腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:182

STAMP阻害薬asciminib 、慢性骨髄性白血病で良好なMMR率/ノバルティス

 ノバルティスは、2020年12月8日、第III相ASCEMBL試験において、ABLミリストイルポケット(STAMP)を特異的に標的とする新規治験薬asciminib(ABL001)が、2剤以上のTKI治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者において、ボスチニブに比べほぼ2倍の投与24週時点のMMR率を達成したと発表(25.5% vs.13.2%、両側p=0.029)。これらのデータは第62回米国血液学会議(ASH)のLate Breakingセッションで発表された。  ASCEMBL試験では、233例の患者が無作為化され、asciminib40mg x 2/日(n=157)、またはボスチニブ500mg/日(n=76)のいずれかが投与された。

免疫チェックポイント阻害薬関連の乾癬、重症度や対処法は?

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に関連した乾癬について、ギリシャ・アテネ大学のVasiliki Nikolaou氏らが欧州9施設から報告された115例について、重症度等のデータを明らかにし、段階的な治療アルゴリズムの提案を検討した。ICIに関連した乾癬は、診断上および治療上の重大な課題をもたらすが、検討によりacitretin、アプレミラスト、メトトレキサートは安全で効果的な治療法であり、ほとんどの場合でICI投与を中断することなく完了できることを示した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年12月3日号掲載の報告。  研究グループは、前例のない最大コホートから報告されたICIに関連した乾癬に関するデータを報告し、段階的な治療アルゴリズムを提案するため、欧州の9施設で組織するEuropean Network for Cutaneous ADverse Event to Oncologic drugs(ENCADO)のデータを用いて検討した。  9施設からの、ICIに関連した乾癬を呈した全患者の医療記録をレトロスペクティブにレビューした。

早期TNBC、低用量カペシタビン維持療法で転帰が改善/JAMA

 標準的な術後補助療法を受けた早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)女性において、低用量カペシタビンによる1年間の維持療法は経過観察と比較して、5年無病生存率を有意に改善し、有害事象の多くは軽度~中等度であることが、中国・中山大学がんセンター(SYSUCC)のXi Wang氏らが行った「SYSUCC-001試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2020年12月10日号で報告された。乳がんのサブタイプの中でも、TNBCは相対的に再発率が高く、標準治療後の転帰は不良であり、再発および死亡のリスクを低減する効果的な維持療法が求められている。低用量カペシタビンによる化学療法は、2つの転移の機序(血管新生、免疫逃避)を標的とすることでTNBC女性の再発を抑制する可能性が示唆されているが、再発抑制に要する長期の治療の有効性と受容性については不確実性が残るという。

MSI-H大腸がん1次治療、ペムブロリズマブによるPFS延長証明(KEYNOTE-177)/NEJM

 抗PD-1抗体ペムブロリズマブについて、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行大腸がんの1次治療における有効性が示された。化学療法と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、治療関連有害事象は少ないことを、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らが無作為化非盲検第III相試験「KEYNOTE-177試験」で明らかにした。これまでに、既治療のMSI-H/dMMR腫瘍に対するPD-1阻害の臨床的有効性は示されているが、MSI-H/dMMR陽性の進行・転移を有する大腸がんに対する1次治療として、化学療法と比較した有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2020年12月3日号掲載の報告。

国立がん研究センターの遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養試験とは?/日本肺癌学会

 2019年6月に遺伝子パネル検査が保険適用になってから1年あまりが過ぎた。11月に行われた第61回日本肺癌学会学術集会では、「遺伝子パネル検査によって肺がん診療はどう変わったか?」と題したシンポジウムが行われた。  この中で国立がん研究センター中央病院 臨床検査科の角南 久仁子氏は「がん遺伝子パネル検査に基づく新たな治療選択肢としての患者申出療養試験」と題し、同院が行う試験の概要を紹介した。  現在の遺伝子パネル検査を取り巻く問題点の1つに「パネル検査を受けても、治療への到達性が低い」ことがある。治療に結びつく遺伝子異常が検出されても、承認薬や治験といった薬剤の選択肢が限られているためだ。この問題に対応するため、保険診療もしくは先進医療で遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、一定の基準を満たした場合に患者申出療養制度のもと既存承認薬を適応外使用して有効性を見る、というのが今回の試験(通称:受け皿試験)の概要。現状でも患者申出療養制度を用いて適応外薬剤を使用するという選択肢はあるが、申請に時間がかかる、データが蓄積されない、等の問題点があった。

