腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:331

糖尿病合併乳がんの血糖値と生命予後を改善するには

 糖尿病を合併した乳がん患者は、糖尿病非合併患者と比べ予後が不良であると言われている。そのため、乳がんの転帰を改善するための抗糖尿病薬の評価が行われるようになった。メトホルミンは、主として肝臓の糖新生を抑制する抗糖尿病薬である。乳がん患者5,464人を対象とした最近のメタアナリシスでは、メトホルミン治療が、乳がん患者の全生存期間(OS)、がん特異的生存率の双方を改善することが報告されている。この研究は、HER2陽性乳がんのアジュバント患者を対象にしたラパチニブの第III相試験ALTTOのサブ解析として行われた。糖尿病合併患者の無病生存期間(DFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、OSを、メトホルミン投与の有無に分けて、糖尿病非合併患者と比較し、メトホルミンが糖尿病合併HER2陽性乳がん患者の転帰を改善するかを評価した。

短期の放射線療法+テモゾロミドは、高齢膠芽腫患者の生存を延長(解説:中川原 譲二 氏)-667

高齢者の膠芽腫は予後不良である。70歳以下の患者では、標準放射線療法(60Gy/6週間)+テモゾロミドの追加により生存期間の延長が示されていた。一方、高齢患者にはより楽な短期の放射線療法が通常用いられているが、短期の放射線療法+テモゾロミド併用の有効性は不明であった。カナダ・オデットがんセンターのJames R Perry氏らは、65歳以上の初発膠芽腫患者を対象とした第III相無作為化試験によって、高齢の膠芽腫患者に対する短期の放射線療法+テモゾロミドは、放射線療法単独と比較して生存期間を延長させることを明らかにした(NEJM誌2017年3月16日号)。

非肥満・非糖尿病でも、高インスリン血症でがん死亡増

 肥満や2 型糖尿病はがん関連死亡と関連しているが、肥満でも糖尿病でもない場合に高インスリン血症はがん死亡の危険因子となるのだろうか。国立国際医療研究センター病院の辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究で、糖尿病ではない非肥満者において、高インスリン血症だとがん死亡リスクが高いことが示された。この結果から、肥満であるかどうかにかかわらず、高インスリン血症の改善はがん予防のための重要なアプローチとなりうる、と著者らは結論している。International journal of cancer誌オンライン版2017年4月8日号に掲載。

PSA監視療法は手術、放射線治療よりも短期的にはQOLで優位(解説:榎本 裕 氏)-666

限局性前立腺がんの治療は大きく変化している。手術では、より侵襲の少ないロボット支援前立腺全摘除術(RARP)が普及している。放射線治療では、強度変調放射線照射(IMRT)によってより安全に高線量照射が可能になり、有害事象を増やすことなく治療成績が向上した。一方で、PSA監視療法(AS)は低リスク症例を中心に限局性前立腺がんの管理方法としての地位を確かなものにしている。

アレクチニブ、ALK肺がん1次治療に海外でも良好な結果:ALEX 試験

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、F. ホフマン・ラ・ロシュ社が実施した ALK 融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第 III 相臨床試験であるALEX 試験において、アレクチニブによる1次治療がクリゾチニブに対して主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したと発表。国内第III相試験J-ALEX 試験の結果に続き、海外においてもアレクチニブでPFSの有意な延長が示されたことになる。

前立腺がんの3つの治療戦略、QOLに差はあるか/JAMA

 局所前立腺がんの3つの治療戦略(根治的前立腺全摘除術、外部照射療法、小線源療法)は、有害事象の発現パターンがさまざまであり、積極的監視療法と比較して2年後のQOLにほとんど差はないことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のRonald C Chen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年3月21日号に掲載された。前立腺がん患者の余命は延長しており、個々の治療選択肢のQOLへの影響は、患者の意思決定プロセスにおける中心的な関心事項となっている。