精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:218

急性期抗うつ薬治療中に悪化しやすい患者像

 適切な抗うつ薬治療を行っているにもかかわらず、症状が悪化するうつ病患者の割合を調査した研究は、これまでほとんどなかった。名古屋市立大学の明智 龍男氏らは、うつ病患者を含む多施設無作為化比較試験での抗うつ薬治療中における、うつ病悪化の割合とその予測因子について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年9月9日号の報告。  うつ病悪化の定義には、抗うつ薬治療中の急性期うつ病患者を評価するために用いた0~9週目までの総PHQ-9スコアを使用した。うつ病の悪化に対する潜在的な予測因子として、ベースライン時の人口統計学的および臨床的データ、0~3週目までのPHQ-9スコアの変化、3週時点での副作用を評価した。

日本における認知症の重症度と社会的介護コスト

 アルツハイマー病患者への直接的な社会的支援のコストは高まっており、高齢化に伴い、今後さらに増加し続けると予想される。藤田医科大学の武地 一氏らは、日本における長期介護保険でのアルツハイマー病に対する直接的な社会的支援のコストを推定するため、検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年9月2日号の報告。  本研究は、メモリークリニックを受診したアルツハイマー病患者または軽度認知障害患者169例に対し、長期にわたるフォローアップを行った横断的研究である。認知症の重症度、介護サービスの利用、コストについて分析を行った。

初回エピソード統合失調症に対するコンピューター化認知機能改善療法~ランダム化比較試験

 統合失調症患者は、社会的機能低下に関連する認知機能障害を呈する。コンピューター化された認知機能改善療法は、慢性期統合失調症の認知機能と機能障害の両方に対する改善効果が知られているが、これらのアプローチを統合失調症の初期段階に用いた場合の効果については、あまり知られていない。スペイン・Universidad Miguel HernandezのLorena Garcia-Fernandez氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象にコンピューター化認知機能改善療法の効果について検証を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年9月7日号の報告。

初回エピソードうつ病患者における発症年齢と皮質の厚さとの関連

 以前の研究で、早期発症成人うつ病(EOD)患者と遅発性成人うつ病(LOD)患者では、脳灰白質の体積変化に違いがあることが示唆されていた。中国・昆明医科大学のZonglin Shen氏らは、皮質の厚さ(CT)がうつ病の発症年齢の影響を受けるかについて検討を行った。Neuroreport誌オンライン版2019年9月9日号の報告。  EOD患者54例、LOD患者58例、若者対照群57例、高齢対照群58例の高解像度MRI画像より検討を行った。うつ病の重症度は、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HDRS17)を用いて評価した。患者のCTと臨床スコアとの関連について分析を行った。

統合失調症患者に対する長時間作用型抗精神病薬治療と機能的および臨床的寛解との関連

 機能的寛解は、統合失調症の主要な治療目標となってきたが、良好なアウトカムの割合は、15~51%の範囲で大きなばらつきがある。また、臨床的寛解が機能的寛解の前提条件であるかについてもよくわかっていない。フランス・パリ大学のPhilip Gorwood氏らは、急性期エピソード後に長時間作用型持効性注射剤(LAI)による治療を開始した統合失調症患者の機能的および臨床的寛解との関連性を評価するため、プロスペクティブ観察研究を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年9月7日号の報告。

双極性障害患者の気分安定薬に対するアドヒアランス

 気分安定薬の服薬アドヒアランスは、双極性障害の治療経過において悪影響を及ぼす重要な問題である。服薬アドヒアランスは、患者個々における複雑な問題行動であり、その遵守率は、時間とともに変化する。ドイツ・ドレスデン工科大学のM. Bauer氏らは、気分安定薬の服薬アドヒアランスに明確な違いは存在するかどうか、存在した場合の患者特性との関連性について検討を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年9月4日号の報告。

不眠症患者に対するスボレキサントの安全性プロファイル~市販後調査サブグループ解析

 スボレキサントは、不眠症治療に用いられるデュアルオレキシン受容体拮抗薬である。MSD株式会社の佐野 秀樹氏らは、日常でみられるさまざまな初期治療下におけるスボレキサントによる不眠症治療の安全性プロファイルと臨床経過を明らかにするため、検討を行った。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2019年9月3日号の報告。  市販後調査(PMS;2015~17)より、スボレキサントによる初期治療時の患者の状態に基づき、睡眠薬未治療群(N群)、これまでの睡眠薬からの切り替え群(S群)、追加投与群(A群)、その他(O群)に分類し、サブグループ解析を行った。

アルツハイマー病患者における抗コリン薬の不適切な使用

 認知症でよくみられるアルツハイマー病は、通常、アセチルコリンレベルを上昇させる薬剤で治療を行う。コロンビア・Universidad Tecnologica de PereiraのLuis Fernando Valladales-Restrepo氏らは、アルツハイマー病と診断された患者に使用された抗コリン作用を有する薬剤の特定を試みた。Geriatrics & Gerontology International誌2019年9月号の報告。  コリンエステラーゼ阻害薬およびグルタミン酸N-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗薬で治療されたアルツハイマー病外来患者を、コロンビアの国民データベースより特定し、横断的研究を実施した。抗コリン作動性負荷は、抗コリン作用評価尺度を用いて評価し、抗コリン作用に応じて軽度~中等度または重度に分類した。

ブロナンセリンのドパミンD3受容体への作用

 ブロナンセリンは、リスペリドンやオランザピンなどの他の抗精神病薬と異なり、セロトニン5-HT2A受容体よりもドパミンD2/D3受容体に対する高い親和性を有する薬剤である。名城大学の竹内 佐織氏らは、動物モデルで観察された社会的欠損に対するブロナンセリンの効果へのドパミンD3受容体の関与を調査し、その作用の分子メカニズムの解明を試みた。Neurochemistry International誌2019年9月号の報告。  マウスに、非競合的N-メチル-d-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるフェンシクリジン(PCP、10mg/kg、皮下注射)を1日1回14日連続投与した。その後、これらのマウスにおける社交性(社会的相互作用テスト)およびGluN1サブユニット(NMDA受容体の必須サブユニット)の発現を評価した。