精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:220

クロザピンと他の抗精神病薬による好中球減少症発症比較~メタ解析

 クロザピンは、他の抗精神病薬と比較し、好中球減少症との関連性が高いとの懸念から、ほとんどの国において、白血球数の定期的なモニタリングを行わなければ使用できない。しかしこれまで、対照研究のメタ解析により決定的に実証されてはいなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のNicholas Myles氏らは、他の抗精神病薬と比較したクロザピンの好中球減少症との関連性を評価するため、対照研究のメタ解析を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。

低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性

 多くのアルツハイマー病(AD)患者は、食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。これまでのいくつかの報告によると、リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。香川大学の角 徳文氏らは、AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。  対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究」にて募集した、食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。

アルツハイマー型認知症の薬はうたかたの夢か(解説:岡村毅氏)-1030

私たちの世代はアルツハイマー型認知症の薬の恩恵にはあずかれない。いつかは実現するかもしれないし、そう願うが、現実を見つめよう。 本論文は、アルツハイマー型認知症について広く信じられているアミロイド仮説(「アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ」)に基づくものだ。つまりアミロイドをつくる酵素(BACE)を阻害する物質が、治療薬となるのではという考え方であった。しかし、本欄でも過去に紹介したように、すでに認知症になっている人に対して行われた研究では効果は見られなかった(「認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から」)。

境界性パーソナリティ障害に対する集団精神療法のメタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)治療ガイドラインでは、必須とはいかないまでも、患者ケアの重要な要素として精神療法を推奨している。米国・Rawson-Neal Psychiatric HospitalのStephanie P. B. McLaughlin氏らは、BPDに対する集団精神療法と通常治療(TAU)を比較したランダム化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy誌オンライン版2019年3月14日号の報告。  グループおよび患者の特性、バイアス変数リスク、TAU比較条件の治療要素(精神療法が含まれるかどうかなど)に基づくアウトカムの違いを調査するため、モデレーター分析を行った。

小児におけるリスペリドン使用関連有害事象

 リスペリドンは、小児の行動障害によく使用されるが、この集団における薬剤関連有害事象の定義は、あいまいである。米国・ヴァンダービルト大学のKazeem A. Oshikoya氏らは、リスペリドン治療を受けた小児における有害事象発生率およびリスク因子について検討を行った。Drugs-Real World Outcomes誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  ジェネラリストおよび小児科専門医が所属する学術医療センターで、4週間以上のリスペリドン治療を受けた18歳以下の患者を対象とした。

父親の年齢と統合失調症や双極性障害との関連

 これまでの研究では、出産時の父親の高齢化と統合失調症や双極性障害のリスク増加との関連が報告されていた。この関連は、父親の精子におけるデノボ突然変異によって引き起こされるとする仮説や、高齢時に子供持つ父親の心理社会的特徴に関連するともいわれている。イスラエル・Chaim Sheba Medical CenterのMark Weiser氏らは、これらの仮説について検証を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年3月4日号の報告。  イスラエルのドラフトボードレジストリ、精神科入院レジストリよりプロスペクティブ集団ベースコホート研究を行った。

肉の摂取頻度が認知症リスクと関連

 これまで、食物摂取と認知症リスクとの関連は、初発症状バイアス(逆因果関係)の可能性を考慮して研究されていなかった。フランス・モンペリエ大学のLaure Ngabirano氏らは、肉、魚、果物、野菜の摂取頻度と認知症やアルツハイマー病(AD)の長期リスクとの関係について、初発症状バイアスを考慮して検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2019年号の報告。  12年間に2~4年ごとのフォローアップを行ったThree-city studyより、65歳以上のボランティア5,934例のデータを分析した。

失業と不眠症との関連

 順天堂大学の前田 光哉氏らは、雇用形態と不眠症関連症状との関連について調査を行った。Industrial Health誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  日本の国民生活基礎調査2010のデータより、20~59歳の4万3,865人の匿名データを分析した。雇用形態は、正規雇用、非正規雇用、自営業、その他、失業者、非労働力の6カテゴリで定義した。不眠症関連症状の性別特異的オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、交絡因子で調整した多変量ロジスティック回帰分析を用いた。さらに、精神疾患、喫煙状況、年齢による層別分析を行った。

認知症症状がある元NFL選手、脳内タウ増加が判明/NEJM

 認知症・精神神経症の症状が認められる元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手について、脳内のタウなどを可視化するPET検査を行ったところ、症状のない男性コントロール群と比較して、慢性外傷性脳症(CTE)部位のタウ蓄積量はより多く、アミロイドβ蓄積量は同程度であることが示されたという。米国・ボストン大学のRobert A. Stern氏らによる検討結果で、NEJM誌2019年4月10日号で発表された。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CTE部位のタウ蓄積量上昇が、個々の患者で、検出に役立つかどうかを調べる必要がある」と述べている。

若年性認知症の生存率に関するコホート研究

 若年性認知症患者の生存期間や平均余命、また年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係について、オランダ・Centre for Elderly CareのAdrie A. J. Gerritsen氏らが、調査を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  対象は、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)患者を含む、若年性認知症のニーズ調査に参加した198例。主要アウトカムは、症状発現後および診断後の生存期間とした。生存率と年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係を調査するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、平均余命への影響も調査した。