整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

中年者の半月板変性断裂には運動療法が推奨/BMJ

 中年者の半月板変性断裂に対する、運動療法 vs.関節鏡下半月板部分切除術の優越性を検討した無作為化試験の結果、2年時点で両群間に有意差は認められなかったことが、ノルウェー・Martina Hansens HospitalのNina Jullum Kise氏らにより発表された。一方で3ヵ月後の短期評価では、運動療法群のほうが筋力の有意な改善が認められた。著者は、「疼痛を有しMRIで半月板変性断裂を確認したが、X線画像所見として変形関節症の徴候が認められない場合は、運動療法を治療オプションと考慮すべきである」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月20日号掲載の報告。

がん脊椎転移、手術が不適な患者とは

 治療の進歩により転移性がん患者の生存期間が延長したことから、症候性脊椎転移が増加している。脊椎の病的骨折や脊髄圧迫を有する患者には、手術で痛みを軽減しQOLを改善することができるが、通常、生存期間が3ヵ月未満と推測される場合には手術は不適と考えられている。今回、手術が不適な患者への手術回避を目的として、日本を含む国際多施設共同研究により、術後3ヵ月または2年以内に死亡した患者のデータを分析し、生存期間に関連する術前因子を検討した。その結果、生存期間は全身の術前状態に依存し、とくに術前に「Karnofsky performance score(KPS)が低い」ことが3ヵ月未満の死亡に有意に関連し、「転移脊椎数が少ない」「原発腫瘍が予後良好な組織型」ことが長期生存に有意に関連していたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJorrit-Jan Verlaan氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年7月11日号に掲載。

新医療機器―早期の解禁と安全面の担保、どちらを優先しますか?(解説:折笠 秀樹 氏)-566

EU・米国で認可された医療機器の安全性に関する報告があった。EU・米国で認可された309件の医療機器を調査した。EUで先に認可された機器に安全面の問題が多かった、という結論である。安全面の報告レベルには、安全性警告(Safety Alert)・回収(Recall)・撤収(Withdrawal)の3種類が知られる。この順に厳しくなっている。本研究では、安全性警告・回収の割合をEU・米国で比較した。EU先行認可の機器では27%(=62/232件)、米国先行認可の機器では14%(=11/77件)であり、EUで先に認可された医療機器に安全面の懸念がうかがわれた。

新規医療機器の承認と安全性をめぐる議論、問題の本質とは/BMJ

 欧州連合(EU)で先に承認された医療機器は、米国で先に承認された医療機器と比べて、市販後の安全性に関する警告およびリコールの割合が高いことが、ハーバード大学リベラルアーツ学部のThomas J Hwang氏らによる検討の結果、示された。EUでは、医療機器の承認は民間の認証機関によって行われ、性能基準を満たし安全と見なされれば、同機関が有効性のエビデンスを求めることはほとんどない。そのためハイリスク医療機器についても、米国では食品医薬品局(FDA)が前向き臨床試験を求めるが、EUでは速やかに承認される。そうした中で、厳正な臨床試験が行われずに承認された埋設医療機器の安全性をめぐる議論が巻き起こったのを契機に、EUと米国で規制見直しを求める声が高まっているという。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報

慢性疼痛へのLAオピオイドと全死因死亡リスク/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対する長時間作用型(LA)オピオイドの処方は、抗けいれん鎮痛薬や低用量抗うつ薬の処方と比較して、過剰摂取以外の原因を含む全死因死亡リスクを有意に増大することが、米国・ヴァンダービルト大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、示された。絶対リスクの差はわずかであった。著者は、「今回の結果を、治療の有害性や有益性を評価する際に考慮すべきである」と述べている。LAオピオイドは、無作為の過剰摂取リスクを増大し、心臓・呼吸器系およびその他による死亡も増大させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2016年6月14日号掲載の報告。

関節リウマチに対してリツキシマブはTNF阻害薬と効果は同等(非劣性)で費用対効果はむしろ高い(解説:金子 開知 氏)-554

リツキシマブは、CD20(成熟B細胞の表面抗原)を標的としたキメラ型モノクローナル抗体であり、TNF阻害薬やIL-6阻害薬とは異なる作用点を有する生物学的製剤である。リツキシマブの投与により自己抗体産生が低下し、自己免疫性疾患の治療効果が期待されている。わが国では、関節リウマチ(RA)に対するリツキシマブの保険適用はないが、欧米ではTNF阻害薬に抵抗性のRAに対して認可されている。これまでRA治療の生物学的製剤導入療法として、リツキシマブとTNF阻害薬の有効性、安全性、費用対効果などを直接比較した臨床研究はなかった。

関節リウマチへのリツキシマブ、TNF阻害薬に非劣性/Lancet

 関節リウマチ(RA)治療の生物学的製剤導入療法として、TNF阻害薬とリツキシマブを比較する、初となる無作為化比較試験が、英国・グラスゴー大学のDuncan Porter氏らにより行われた。有効性、安全性、費用対効果について調べた結果、リツキシマブのTNF阻害薬に対する非劣性が認められたという。Lancet誌オンライン版2016年5月16日号掲載の報告より。

人工股関節全置換術の施行に患者間格差/BMJ

 大腿骨頚部骨折患者における人工股関節全置換術(THA)の施行に関して、患者間格差が存在することが、英国・リバプール大学のDaniel C Perry氏らが行った全英大腿骨骨折データベース(NHFD)を活用した観察コホート研究の結果、明らかにされた。貧困層や手術を週末に希望する患者でTHA施行が低い傾向が判明したという。大腿骨骨折患者には、半関節形成術よりもTHAのほうが機能的アウトカムは良好であり、同国NICE(National Institute for Health and Care Excellence)ガイドラインは、THAの施行を推奨している。しかし、今回の調査でガイドライン順守の低調さも明らかになった。著者は、「至適患者には適切に手術が行われるよう、改善に努めなくてはならない」と提言している。BMJ誌オンライン2016年4月27日号掲載の報告。

「リウマチ治療のブレークスルーとなりうるか」 JAK1/2阻害剤baricitinib第III相国際共同臨床試験日本人部分集団解析より

 長足の進歩を遂げてきた関節リウマチ(RA)治療であるが、それでもいまだ解決されない課題も存在する。多くの臨床医にとって頭の痛い問題は、アンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)に不耐となった場合、十分な有効性を示す治療オプションが限定されていることである。また、MTX不応となり、生物学的製剤を選択する場合、多くの生物学的製剤がMTX併用下で有用性を示しているため、MTXを併用せざるを得ないことが多く、単剤で十分な有効性を示す治療選択肢がきわめて少ないことも課題といえよう。