータベースを使用し、2021年5月1日~8月7日の期間にドラッグストアのPCR検査で症候性の新型コロナ感染症が確認されたの特有の患者発生率を評価した。新型コロナ関連の症状(CDCの定義に準拠)、ワクチン接種状況、時期、投与回数について、鼻咽頭スワブを収集する前にスクリーニング質問票に自己報告してもらった。分析には、BNT162b2(ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、およびJNJ-78436735(J&J製)のワクチンを使用した。また、米国での昨年7~8月のデルタ変異株の流行を考慮して、最後のワクチン接種からの経時的な症候性新型コロナ感染に対し、ワクチン接種の有効性を検査実施者の年齢、地域、暦月で調整して推定した。

NSCLCの新たなドライバー遺伝子CLIP1-LTK発見

 国立がん研究センター東病院が中心に進める肺がんの遺伝子スクリーニングプロジェクト「LC-SCRUM-Asia」が、非小細胞肺がん(NSCLC)の新しいドライバー遺伝子「CLIP1-LTK融合遺伝子」を世界で初めて発見した。また、このドライバー遺伝子変異には、治療薬としてALK-TKIのロルラチニブが有効である可能性が示されている。  試験結果は、Nature誌2021年11月14日号に掲載され、第62回日本肺癌学会学術集会では、がん研究センター東病の松本慎吾氏により発表された。  NSCLCでは、ドライバー遺伝子が相次いで発見されるととも、それに対応する分子標的薬が登場することで治療成績が著しく向上している。  とはいえ、50〜60%のNSCLCではドライバー遺伝子が存在しない。そのため、新たなドライバー遺伝子の発見と治療薬の開発が求められている。  そのような中、CLIP1-LTK融合遺伝子は、新たなドライバー遺伝子を検索するためLC-SCRUM-Asiaが行った、既知のドライバー遺伝子陰性のNSCLCを対象に行った全RNAシークエンス検査により世界で初めて発見された。

モデルナ製とファイザー製、それぞれの心筋炎・心膜炎リスク因子/BMJ

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnders Husby氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種と心筋炎/心膜炎との関連を調査する目的で、デンマーク住民を対象にコホート研究を行った。その結果、ワクチン未接種者と比較して、mRNA-1273(Moderna製)ワクチンは心筋炎/心膜炎の有意なリスク増加と関連しており、とくに12~39歳でリスクが高いこと、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)ワクチンは女性においてのみ有意なリスク増加が認められたことが示された。ただし、絶対発症率は若年層でも低いことから、著者は「今回の知見の解釈には、SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種の利点を考慮すべきであり、少数のサブグループ内でのワクチン接種後の心筋炎/心膜炎のリスクを評価するには、より大規模な国際的研究が必要である」と述べている。BMJ誌2021年12月16日号掲載の報告。

ノババックスワクチン、安全性と有効性を確認/NEJM

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのNVX-CoV2373(Novavax製)は、COVID-19の予防に関して安全かつ有効であることを、米国・NovavaxのLisa M. Dunkle氏らが、米国およびメキシコで行われた第III相無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。NVX-CoV2373は、英国と南アフリカで行われた第IIb・III相の試験において臨床的効果が示されていたが、北米ではまだ検討が行われていなかった。NVX-CoV2373は、サポニンベースのアジュバントを添加した遺伝子組換えスパイク蛋白ナノ粒子ワクチンで、冷蔵保管(2~8℃)が可能であることから、世界的なワクチン不足に資するワクチンと目されている。NEJM誌オンライン版2021年12月15日号掲載の報告。

大規模屋内ライブ、包括的介入でコロナ感染予防は可能か~無作為化比較試験

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)蔓延防止のため、2020年は多くの屋内で集まるイベントが禁止された。フランスにおけるSPRING研究(Study on Prevention of SARS-CoV-2 Transmission During a Large Indoor Gathering Event)グループでは、大規模な屋内集会イベントで、開催前3日以内の抗原検査、医療用マスクの着用、十分な換気などの包括的な予防的介入を実施した場合、参加者と非参加者の感染率が同等かどうかを非劣性試験で検証した。その結果、イベント参加とSARS-CoV-2感染リスクに関連は認められなかったことをThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2021年11月26日号で報告した。

抗HER3抗体薬物複合体HER3-DXd、EGFR変異陽性非小細胞肺がんでFDAブレークスルーセラピーに指定/第一三共

 第一三共は、2021年12月24日、パトリツマブ デルクステカン (U3-1402/HER3-DXd)が、米国食品 医薬品局(FDA)より、第3世代EGFR-TKIおよびプラチナ製剤併用療法の治療歴のあるEGFR遺伝子変異陽性で転移のある非小細胞肺がんを対象とした「ブレークスルーセラピー」指定を受けたと発表。  今回の指定は、2021年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表された、EGFR遺伝子変異を有する転移または切除不能な非小細胞肺がんを対象とした第I相臨 床試験の結果に基づくものである。

モデルナワクチン2回接種、変異株ごとの有効性/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンmRNA-1273(Moderna製)の2回接種は、デルタ変異株、ミュー変異株を含む新たに出現した変異株に対して有効性を示し、とくにCOVID-19による入院に対して高い効果が認められることが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC、統合型ヘルスケアシスム)のKatia J. Bruxvoort氏らにより報告された。KPSCメンバーの接種者を対象としたtest negativeケースコントロール試験の結果で、これまでmRNA-1273ワクチンの特異的変異株に対する有効性を検討した試験はほとんどなく、今回の試験を行ったという。mRNAベースのCOVID-19ワクチンについてはデルタ変異株への有効性が低く、保護効果の減弱が報告されていた。BMJ誌2021年12月15日号掲載の報告。

COVID-19退院後の血栓イベント予防に、抗凝固療法が有用/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した高リスク患者において、退院後のリバーロキサバン10mg/日投与は抗凝固療法を行わない場合と比較し35日後の臨床アウトカムを改善することが、無作為化非盲検試験「MICHELLE試験」で示された。ブラジル・Science Valley Research InstituteのEduardo Ramacciotti氏らが報告した。COVID-19で入院した患者は、退院後に血栓イベントのリスクがあるが、この集団における血栓予防の効果は不明であった。Lancet誌オンライン版2021年12月15日号掲載の報告。  研究グループは、ブラジルの14施設において、COVID-19により入院し、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い患者(VTE予防のための国際登録「IMPROVE」のVTEスコア≧4、または2~3でDダイマー>500ng/mL)を、退院時にリバーロキサバン10mg/日を投与する群(リバーロキサバン群)と抗凝固療法を行わない群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

経口コロナ治療薬モルヌピラビルを特例承認/厚労省

 厚生労働省は12月24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg)について、国内における販売を特例承認した。申請者はMSD。重症化リスク因子を有し、軽症~中等症の入院していない18歳以上の患者が投与対象となる。ただし、動物実験において胎児毒性が報告されているため、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しない旨が、添付文書に「禁忌」として明記されている。本剤は11月10日、メルクと日本政府との間で約160万回分を提供することですでに合意しており、今回の承認を受け、速やかに提供が開始される見通しだ。新型コロナに特化した経口治療薬の承認は本剤が初めてとなる。