腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:332

抗PD-1抗体キイトルーダ、11月の薬価収載見送り

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2016年11月9日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:キイトルーダ点滴静注20mgおよび100mg、以下キイトルーダ)の11月の薬価収載を見送ると発表した。2016年9月28日に、根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果について製造販売承認を取得後、薬価収載に向けて準備を進めていた。

「肺癌診療ガイドライン」の意義、上手な使い方とは

 新たな治療薬が続々と発売されている肺がん。この10年で「肺癌診療ガイドライン」(日本肺癌学会編)は記載形式や推奨方針が大きく変化してきている。2016年10月28日開催の第13回肺がん医療向上委員会において、その変遷や意義について、日本肺癌学会ガイドライン検討委員会 薬物療法および集学的治療小委員会 委員長である瀬戸 貴司氏(国立病院機構九州がんセンター 呼吸器腫瘍科)が講演した。

T790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

 オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は、EGFR-TKI耐性およびT790M変異に対する強力かつ不可逆的なEGFR–TKIである。この研究は、既存のEGFR-TKIによる前治療後に増悪したT790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者におけるオシメルチニブの有効性および安全性を評価した第II相試験AURA2の中間解析。Lancet Oncology誌オンライン版2016年10月14日号の掲載の報告。

GLP-1アナログ製剤で乳がんリスクは増大するか/BMJ

 英国のプライマリケアデータベースを用いたコホート研究の結果、GLP-1アナログ製剤の使用と乳がんリスク上昇との関連性は確認されなかった。カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M Hicks氏らが、2型糖尿病患者の乳がん発症リスクとDPP-4阻害薬あるいはGLP-1アナログ製剤の使用との関連を解析し、報告したもの。GLP-1アナログ製剤のリラグルチドでは、無作為化試験においてプラセボと比較し乳がん発症が多くみられたことが報告されていたが、この安全性について分析する観察研究は、これまでなかった。著者は、「検討では、使用期間2~3年ではリスク上昇が観察されたが、GLP-1アナログ製剤使用患者の乳がん検出率が一時的に増加したためと考えられる。ただし、発がんプロモーターの影響を排除することはできない」と述べている。BMJ誌2016年10月20日号掲載の報告。

果物摂取と胃がんリスクが逆相関~日中韓での研究

 果物・野菜の摂取と胃がんリスクとの関連について疫学的な知見は一貫していない。北京大学のTianyi Wang氏らは、日本・中国・韓国において前向き試験のプール解析を行った結果、果物の摂取量が多いと非噴門部胃がんリスクが低下する可能性を報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年10月19日号に掲載。

腎細胞がんの術後補助療法、スニチニブで予後改善/NEJM

 腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がん患者の術後補助療法において、スニチニブは良好な予後をもたらすことが、フランス・Saint Andre病院のAlain Ravaud氏らが実施したS-TRAC試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。転移性腎細胞がんの予後は過去10年改善されておらず、この間にサイトカイン療法、放射線療法、ホルモン療法などによる術後補助療法が試みられたが、再発率の抑制には成功していない。血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬であるスニチニブは、転移性腎細胞がんに対する有効性が確認されている。

StageIII悪性黒色腫の術後補助療法にイピリムマブは有用/NEJM

 切除後の高リスクStage III悪性黒色腫の術後補助療法として、イピリムマブは一定の有害事象の負担はあるものの無再発生存(RFS)期間を10ヵ月以上延長し、全生存(OS)の改善をもたらすことが、フランス・Gustave Roussy Cancer Campus Grand ParisのAlexander MM Eggermont氏らが進めるEORTC 18071試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月8日号に掲載された。イピリムマブは、T細胞上のCTLA-4に選択的なIgG-1の完全ヒト型モノクローナル抗体で、進行悪性黒色腫の治療薬(3mg/kg)として、2011年、欧米で承認を得ている。その後の第II相試験では、用量0.3および3mg/kgに比べ10mg/kgの効果が優れることが報告されている。

ニボルマブ、既治療・再発頭頸部扁平上皮がんのOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法施行後に再発した頭頸部扁平上皮がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブは標準治療に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのRobert L Ferris氏らが行ったCheckMate 141試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。頭頸部扁平上皮がんの原発または再発病変に対し、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢が進行した症例の、OS期間中央値は6ヵ月に満たないが、これらの患者のOS期間を延長する治療選択肢はない。頭頸部扁平上皮がんの転移・再発病変は、T細胞抑制性の免疫チェックポイント受容体であるプログラム死1(PD-1)のリガンド(PD-L1、PD-L2)の発現によって部分的に誘導される免疫回避により、促進されることが知られている。