精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:182

成人の不眠症、アルコール摂取とADHD症状との関係

 薬物使用障害や不眠症は、成人の注意欠如多動症(ADHD)患者でよくみられる。ノルウェー・ベルゲン大学のAstri J. Lundervold氏らは、不眠症やアルコール摂取とADHD症状との関係を調査した。Frontiers in Psychology誌2020年5月27日号の報告。  成人ADHD患者235例(男性の割合:41.3%)と対照群184例(男性の割合:38%)を対象に、不眠症、アルコール摂取、ADHD症状をアンケートで収集した。不眠症はBergen Insomnia Scale(BIS)、アルコール摂取は飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)、ADHD症状は成人ADHD自己記入式症状チェックリストを用いて評価した。対象の大部分(95%)より、小児期のADHD症状はWender Utah Rating Scaleを用いて追加情報として収集し、内在化障害の生涯発生に関する情報は、背景情報の一部に含めた。

セロトニン5-HT2B拮抗作用と選択的セロトニン再取り込み阻害作用の影響

 これまでの研究では、抗うつ作用に対するセロトニン2B(5-HT2B)受容体の関与が示唆されている。アリピプラゾールは、治療抵抗性うつ病に対し選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用で有効性が認められており、すべての受容体のうち5-HT2B受容体への親和性が最も高い薬剤である。しかし、治療抵抗性うつ病の補助療法において5-HT2B受容体拮抗作用の潜在的な影響はあまり知られていなかった。カナダ・オタワ大学のRami Hamati氏らは、SSRI存在下における5-HT2B受容体拮抗作用の神経ニューロンに対する影響を検討した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年5月30日号の報告。

アルコール摂取と自殺リスク~メタ解析

 アルコール摂取はいくつかのアウトカムと関連するが、その1つに自殺リスクの増加がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏らは、アルコール摂取と自殺との関連を明らかにするため、コホート研究のメタ解析を実施した。Journal of Addictive Diseases誌2020年4~6月号の報告。  コホート研究30件をメタ解析に含めた。分析は、変量効果モデルに基づき実施し、その後、さまざまな変数を基にサブグループ解析を行った。  主な結果は以下のとおり。

ダウン症者のアルツハイマー病は予測可能、異常は20代から/Lancet

 ダウン症者におけるアルツハイマー病は、20年以上にわたる前臨床段階を有し、バイオマーカーの変化で予測可能であることが明らかにされた。スペイン・Barcelona Down Medical CenterのJuan Fortea氏らが、ダウン症候群者388例を含む横断研究の結果を報告した。アルツハイマー病とその合併症は、ダウン症の成人における主な死因となっている。先行研究で、ダウン症者のアルツハイマー病について評価は行われたが、ダウン症者におけるバイオマーカーの変化の経過は確認されていなかった。Lancet誌2020年6月27日号掲載の報告。  研究グループは、スペイン・バルセロナのSant Pau病院と、英国・ケンブリッジ大学で、ダウン症者とその対照群を集めて横断研究を行った。バルセロナでは、住民ベースの医療保険プランを通じて、またケンブリッジでは、英国とスコットランドの知的障害者支援サービスを通じて、18歳以上のダウン症者を集めた。

初回エピソード統合失調症患者における非定型抗精神病薬の神経認知効果

 認知障害は、統合失調症の主要症状の1つである。初回エピソード統合失調症患者の認知機能に対する非定型抗精神病薬の影響については、これまで包括的に調査されていなかった。中国・北京大学のYanyan Hou氏らは、初回エピソード統合失調症に対するリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾールの神経認知効果を比較するため、多施設ランダム化オープンラベル試験を実施した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年6月4日号の報告。  初回エピソード統合失調症患者546例の対象患者を、リスペリドン群、オランザピン群、アリピプラゾール群のいずれかにランダムに割り付け、1年間フォローアップを行った。認知機能の評価には、認知機能評価バッテリーを用いた。