日本人EGFR変異肺がん1次治療、エルロチニブ+ベバシズマブのOS(JO25567)/Lung Cancer

 EGFRとVEGF阻害薬の併用療法は有益なのか。日本人を対象とした無作為化第II相JO25567試験において、化学療法未治療EGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法はエルロチニブ単剤に比べ全生存(OS)期間の有意差は認められなかった。和歌山県立医科大学の山本信之氏らが、追跡期間中央値34.7ヵ月における最終解析の結果で、患者個々の特性による違いもみられなかったという。同試験では無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示されており、今回のアップデート解析でもPFSについては有意な延長が認められた。著者は今回の結果を踏まえて、「EGFRとVEGF阻害薬の併用療法を評価する進行中の試験の結果が待ち望まれる」と述べている。Lung Cancer誌2020年11月20日号掲載の報告。

大腸がんの術後補助化学療法、CAPOX療法3ヵ月投与の意義(IDEA)/Lancet Oncol

 StageIII大腸がん患者を対象とした術後補助化学療法について、無作為化第III相試験6件を前向きに統合解析した結果が報告された。フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らInternational Duration Evaluation of Adjuvant Therapy(IDEA)collaborationによる検討で、全生存(OS)期間に関して、3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性は示されなかったが、最終解析の結果、5年OSの絶対差は0.4%であった。結果を踏まえて著者は、「StageIII大腸がんに対する術後補助化学療法では、臨床的にほとんどの患者において3ヵ月間のCAPOX療法が支持される」と述べたうえで、「この結論は、投与期間の短縮による毒性や医療費の軽減によってさらに強固なものとなる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年12月号掲載の報告。

血液による乳がん検診法開発へ、初の大規模試験開始/国立がん研究センター

 血液中マイクロRNAがんマーカーの乳がん検診での応用を検証する、3,000人対象の大規模臨床試験が全国 4 道県でスタートする。研究班は国立がん研究センターを中心に、国立国際医療研究センター、東京医科大学、日本対がん協会、東レの研究者らで構成し、北海道と福井県、愛媛県、鹿児島の各日本対がん協会支部、がん専門病院、大学病院などの協力を得て実施される。12月14日、国立がん研究センターがプレスリリースで発表した。  本試験で用いるのは、各検診機関での乳がん検診受診者の血液検体。がん等の疾患にともなって種類や量が変動することが明らかになっている血液中のマイクロRNAを東レの3Dジーンという技術で測定する。この測定には、13 種類のがんを対象にした「体液中マイクロ RNA 測定技術基盤開発」(2014~18 年度)で開発された診断モデルと検出技術が用いられる。本試験は、この基礎研究での成果を実際のがん検診で応用できるかどうかを検証するために計画されたもので、13 種類一つひとつのがんについて精度を検証していく必要があるとの考えから、まずは検出方法の開発が先行している乳がんを対象に初めて実施される。

brigatinib、日本人ALK陽性NSCLCでも有望(J -ALTA)/JTO

 日本人を対象とした、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するbrigatinibの有効性と安全性を検討した第II相無作為化試験「J-ALTA試験」の結果が、がん研有明病院の西尾 誠人氏らにより論文発表された。多施設共同、単群非盲検による検討で、アレクチニブ難治性の日本人患者において、臨床的に意義のある有効性が示されたという。brigatinibは臨床的関連があるALK遺伝子変異に対して強力かつ幅広い活性を有するよう設計された次世代ALK-TKIであり、米国では本年承認された。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与でPFS延長(PRECIOUS)/SABCS2020

 ペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法治療歴のある、局所進行または転移を有するHER2陽性乳がんに対し、3次/4次治療としてのペルツズマブ再投与が無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告された。熊本大学の山本 豊氏が、第III相JBCRG-M05(PRECIOUS)試験の結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 ・対象:1次/2次治療としてペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法による治療歴のある局所進行または転移を有するHER2陽性乳がん(ECOG PS 0-2、治療歴<4レジメン[直近のレジメンでペルツズマブ投与なし]、ベースライン時のLVEF≧50%)217例 ・試験群:ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法* 108例 ・対照群:トラスツズマブ+主治医選択による化学療法* 109例