精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:165

治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。  統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。

アリピプラゾール長時間作用型注射剤で治療された患者の臨床経過

 抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、統合失調症および関連疾患患者の治療を維持し、アドヒアランスを確保するうえで、効果的な治療オプションである。アリピプラゾールLAIは、治療アドヒアランスを改善し、再発を軽減することが可能な非定型抗精神病薬である。スペイン・Health Centre Los AngelesのJuan Carlos Garcia Alvarez氏らは、6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療による、精神症状や社会機能の改善、副作用の軽減、抗精神病薬併用の減少に対する効果について、評価を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年1月14日号の報告。

うつ病とその後の認知症診断との関連~コホート研究

 うつ病は、認知症リスクの増加に関連する疾患である。しかし、これまでの研究においてはフォローアップ期間の短さ、家族要因の調整不足が、うつ病と認知症との関連に影響を及ぼしていた可能性がある。スウェーデン・ウメオ大学のSofie Holmquist氏らは、家族要因を調整したうえで35年以上のフォローアップを実施し、うつ病とその後の認知症との関連を調査した。PLOS medicine誌2020年1月9日号の報告。  2005年12月31日の時点でスウェーデン在住であり50歳以上の334万1,010人より、2つのコホートを形成した。うつ病と認知症の診断を特定するため、1964~2016年のSwedish National Patient Registerのデータを検索した。コホート1では、うつ病患者11万9,386例と非うつ病対照群を1対1でマッチさせた集団一致コホート研究を実施した。コホート2では、うつ状態が異なる同性の兄弟5万644例を対象とし、兄弟コホートを実施した。

境界性パーソナリティ障害とADHDの関係に対する環境の影響

 近年の研究において、小児期の注意欠如多動症(ADHD)から成人期の境界性パーソナリティ障害(BPD)への移行が示唆されている。一般的な遺伝的影響が知られているが、生涯を通じてある疾患から別の疾患へ移行する可能性に対する環境要因の影響に関するエビデンスは、ほとんどない。スペイン・Hospital Universitary Vall d'HebronのNatalia Calvo氏らは、ADHD児におけるBPD発症リスク因子として、小児期のトラウマの影響を検証するため、既存のエビデンスのレビューを行った。Borderline Personality Disorder and Emotion Dysregulation誌2020年1月6日号の報告。

ベンゾジアゼピンやZ薬と認知症リスク

 高齢化とともに、ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の使用は大幅に増加する。しかし、BZDやZ薬は、認知症発症リスクに対する懸念事項となっている。台湾・国立陽明大学のLi-Yen Tseng氏らは、BZDやZ薬の半減期や併用を考慮し、その後の認知症発症リスクを評価するためコホート研究を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。  対象は、台湾の全民健康保険研究データベースより抽出した、2003~12年に経口BZDまたはZ薬を新規で処方された65歳以上の高齢者。すべてのBZDは、さらなる比較を行うため、長時間作用型(20時間以上)または短時間作用型(20時間未満)に分類した。

日本人高齢男性における飲酒と認知機能との関係

 大量の飲酒は、認知機能障害のリスク因子として知られているが、適度な飲酒においても同様の影響が認められるかどうかは、よくわかっていない。これまでの観察研究では、とくに高齢者において、中程度の飲酒による認知機能への潜在的なベネフィットが報告されているが、アジア人ではこの影響が実証されていなかった。滋賀医科大学のAli Tanweer Siddiquee氏らは、認知障害のない日本人高齢男性を対象に、飲酒レベルと認知機能との関連について調査を行った。Alcohol誌オンライン版2020年1月7日号の報告。

日本人統合失調症患者における長時間作用型抗精神病薬の使用と再入院率~全国データベース研究

 統合失調症患者に対する抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)について、現在の処方状況および臨床結果を調査することは重要である。国立精神・神経医療研究センターの臼杵 理人氏らは、日本での統合失調症患者に対する抗精神病薬LAIについて、その処方割合と再入院率に関する調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年12月25日号の報告。  日本のレセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、オープンデータセットを作成した。統合失調症の患者レコードを使用した。

米国うつ病患者の薬物療法と治療パターン

 ケアの潜在的なギャップを特定するためには、リアルワールドで患者がどのように治療されているか理解することが不可欠である。米国・Janssen Research & DevelopmentのDavid M. Kern氏らは、現在の米国におけるうつ病に対する薬理学的治療パターンについて解析を行った。BMC Psychiatry誌2020年1月3日号の報告。  2014年1月~2019年1月に、4つの大規模な米国レセプトデータベースよりうつ病患者を特定した。対象は2回以上のうつ病診断歴またはうつ病入院患者で、最初のうつ病診断の1年以上前および診断後3年間にデータベースへの登録がある患者を適格とした。

レビー小体型認知症の認知機能低下~アルツハイマー病との比較

 レビー小体型認知症(DLB)患者は、アルツハイマー病(AD)患者と比較し、認知機能低下がより速いといわれている。しかし、この認知機能低下の変動の違いについては、あまり注目されていなかった。ノルウェー・Haraldsplass Deaconess HospitalのLasse Melvaer Giil氏らは、DLB患者とAD患者の認知機能低下の違いについて検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年1月2日号の報告。  このDemVest研究では、軽度認知症患者222例(AD患者137例、DLB患者85例)を対象に、ベースラインから5年間のミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、評価を行った。学習年数、年齢、性別、診断を独立変数として、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、線形混合モデルを用いた。

高齢患者に対するスボレキサントの安全性と有効性~使用成績調査のサブ解析

 スボレキサントの第III相国際共同試験において、高齢患者と非高齢患者との間で、スボレキサントの安全性および有効性プロファイルに明らかな変化は認められなかった。しかし、日常診療でみられる併存疾患を有する高齢患者に対して、スボレキサントの臨床プロファイルは評価されていなかった。MSD株式会社の竹内 裕子氏らは、日常診療での高齢不眠症患者に対するスボレキサントの安全性および有効性プロファイルをより明らかにするため、市販後の使用成績調査のサブグループ解析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年12月20日号の報告。