日本人の妊娠出産による摂食障害再発や産後うつ病

 出産可能年齢の女性における摂食障害(ED)発症についての研究が行われている。しかし、妊娠中および出産後の女性を対象とした長期フォローアップ研究は、あまり行われていない。東邦大学の牧野 真理子氏らは、妊娠中および出産後のED再発とED完全寛解の女性における産後うつ病について調査を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2020年5月27日号の報告。  1994~2004年に診療所外来を受診したED患者1,008例のうち、ED寛解および妊娠した女性は55例であった。このうち、研究への参加に同意した患者は25例(神経性過食症[BN]21例、神経性食欲不振症[AN]4例)であった。最終的に、流産した患者を除く24例が研究に含まれた。対象患者は、妊娠中と出産後の両方で2週間ごとに面接を受けた。EDおよび産後うつ病の診断には、Eating Attitudes Test-26(EAT-26)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。統計分析には、両側独立検定を用いた。

急性期統合失調症における抗精神病薬の投与量~メタ解析

 急性期統合失調症における抗精神病薬の最適な投与量については、あまり知られていない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の最小有効量(MED)について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。  これまでのシステマティックレビューより、各抗精神病薬のMEDを特定した。次に、急性期統合失調症における固定用量の抗精神病薬単剤療法を含む二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を特定し、同一薬剤でMEDと高用量の比較を行った。研究の選定は、第2世代抗精神病薬とハロペリドールの用量反応性を調査した最近のメタ解析より行った。研究中止、精神病理、錐体外路症状、治療に伴う有害事象に関するデータを抽出した。各抗精神病薬のMED、MEDの2倍量、MEDの3倍量を比較するメタ解析を実施した。

『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』~気鋭の医師が提唱する未病の新たな概念

 医学書の範疇に収まらないユニークな著書を数多く持つ國松 淳和氏(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科)の最新作は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』。6月下旬に行われた出版記念セミナーにおいて、國松氏がコロナ禍の中で本書の執筆に至った経緯や読者に伝えたいポイントについて語った。  本の主題となる「シャムズ(CIAMS)」は國松氏の造語。新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、コロナに感染していないのに、不安から実際に体調を崩したり、他者に攻撃的になったりといったマイナスの変化が生じている人が増えたことに気づいた氏が、そうした状況と人を総称するために名付けたという。

混合性の双極性うつ病の小児・青年に対するルラシドンの有用性

 混合性(亜症候性躁病)の双極性うつ病の小児および青年の治療に対するルラシドンの有効性と安全性について、米国・スタンフォード大学のManpreet K. Singh氏らが、事後分析により評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月8日号の報告。  DSM-Vで双極I型うつ病と診断された10~17歳の患者を対象に、6週間のランダム化二重盲検試験を実施した。対象患者は、ルラシドン20~80mg(フレキシブルドーズ)またはプラセボを1日1回投与する群にランダムに割り付けられた。混合性(亜症候性躁病)は、ベースライン時のヤング躁病評価尺度(YMRS)5以上と定義した。評価項目は、ベースラインから6週目までのChildren's Depression Rating Scale-Revised(CDRS-R)スコア(主要評価項目)および臨床全般印象度-双極性障害 重症度(CGI-BP-S)スコアとし、反復測定分析による混合モデルを用いて評価した。

日本の実臨床におけるアリピプラゾール長時間作用型注射剤による統合失調症治療

 統合失調症患者のマネジメントでは、抗精神病薬治療の継続が重要である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本の実臨床においてアリピプラゾール長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)がアリピプラゾール経口剤(OA)と比較し、より長期間の治療継続に寄与できるかを評価するため、JMDCのレセプトデータベースを用いて検討を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2020年6月4日号の報告。  2015年5月~2017年11月にAOMまたはOAで治療を開始した統合失調症患者を対象に、データ分析を行った。年齢、性別、抗精神病薬のクロルプロマジン換算量、精神科への入院回数で調整した後、AOMとOAの治療中止のハザード比(HR)を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。