腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:175

非扁平上皮NSCLC、化学療法+ニボルマブ+ベバシズマブの1次治療、日本人集団の成績(ONO-4538-52/TASUKI-52)/日本臨床腫瘍学会

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ニボルマブとプラチナ含有化学療法およびベバシズマブの併用とプラチナ含有化学療法およびベ バシズマブの併用を比較検討する第III相ONO-4538-52/TASUKI-52試験。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、愛知県がんセンターの樋田 豊明氏が日本人のサブ解析結果を発表した。 ・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず) ・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群) ・対象群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群)  ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続

2年ごとの乳房視触診、50歳以上の乳がん死3割減/BMJ

 2年ごとの医療従事者による乳房の視触診(clinical breast examination:CBE)は、CBEを行わない場合と比べ、乳がん診断時の病期を軽減し(downstaging)、50歳以上の女性の乳がんによる死亡率を約3割抑制することが、インド・Homi Bhabha National InstituteのIndraneel Mittra氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月24日号で報告された。マンモグラフィによる乳がんスクリーニングは、50歳以上の女性では死亡率を抑制するが、50歳未満の女性における有効性には疑問があるとされる。また、乳がん自己検診(breast self-examination)の、乳がんの早期検出法としての有効性は証明されておらず、CBEが乳がんによる死亡を低減するかについても明らかではないという。

FDA、ロルラチニブのALK肺がん1次治療を承認/ファイザー

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年3月3日、ロルラチニブ(商品名:ローブレナ)の適応症を拡大し、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療を追加承認した。  ロルラチニブの今回の承認拡大は、未治療のALK陽性NSCLCを対象にクリゾチニブと比較した第III相CROWN試験の結果に基づくもの。この試験でロルラチニブはクリゾチニブに比べ、盲検独立評価委員会(BICR)評価による死亡および進行リスクを72%減少させた (PFS HR 0.28:95%CI:0.19~0.41、p<0.0001)。事前に特定された探索的研究によるBICR評価の頭蓋内奏効率 (IC-ORR) は82% (クリゾチニブ群は23%)であった。頭蓋内奏効期間12ヵ月以上持続した割合は79%(クリゾチニブ群は0%)であった。

遺伝子パネル検査、がん種別に見た遺伝子異常の特徴は?/日本臨床腫瘍学会

 国立がんセンターが中心となって展開する産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業、SCRUM-Japan。2019 年7月に開始した第三期プロジェクトでは、それまで消化器がんを対象としていたGI-SCREEN-Japanプロジェクトが泌尿器がん、乳がん等にも対象を拡大し、新たに血液を用いた遺伝子解析検査(リキッドバイオプシー)も取り入れた、MONSTAR-SCREENとして再始動している。参加するのは全国31施設、参加者は消化器がん、皮膚がん、乳がん、産婦人科がん、頭頸部がん、泌尿器がんなどの切除不能な固形がん患者で、腫瘍組織によるゲノム解析を受けたうえで、リキッドバイオプシー検査と腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の検査、解析を受ける。

ペムブロリズマブ+化学療法の食道がん1次治療、日本人の結果(KEYNOTE-590)/日本臨床腫瘍学会

 切除不能な局所進行または転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、Siewert I型食道胃接合部腺がん患者に対する1次治療として化学療法とペムブロリズマブの併用療法と化学療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の日本人集団における結果を第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)で、埼玉県立がんセンターの原 浩樹氏が発表した。

がん遺伝子パネル検査のスタート半年、「エキスパートパネル」の評価は?/日本臨床腫瘍学会

 2019年6月に保険適用となったがんゲノムプロファイリング(CGP)検査。その実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限定され、検査結果は中核拠点病院、拠点病院で実施される専門家会議「エキスパートパネル」での検討が必須とされている。  ここでの方針がCGP検査を受けた患者の治療に直結するが、各エキスパートパネルの現状や判断の差異については評価されていなかった。そこで、中核拠点病院11施設での2019年6月~2020年1月における、エキスパートパネルの実績(全検討症例数および、遺伝子異常に合った投薬や遺伝相談外来の受診に結び付いた症例数)を調査するとともに、模擬症例2例を用いて各エキスパートパネル間で推奨治療に差があるかどうかを検証する研究を行った。

進行乳がんのエリブリン治療、リンパ球数と病勢進行の関連は(EMBRACE)/日本臨床腫瘍学会

 第III相EMBRACE試験において、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンは進行乳がんの生存期間(OS)を有意に延長した。同試験のPost-Hoc解析では、ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)がエリブリン治療によるOS延長の独立した予測因子であることが示唆されている。今回、エリブリン治療によるOS延長におけるALCと病勢進行(PD)の関係が調べられた。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、静岡がんセンターの渡邉 純一郎氏がその結果を発表した。

MSI-H/dMMR大腸がん1次治療のペムブロリズマブ、アジア人でも有用性を確認/日本臨床腫瘍学会

 DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する転移のある大腸がん患者を対象に、1次治療としてのペムブロリズマブの有用性を見るKEYNOTE-177試験。昨年発表された第2回中間解析では、ペムブロリズマブは化学療法と比較して全集団における無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。2月に行われた第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)のPresidential Session1において、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)が、本試験におけるアジア人サブセットの解析結果を発表した。

非小細胞肺がんに対するKRASG12C阻害薬sotorasib第II相試験の成績(CodeBreaK 100)/日本臨床腫瘍学会

 KRASG12C阻害薬sotorasibは非小細胞肺がん(NSCLC)の第I相試験で奏効率(ORR)32.2%、疾患コントロール率(DCR)奏効期間(DoR)10.9ヵ月、無増悪生存期間(PFS)6.3ヵ月という成績を示した。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)では、初となる第II相試験の結果を静岡県立静岡がんセンターの高橋 利明氏が発表した。 対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC 介入:sotorasib960mg/日、PDとなるまで投与 評価項目: [主要評価項目」BICR評価の奏効率 「副次評価項目]DoR、DCR、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など [探索的研究]バイオマーカー  主な結果は以下のとおり。

乳がん手術療法のDe-escalation、検討中の4つの方向性/日本臨床腫瘍学会

 乳がん治療における手術療法はHalsted手術以降、一貫して縮小してきており、早期乳がんに対する胸筋温存、乳房温存などが一般的に実施されている。腋窩リンパ節郭清に関してもセンチネルリンパ節生検が広く行われるようになり、その後、センチネルリンパ節に転移を認めても条件を満たせば郭清を省略するようになっている。現在、さらなる手術縮小の可能性が前向きに検討されているが、具体的な4つの方向性について現在進行中の試験を含めて、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)におけるシンポジウム「乳がん治療におけるDe-escalationを考える」の中で、岡山大学の枝園 忠彦氏が紹介した。