腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:193

日本人EGFR変異肺がん1次治療、エルロチニブ+ベバシズマブのOS(JO25567)/Lung Cancer

 EGFRとVEGF阻害薬の併用療法は有益なのか。日本人を対象とした無作為化第II相JO25567試験において、化学療法未治療EGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法はエルロチニブ単剤に比べ全生存(OS)期間の有意差は認められなかった。和歌山県立医科大学の山本信之氏らが、追跡期間中央値34.7ヵ月における最終解析の結果で、患者個々の特性による違いもみられなかったという。同試験では無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示されており、今回のアップデート解析でもPFSについては有意な延長が認められた。著者は今回の結果を踏まえて、「EGFRとVEGF阻害薬の併用療法を評価する進行中の試験の結果が待ち望まれる」と述べている。Lung Cancer誌2020年11月20日号掲載の報告。

大腸がんの術後補助化学療法、CAPOX療法3ヵ月投与の意義(IDEA)/Lancet Oncol

 StageIII大腸がん患者を対象とした術後補助化学療法について、無作為化第III相試験6件を前向きに統合解析した結果が報告された。フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らInternational Duration Evaluation of Adjuvant Therapy(IDEA)collaborationによる検討で、全生存(OS)期間に関して、3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性は示されなかったが、最終解析の結果、5年OSの絶対差は0.4%であった。結果を踏まえて著者は、「StageIII大腸がんに対する術後補助化学療法では、臨床的にほとんどの患者において3ヵ月間のCAPOX療法が支持される」と述べたうえで、「この結論は、投与期間の短縮による毒性や医療費の軽減によってさらに強固なものとなる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年12月号掲載の報告。

血液による乳がん検診法開発へ、初の大規模試験開始/国立がん研究センター

 血液中マイクロRNAがんマーカーの乳がん検診での応用を検証する、3,000人対象の大規模臨床試験が全国 4 道県でスタートする。研究班は国立がん研究センターを中心に、国立国際医療研究センター、東京医科大学、日本対がん協会、東レの研究者らで構成し、北海道と福井県、愛媛県、鹿児島の各日本対がん協会支部、がん専門病院、大学病院などの協力を得て実施される。12月14日、国立がん研究センターがプレスリリースで発表した。  本試験で用いるのは、各検診機関での乳がん検診受診者の血液検体。がん等の疾患にともなって種類や量が変動することが明らかになっている血液中のマイクロRNAを東レの3Dジーンという技術で測定する。この測定には、13 種類のがんを対象にした「体液中マイクロ RNA 測定技術基盤開発」(2014~18 年度)で開発された診断モデルと検出技術が用いられる。本試験は、この基礎研究での成果を実際のがん検診で応用できるかどうかを検証するために計画されたもので、13 種類一つひとつのがんについて精度を検証していく必要があるとの考えから、まずは検出方法の開発が先行している乳がんを対象に初めて実施される。

brigatinib、日本人ALK陽性NSCLCでも有望(J -ALTA)/JTO

 日本人を対象とした、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するbrigatinibの有効性と安全性を検討した第II相無作為化試験「J-ALTA試験」の結果が、がん研有明病院の西尾 誠人氏らにより論文発表された。多施設共同、単群非盲検による検討で、アレクチニブ難治性の日本人患者において、臨床的に意義のある有効性が示されたという。brigatinibは臨床的関連があるALK遺伝子変異に対して強力かつ幅広い活性を有するよう設計された次世代ALK-TKIであり、米国では本年承認された。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与でPFS延長(PRECIOUS)/SABCS2020

 ペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法治療歴のある、局所進行または転移を有するHER2陽性乳がんに対し、3次/4次治療としてのペルツズマブ再投与が無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告された。熊本大学の山本 豊氏が、第III相JBCRG-M05(PRECIOUS)試験の結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 ・対象:1次/2次治療としてペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法による治療歴のある局所進行または転移を有するHER2陽性乳がん(ECOG PS 0-2、治療歴<4レジメン[直近のレジメンでペルツズマブ投与なし]、ベースライン時のLVEF≧50%)217例 ・試験群:ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法* 108例 ・対照群:トラスツズマブ+主治医選択による化学療法* 109例

オシメルチニブのEGFR変異肺がん術後補助療法が承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年12月18日、EGFR変異(exon19 delまたはexon21 L858R)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者の腫瘍切除後補助療法として、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)を承認した。  今回の承認は、術前補助化学療法の有無にかかわらず、完全な腫瘍切除が行われたEGFR変異陽性(exon19 delまたはexon21 L858R)NSCLC患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験ADAURAに基づくもの。ADAURA試験では682例の患者が、オシメルチニブ80mg/日またはプラセボに1対1に無作為化され、比較された。

慢性リンパ性白血病におけるBTK阻害剤 アカラブルチニブの心血管系有害事象

 アストラゼネカは第62回米国血液学会で、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤アカラブルチニブ単剤療法を受けた患者762例の心血管安全性データの統合解析において、アカラブルチニブで投与中止に至る心血管系の有害事象(AE)の発現率が1%未満であったと発表した。  この解析は、第III相のELEVATE-TN試験とASCEND試験、第II相の15-H-0016試験、そして第I/II相ACE-CL-001試験の4つの臨床試験が対象となり、アカラブルチニブ単剤療法を受けた未治療、または再発/難治性 CLLの患者が含まれている。

肺癌診療ガイドライン2020薬物療法の改訂ポイント/日本肺癌学会

 肺癌診療ガイドラインが改訂され、2020年版が発刊された。第61回日本肺癌学会学術集会の教育講演では、薬物療法領域の変更点について岡山大学の堀田勝幸氏が発表した。  一次治療におけるゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドの追加(CQ52 2A)、エルロチニブと血管新生阻害薬の併用がアップデート(CQ52 2A)されるなど改訂された。  二次治療において、アレクチニブの使用のアップデート(CQ59 1C)、新たなALK-TKIブリガチニブが追加(CQ59 2C)されるなど改訂された。  MET遺伝子変異陽性が新設され、MET-TKI(テポチニブ、カプマチニブ)の推奨が追加された(CQ62 1C)。

高齢者扁平上皮NSCLCの新スタンダードとなるか(CAPITAL)/名古屋医療センター

 高齢者のStage IIIB/IV扁平上皮非小細胞肺がん(SQ NSCLC)1次治療の標準治療が世代交代か。nab-パクリタキセルとカルボプラチンの併用(nab-PTX+CBDCA)とドセタキセル(DTX)単剤を比較した無作為化第III相試験CAPITAL試験の結果を名古屋医療センターが発表した。  肺がんには高齢患者が多い。高齢患者の標準化学療法は長期にわたりドセタキセル単剤である。非扁平非小細胞肺がん(NSQ NSCLC)おいては、JCOG1210/WJOG7813L試験でカルボプラチン+ペメトレキセドのDTX単剤に対する非劣性が示され、2019年の肺癌診療ガイドラインでCBDCA併用レジメンの使用が推奨された。

TN乳がん1次治療でのipatasertib+ PTX、PIK3CA/AKT1/PTEN変異を持つ患者でPFS改善せず(IPATunity130)/SABCS2020

 PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を持つ、手術不能な局所進行または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者の1次治療において、経口AKT阻害薬ipatasertibとパクリタキセル(PTX)の併用は、PTXのみと比較してPFSの改善がみられなかった。シンガポール・国立がんセンターのRebecca Dent氏が、第III相IPATunity130試験コホートAの結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  同治療法については、第II相LOTUS試験において無増悪生存期間(PFS)の改善が報告され、なかでもPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を有する患者でより顕著な効果が得られていた。