耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:19

原因は何?食欲不振から始まる「負の連鎖」

 食欲の秋と形容されるこの季節。食べたいと思えるのは、味覚や嗅覚で「おいしい」と感じられてこそだが、その味覚に異常を来す原因の1つが亜鉛の不足によるもの。今月4日、都内で開催されたセミナー「食欲の秋に考える、味覚異常や食欲不振からおこる負の連鎖―亜鉛不足からはじまるフレイルへの道―」(ノーベルファーマ株式会社主催)では、この点に着目して、2人の専門家が講演を行った。このうち、味覚異常に特化した外来診療に携わる任 智美氏(兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科)は、「高齢者においては、薬剤性の味覚障害が多いのが特徴。患者さんが最も自覚しやすい不調であり、亜鉛補充で好転するケースも多いので、丁寧に訴えを聞いて、解決に導いてほしい」と述べた。

流行性耳下腺炎アウトブレイク時のMMRワクチン追加接種の有効性(解説:小金丸博氏)-744

流行性耳下腺炎(ムンプス)は、ワクチンで予防可能なウイルス疾患である。米国では麻疹・ムンプス・風疹混合ワクチン(MMRワクチン)の2回接種がワクチンプログラムに組み込まれており、ムンプス症例は2005年までに99%減少したが、近年も数千人規模のアウトブレイク事例が報告されている。ムンプスのアウトブレイクは、90%以上がきちんとワクチンの2回接種を済ましている大学生の間でも、たびたび報告されている。アウトブレイクを制御するための手段の1つにMMRワクチン3回目の追加接種が挙げられるが、この方法の有効性は明確になっていなかった。

糖尿病のリスクが放射線によるがんリスクより増加

 2011年の福島原発事故は、住民の生活習慣病や放射線被ばくなどの複数のリスクの増加と恐怖を引き起こした。福島県立医科大学の村上 道夫氏らが、原発事故関連の放射線によるがんリスクと糖尿病リスクの増加について損失余命(LLE)を用いて評価したところ、糖尿病関連のLLEが放射線被ばくによるがん関連のLLEを大きく上回った。PLOS ONE誌2017年9月28日号に掲載。

流行性耳下腺炎のMMRワクチン接種 3回 vs.2回/NEJM

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチン(MMRワクチン)について、米国疾病予防管理センター(CDC)のCristina V. Cardemil氏らが大学生を対象とした検討で、3回接種者では2回接種者よりも流行性耳下腺炎のリスクが低下したことを明らかにした。米国では、小児期にMMRワクチンの2回接種がプログラムされている。しかし、大学生での流行性耳下腺炎のアウトブレイクがたびたび報告されており、2015年夏~秋にはアイオワ大学で集団発生が起きた。本報告は、そのアウトブレイクの後半に保健当局者がMMRワクチン接種キャンペーンを呼びかけ、3回目の接種に応じた学生の有効性を2回目の接種時期からの年数で補正を行い検討した結果で、2回目の接種時期が、今回のアウトブレイクよりも13年以上前であった学生は、流行性耳下腺炎のリスクが高かったことも明らかにした。これまで、MMRワクチンの3回投与が流行性耳下腺炎のアウトブレイクを制御するかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。

うつ病患者の多い診療科はどこか

 うつ病や抑うつ症状は、患者の健康関連QOLや医療満足度に大きな影響を及ぼす一般的な精神疾患であるが、どの程度まん延しているかは、公表された研究間で大きく異なる。中国・中山大学のJinghui Wang氏らは、異なる臨床専門分野における外来患者のうつ病または抑うつ症状の有病率について的確な推定値を導き出すため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。BMJ open誌2017年8月23日号の報告。

眼瞼下垂、睡眠時無呼吸との関連は?

 眼瞼弛緩症候群と睡眠時無呼吸症候群(OSA)の関連は数多く報告されているが、眼瞼弛緩症候群の診断基準は主観的で曖昧である。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のTimothy P. Fox氏らが、睡眠クリニックで終夜睡眠ポリグラフ検査を行った患者201例を対象に調査した結果、眼瞼弛緩スコアとOSAの存在または重症度の関連は認められなかったと報告した。著者は、「サブグループ解析の結果から、先行研究は交絡因子や眼瞼弛緩の確認手技において限界があったことが示唆される」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年9月7日号掲載の報告。

がん診断後の禁煙、生存率への効果は?

 がん患者が禁煙することで死亡率が低下するかはわかっていない。今回、英国・オックスフォード大学のConstantinos Koshiaris氏らが、喫煙関連がんの患者において禁煙と予後の関連を検討した結果、肺がんと上部気道消化管がんでは禁煙した患者は喫煙し続けた患者より死亡リスクが低いことが示された。British journal of cancer誌2017年9月12日号に掲載。

口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。

大部分のがんは男性で発症しやすく生存率も低い

 がんの発症リスクと生存率における性差について、スウェーデンがん登録のデータで調査したところ、男性のほうが39がん種のうち34がん種で発症リスクが高く、27がん種で生存率が低いことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らが報告した。著者らは、「これらの性差を引き起こす原因を特定して排除することで、全体的ながん負担を軽減させる可能性がある」としている。European journal of cancer誌オンライン版2017年8月10日号に掲載。

ebselenは騒音性難聴の予防に有効か?/Lancet

 騒音性一過性閾値変化(TTS)の予防に、新規グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPx1)様物質ebselenの投与(400mgを1日2回)は有効かつ安全であることが示された。米国・Sound Pharmaceuticals社のJonathan Kil氏らが、若年成人を対象とした第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究において、急性騒音曝露後にGPx1活性が減少することや、ebselenが一過性騒音性難聴および永久性騒音性難聴の両方を軽減させることが動物実験で示されていた。騒音性難聴は、職業性または娯楽に関連した難聴の主たる原因であり、加齢性難聴の主要な決定要素でもあるが、その予防薬あるいは治療薬は開発されていない。著者は、「今回の結果は、急性騒音性難聴におけるGPx1活性の役割を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。