腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:176

StageIV大腸がん、無症状の原発巣切除は標準治療と見なすべき?(JCOG1007)/JCO

 切除不能の遠隔転移を有するが原発巣に起因する症状がないStageIV大腸がんの初回治療について、原発巣切除(PTR)+化学療法は化学療法単独と比較して生存率改善に寄与しないことが、日本で行われた第III相無作為化試験「JCOG1007; iPACS試験」の結果、示された。国立がん研究センター中央病院の金光 幸秀氏らが報告した。同Stage IV大腸がんに対しては、PTRが標準治療として行われているが、その意義については議論の的になっていた。結果を踏まえて著者は、「原発巣に起因する症状がない切除不能の転移を有する大腸がん患者において、PTRは標準治療と見なすべきではない」とまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年2月9日号掲載の報告。

EGFR変異肺がん、エルロチニブ+ベバシズマブ1次治療の全生存期間とリキッド検査の結果(NEJ026)/日本臨床腫瘍学会

 NEJ026試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にベバシ ズマブとエルロチニブの併用療法をエルロチニブ単剤療法と比較した第III相試験である。2018年に無増悪生存期間(PFS)において、ベバシ ズマブとエルロチニブの併用の統計学的有意が報告された。18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、全生存期間(OS)、および血漿EGFR変異検査に関する結果が宮城県立がんセンターの福原 達郎氏により発表された。

COVID-19重症化防止に抗がん剤ベバシズマブが有効である可能性

 重症のCOVID-19患者に抗がん剤ベバシズマブを投与することで、死亡率が低下し、回復が早まる可能性があることが、イタリアと中国で行われた小規模な試験によって明らかになった。Nature Communication誌2月5日オンライン版掲載の報告。  シングルアームの本試験は、2020年2月15日~4月5日に中国とイタリアの2施設において26例の成人患者が登録され、28日間のフォローアップが行われた。COVD-19感染はPCR検査で判定され、重症度は呼吸数が30回/分以上、安静時の酸素飽和度が93%以上、動脈酸素分圧/吸入酸素濃度(PaO2/FiO2)が100mm~300mmHg、胸部画像のびまん性肺炎によって判断した。適格となった参加者には標準治療に加え、100mLの生理食塩水に溶解したベバシズマブ(500mg)を90分以内に単回投与し、投与後1日目と7日目のデータを比較した。

カボザンチニブ、転移乳頭状腎がんでPFS延長(SWOG1500)/Lancet

 転移のある乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者において、カボザンチニブはスニチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K. Pal氏らが、米国およびカナダの65施設で実施した、METキナーゼ阻害薬カボザンチニブ、クリゾチニブおよびsavolitinibとスニチニブを比較する無作為化非盲検第II相試験「SWOG 1500試験」の結果を報告した。METシグナル伝達経路はPRCCの重要なドライバーであるが、転移のあるPRCCに対する最適な治療は存在していなかった。Lancet誌2021年2月20日号掲載の報告。

アジア人がん関連VTE、NOAC vs.低分子ヘパリン

 これまで不明であった、アジア人のがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)に対する非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)と低分子ヘパリン(LMWH)の臨床的有益性は、同等であることが示された。台湾・長庚大学のDong-Yi Chen氏らが、台湾のデータベースを用いたコホート研究により、実臨床下でがん関連VTE患者におけるVTE再発および大出血のリスクはNOACとLMWHで同等であり、さらにNOACでは胃腸出血のリスクが有意に低いことを明らかにした。なお著者は、「今回の解析結果を確認するためには、前向き研究が必要である」としている。JAMA Network Open誌2021年2月1日号掲載の報告。

TNBC術前化療への免疫療法併用、メタ解析結果/日本臨床腫瘍学会

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における術前化学療法と免疫療法併用の有効性についてメタ解析が行われ、併用による病理学的完全奏効率(pCR)の有意な改善が示された。またPD-L1発現状態に基づくサブグループ解析の結果、PD-L1陽性集団では併用によるpCRの有意な改善が示されたが、陰性集団では統計学的有意差は得られなかった。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)で、フィリピン・St. Luke's Medical CenterのJessa Gilda Pandy氏が発表した。 Pubmed、Embase、Cochrane、臨床試験データベースの系統的検索と手作業による検索により、TNBCにおける術前化学療法とPD-1/PD-L1阻害薬併用についての無作為化比較試験(RCT)を特定した。2020年3月までに発表された試験が対象。変量効果モデルを使用して、統合オッズ比(OR)がpCRについて計算された。また、PD-L1発現状態に基づくpCRのサブグループ解析も実施された。

進行腎がん1次治療、レンバチニブ+ペムブロリズマブが有益(CLEAR)/NEJM

 進行腎細胞がんで全身性治療歴のない患者に対し、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用投与は、スニチニブ投与に比べ、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長したことが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert Motzer氏らが、1,069例を対象に行った第III相無作為化試験「CLEAR試験」の結果を報告した。レンバチニブ+ペムブロリズマブまたはエベロリムスについては、進行腎細胞がんに対する活性が認められているが、これらのレジメンのスニチニブとの比較による有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年2月13日号掲載の報告。

KRASG12C阻害薬sotorasibの大腸がんに対する成績(CodeBreak100)/日本臨床腫瘍学会

KRASG12C変異は大腸がんの予後不良と関連しているとされる。AMG510(sotorasib)はKRASG12Cを標的とするファーストインクラスの低分子化合物である。 第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、KRASG12C変異陽性の固形がん患者を対象とした多施設共同非盲検CodeBreak 100試験の中から、大腸がん患者に関する結果を、国立がん研究センター東病院の久保木恭利氏が発表した。

PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効/Lancet

 ドセタキセル治療が無効となった転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性の治療において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617はカバジタキセルと比較して、前立腺特異抗原(PSA)反応(PSA値のベースラインから50%以上の低下)の達成率が高く、Grade3/4の有害事象の頻度は低いことが、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのMichael S. Hofman氏らが行った「TheraP(ANZUP 1603)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年2月11日号で報告された。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する細胞にβ線を照射する放射線標識低分子化合物であり、mCRPC患者において抗腫瘍活性と安全性が確認されている。

小児がん患者の悪心嘔吐予防に対するパロノセトロンの有効性/日本臨床腫瘍学会

 小児がん患者での化学療法に伴う悪心嘔吐(CINV)は、催吐性の抗がん剤治療を受けた約70%発現することが報告されているが、研究結果は少ない。第2世代5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンは、とくに遅発期(抗がん剤投与後 24〜120時間)におけるCINV抑制効果が確認されており、本邦では成人での使用にて承認されているが、小児のCINV予防の制吐薬としては承認されていない。