高校進学時のうつ病に対する予防プログラム 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。 高校進学プログラムは、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。
統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。
セリンクロの登場がアルコール依存症治療を継続させるきっかけに 2019年3月28日、大塚製薬株式会社は、同社の製造販売する飲酒量低減薬ナルメフェン(商品名:セリンクロ)が発売されたことを機し、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、アルコール依存症の現状と治療の最新情報が解説された。 セミナーでは、「アルコール依存症をとりまく現状と治療 新しい診断治療ガイドラインを踏まえて」をテーマに、樋口 進氏(久里浜医療センター 院長)が講師としてレクチャーを行った。 わが国の飲酒実態とアルコール依存症治療のギャップに触れ、飲酒量全体は横ばいまたは微減となっている中で、アルコール依存症患者は約107万人と推定されているが、実際に治療を受けている患者は、約5万人とかなりの未診療患者がいると指摘した。この治療ギャップを埋めるためにも「医療連携の促進・地域の取り組み・軽症例のプライマリケアでの受診・診療ガイドラインの作成」などの取り組みが必要と同氏は提起する。
災害関連不眠症の長期経過~福島原発所員のフォローアップ調査 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の災害関連体験と原子力発電所員の不眠症との関連、および各不眠症状への長期的な影響について、順天堂大学の野田(池田) 愛氏らが調査を行った。Sleep誌オンライン版2019年3月11日号の報告。 対象は、2011~14年までの3年間にアテネ不眠尺度を用いたアンケートおよび2011年の災害関連体験に関するアンケート調査に回答した発電所員1,403例。災害関連体験と不眠症との縦断的な関連を調査するため、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた。
もう見過ごせない小児虐待 昨年における児童虐待事件は、過去最多の1,380件が警察により摘発され、被害児童は1,394人だった。そのうち36人が亡くなっており、痛ましい事件は後を絶たない。 2019年3月都内にて、加茂 登志子氏(若松町こころとひふのクリニック メンタルケア科 PCIT研修センター長)が、「虐待について」をテーマに講演を行った。専門医でなくとも、診療を受けている患者が虐待やDVなどの問題を抱えている可能性があるかもしれない。
日本において将来の認知症ケアに対し不安を感じている人の特徴 認知症にやさしい地域社会を目指すことは、世界的な目標ではある。しかし、認知症の地域住民は、いまだ対処されていない認知症関連ケアのニーズを抱えている。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、将来必要となった際に適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人の特徴を調査した。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 東京都の1地域に在住する65歳以上のすべての住民13万2,005例に対し、郵送によるアンケート調査を実施した。
アトピー性皮膚炎児の母、11年間睡眠不足 アトピー性皮膚炎(AD)児の両親に睡眠障害が多いことは、これまでの小規模な診療所ベースのデータから示唆されていたが、長期にわたる集団ベース研究はほとんどなかった。先日、本サイトで紹介したADが睡眠の質に有意な影響を与えるというエビデンス報告を行った研究グループ(米国・カリフォルニア大学のFaustine D. Ramirez氏ら)が、AD児の母親の睡眠障害に関する解析報告を発表。その結果、AD児の母親は11年間ずっと入眠困難、睡眠不足、日中の疲労を訴えていることが示された。
アルコール依存症患者の再入院とBMIや渇望との関連 常習性の飲酒、渇望、過食は、共通の病理学的メカニズムを有している。ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのChristian Weinland氏らは、BMIや渇望がアルコール依存症入院患者のアウトカムを予測するかどうかを調査した。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年3月2日号の報告。 早期に禁酒したアルコール依存症入院男性患者101例および女性患者72例を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。渇望は、Obsessive-Compulsive Drinking Scale(OCDS)スコアを用いて定量化した。24ヵ月以上のアルコール関連再入院を記録した。
「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊! 「せん妄」と聞くと、術後せん妄や高齢者をイメージすることが多いのではないだろうか。しかし、がん自体やその治療の副作用に伴う痛みや不安・不眠を取り除くために使用するオピオイド、ならびに精神安定薬の使用も、せん妄の大きな要因の一つになっているという。このような現状を踏まえ、2019年2月27日、日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が協力し、「がん患者におけるせん妄ガイドライン」を発刊した。
うつ、不安、睡眠の質に対する「お笑い介入」~メタ解析 うつ病や不安症状の治療に対し、ネガティブな感情を減少させるための介入が求められており、お笑いやユーモアを用いた介入(お笑い介入)は、安全かつ便利で、患者と医療従事者との関係を良好に保つことが期待される介入方法である。成人のうつ病、不安および睡眠の質に対するお笑い介入の効果を定量化するため、中国・吉林大学のJinping Zhao氏らが検討を行った。Journal of Advanced Nursing誌オンライン版2019年3月18日号の報告。