精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:162

降圧薬使用と認知機能との関連~メタ解析

 高血圧は、修正可能な認知症のリスク因子の1つである。しかし、認知機能を最適化するために、降圧薬のクラスエフェクトが存在するかは、よくわかっていない。オーストラリア・Neuroscience ResearchのRuth Peters氏らは、これまでの参加者データを含む包括的なメタ解析を用いて、特定の降圧薬クラスが認知機能低下や認知症リスクの低下と関連するかについて検討を行った。Neurology誌2020年1月21日号の報告。  適切な研究を特定するため、MEDLINE、Embase、PsycINFO、preexisting study consortiaより、2017年12月までの研究を検索した。プロスペクティブ縦断的ヒト対象研究または降圧薬試験の著者に対し、データ共有および協力の連絡を行った。アウトカム測定は、認知症発症または認知機能低下の発現とした。

ドパミン過感受性精神病における血漿モノアミンの変化

 初回エピソード統合失調症患者は、最初の抗精神病薬に良好な治療反応を示すことが多いが、再発患者の場合、治療反応率は約30%に低下する。この相違のメカニズムは明らかにされていないが、シナプス後のドパミンD2受容体のアップレギュレーションによるドパミン過感受性精神病の発症が、治療反応率の低下と関連している可能性がある。初回エピソード統合失調症患者とは対照的に、ドパミン過感受性精神病患者においてドパミン合成および放出の上昇が起こるのかはわかっていない。千葉大学の高瀬 正幸氏らは、ドパミン過感受性精神病における血漿モノアミンの変化について検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年1月21日号の報告。

統合失調症患者の再入院減少のための長時間作用型持効性注射剤の実際の効果

 抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)と経口剤の有効性に関する比較は、さまざまな方法論的な問題により明確になっていない。韓国・健康保険審査評価院のHye Ok Kim氏らは、統合失調症患者の再入院に対するLAIと経口抗精神病薬との比較を実施した。Annals of General Psychiatry誌2020年1月14日号の報告。  2008~17年の統合失調症入院患者7万5,274例を対象に、LAIと経口抗精神病薬の再入院に対する予防効果を比較するため、被験者内分析を実施した。再入院率は、非薬物療法、経口剤単独療法、LAI療法で比較を行った。各入院エピソードについて、入院前の治療の状態に従って比較を行った。

治療抵抗性うつ病のリスク因子~コホート研究

 治療抵抗性うつ病のリスク因子を明らかにすることは、メカニズムやリスクを有する患者を特定するために、役立つであろう。しかし、さまざまなリスク因子が治療抵抗性うつ病とどのように関連しているかは、よくわかっていない。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのFrederikke Hordam Gronemann氏らは、治療抵抗性うつ病と社会人口統計学的および臨床的なリスク因子との独立した関連性について、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年1月15日号の報告。

血清BDNF濃度、短時間睡眠を伴う不眠と関連か

 神経系から分泌されるタンパク質である脳由来神経栄養因子(BDNF)は、神経細胞の発生・成長・維持・修復に働くが、ヒトの睡眠の調節にも関与することが示されている。今回、京都大学の降籏 隆二氏らは、血清BDNF濃度と睡眠障害との関連について短時間睡眠を伴う不眠(insomnia with short sleep duration:ISS)に着目し、横断研究を実施した。その結果、ISSが血清BDNF濃度の低下と関連している可能性が示された。Sleep Medicine誌2020年4月号に掲載。

オランザピン研究の最新レビュー

 多くのエビデンスによってオランザピンは、米国で発売されている抗精神病薬の中で、クロザピンを除き最も効果的な薬剤の1つであるといわれている。しかしオランザピンは、代謝関連の副作用(とくに体重増加)の問題が報告されている。誘発される体重増加をコントロールするための戦略を明らかにすることで、オランザピンの臨床的有用性を再評価できると考えられる。米国・コロンビア大学のAmir M. Meftah氏らは、2008年と2009年に行ったレビュー以降のオランザピンに関する最近のエビデンスをレビューし、統合失調症およびその他の疾患への使用、オランザピン20mg/日超の安全性について検討を行った。Postgraduate Medicine誌オンライン版2020年1月3日号の報告。

神経疾患は自殺死のリスクを高めるか/JAMA

 1980~2016年のデンマークでは、神経疾患の診断を受けた集団は、これを受けていない集団に比べ、自殺率が統計学的に有意に高いものの、その絶対リスクの差は小さいことが、同国Mental Health Centre CopenhagenのAnnette Erlangsen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。神経学的障害は自殺と関連することが示されているが、広範な神経学的障害全体の自殺リスクの評価は十分に行われていないという。

統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識欠如との関係~メタ解析

 最近の研究では、統合失調症患者において、顔の感情認識の欠如が一般的に認められていると報告されているが、その理由についてはよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDavid Martin氏らは、統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月11日号の報告。  統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連についての研究を、システマティックにレビューした。利用可能で十分なデータを有する研究のメタ解析を行い、それ以外の研究はナラティブレビューを行った。一般化および特定の顔の感情認識の欠如に対してメタ解析を実施した。

最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。  急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。

治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。  統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。