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心室収縮能評価に寄与する心臓の形状変化(ジオメトリー)、EFはいかに保たれているか

 収縮能は保たれているが心筋ストレインが低下している症例が、肥大型心筋症、虚血性心疾患、糖尿病などの患者において報告されている。そこで、Oslo University Hospital(ノルウェー)のThomas M. Stokke氏ら研究グループが、左室駆出率(EF)とストレインが一致しないことを検証するため、数学的および心エコーを組み合わせた解析を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。

第36回日本臨床運動療法学会学術集会 開催のご案内

 日本臨床運動療法学会(会長 木村 穣氏 関西医科大学 健康科学センター 教授)は、2017年9月2日(土)・3日(日)に、第36回の学術集会を大阪市にて開催する。テーマは「臨床医学と運動のさらなる融合」で、臨床における運動、スポーツ、身体活動に関する講演のほか、実技実習も予定されている。また、今回は学会初となる、参加者の不活動を予防する仕組みとして、セッションの合間に「レッツBSL(Break Sedentary Lifestyle)」と称したストレッチビデオの上映を行う。

口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。

日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か

 国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。

抗CD20抗体obinutuzumab、濾胞性リンパ腫に承認申請

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長CEO:永山 治)および日本新薬株式会社(本社:京都、代表取締役社長:前川重信)は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫」を対象として国内で共同開発を進めていた抗CD20モノクローナル抗体obinutuzumabについて、中外製薬が2017年8月23日、製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。

日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。

降圧薬と乳がんリスクの関連~SEERデータ

 米国Kaiser Permanente Washington Health Research InstituteのLu Chen氏らは、Surveillance, Epidemiology and End-Results(SEER)-Medicareデータベースを用いて、主要な降圧薬と乳がんリスクの関連を検討し、利尿薬とβ遮断薬が高齢女性の乳がんリスクを増加させる可能性があることを報告した。「ほとんどの降圧薬は乳がん発症に関して安全だが、利尿薬とβ遮断薬についてはさらなる研究が必要」としている。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2017年8月14日号に掲載。

高齢者の約6割が水分不足の状態

 「教えて! 『かくれ脱水』委員会」(委員長 服部 益治氏[兵庫医科大学 小児科学 教授])は、2017年7月に実施した「脱水に関するアンケート調査」の結果を発表した。このアンケートは、高齢者の水分補給に対する意識や行動実態を明らかにするため、65歳以上の男女の高齢者(n=516)と65歳以上の親を持つ30・40代の男女(n=516)、30・40代の男女の介護従事者(n=516)を対象に、WEB調査で行われたものである。

SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

 うつ病女性において標準的な治療では十分な効果が得られないことがある。クレアチン水和物や5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)による従来の抗うつ薬治療の増強療法は、女性のうつ病に関連するセロトニン産生や脳の生物学的因子の欠損を補正し、相乗的な効果をもたらす。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、SSRIまたはSNRI単独療法で効果不十分なうつ病女性に対する、5-HTPおよびクレアチン増強療法に関するオープンラベル試験を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年8月5日号の報告。

大腿静脈カテーテル、望ましい穿刺位置と肢位は?

 大腿静脈カテーテル挿入は、血管の断面積(CSA)が大きな部位で行うと合併症リスクが減少する可能性がある。今回、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie Memorial Cancer CenterのDorota Czyzewska氏らが、3つの肢位で2部位の右大腿静脈のCSAを調べたところ、肢位は開排位において最大であり、部位については性別で異なることが示された。PLOS ONE誌2017年8月14日号に掲載。

ROS1肺がん治療薬と診断薬の承認にLC-SCRUM-Japanの研究成果

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)は2017年8月18日、同センター東病院での多施設共同研究全国肺がん遺伝子診断ネットワークLC-SCRUM-Japan(研究代表者:同東病院、呼吸器内科長後藤功一氏)の成果および治療開発への貢献により、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん(ROS1肺がん)に対する治療薬として、分子標的薬クリゾチニブの適応拡大が承認されたと発表。あわせて、ROS1融合遺伝子検出の体外診断用医薬品(ROS1融合遺伝子検出キット)が、この治療におけるコンパニオン診断薬として承認された。

世界の老眼人口、35歳以上で約11億人

 世界的に、失明/視力障害の年齢調整罹患率は減少しつつあるものの、人口増加と高齢化により失明/視力障害者数は著明に増加しており、加えて未矯正の老眼を有する人も非常に多いことが明らかとなった。英国・アングリア・ラスキン大学のRupert R A Bourne氏らによるメタ解析の結果で、「世界、地域、国、すべてのレベルで、視力障害を軽減する取り組みを拡大する必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年8月2日号掲載の報告。

PM2.5が高いと高濃度乳房になりやすい?

 マンモグラフィ乳腺密度は乳がんの強力な危険因子であるが、都市部と農村部の乳腺密度の違いにおける環境の影響についてはほとんどわかっていない。米国・フロリダ大学のLusine Yaghjyan氏らが集団ベースの大規模レジストリで調査したところ、きわめて高濃度乳房の女性は脂肪性乳房の女性に比べてPM2.5の曝露が多く、オゾンの曝露は少なかった。本研究から、PM2.5やオゾンへの曝露の違いでマンモグラフィ乳腺密度の地域差を部分的に説明できることが示唆された。Breast cancer research誌2017年4月6日号に掲載。

ベルソムラによる「せん妄予防」

 順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の八田耕太郎氏らは、高齢救急患者における、就寝前に不眠症治療薬「ベルソムラ(一般名:スボレキサント)」投与によって、安全にせん妄を予防できることをJournal of Clinical Psychiatry誌に発表した。研究者らは本結果について、今まで実効性がなかったせん妄の療法に、薬物療法による新たなせん妄予防の道を拓いたもので、せん妄診療を治療から予防にパラダイムシフトさせる意義があるものとしている。

抗PD-1/PD-L1抗体治療で白髪もよみがえる?

 スペインの研究グループが、抗PD-1/PD-L1抗体による皮膚有害事象の研究中に毛髪再色素化の現象を発見し、JAMA Dermatology誌2017年7月12日号で報告した。免疫チェックポイント阻害薬による発疹、白斑、そう痒症などの皮膚関連事象発生は報告されているが、毛髪再色素化の報告は初めて。また、メラノーマ治療で報告されている皮膚や毛髪の脱色(白斑様)とは相反する作用である。