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認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

 東京慈恵会医科大学の永田 智行氏らは、精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症に対する、非定型抗精神病薬の8週間の治療継続および治療反応を、CATIE-AD(Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness-Alzheimer's Disease)データを用いて調査した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2017年8月9日号の報告。

血糖測定器「FreeStyle リブレ」、日本で保険適用に

 アボット ジャパン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役会長兼社長:坂本春喜)は9月1日、糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステム「FreeStyleリブレ」(製品名:FreeStyleリブレ フラッシュグルコースモニタリングシステム)が、2017年9月1日より本邦で保険適用となった旨を発表。FreeStyleリブレは、2014年に欧州で発売されて以来、39ヵ国以上、35万人以上の糖尿病患者に使用されている。本邦では、2016年5月25日に承認され、すでに販売が開始されている。

インスリン療法開始後のスタチンの影響

 スタチンは、糖尿病の新規発症リスクを増大させ、血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があるが、2型糖尿病患者のインスリン療法開始後の血糖応答および転帰への影響は不明である。今回、英国・ノッティンガム大学のUchenna Anyanwagu氏らの研究で、通常治療中の2型糖尿病患者のインスリン療法開始後、スタチン併用者の短期血糖コントロールはあまり良好ではなかったものの、主要心血管イベントリスクは大幅に低かったことが報告された。Cardiovascular diabetology誌2017年8月22日号に掲載。

ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。

妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。  妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。 ・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。 ・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。 ・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。 ・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。 ・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。

米国の開業皮膚科医、グループ診療が増加

 米国皮膚科学会(AAD)では、皮膚科医の労働力需給の傾向を評価する目的で診療プロファイル調査を10年以上行っている。米国・ジョージ・ワシントン大学のAlison Ehrlich氏らは最新の解析結果として、新たな技術に基づいた医療記録の実現による部分的な間接費の増大に関連して診療環境の変化がみられ、電子カルテの普及とともに遠隔診療の実施が進んでいることを示した。著者は、「回答バイアスや報告の曖昧さがある可能性があり、調査で得られた回答がすべての地域を代表するわけではない」と調査の限界を述べたうえで、「皮膚科医療への需要は高いままである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年8月4日号掲載の報告。

自宅に退院する急性脳卒中患者を予測する5つの因子

 急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろう、と著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。

視力低下が認知機能の低下に関連か

 視力障害と認知機能低下は高齢者によくみられるが、両者の関係はよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のStephanie P. Chen氏らは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)および国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを解析し、遠見視力障害と主観的視力障害は、認知機能低下と関連していることを示した。著者は今回の結果について、「自己申告の視力を用いている米国のメディケア受益者集団で確認されており、視力障害を有する患者を確認することの重要性を強調するものである。視力と認知機能との間の長期的な相互作用についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。

陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は

 統合失調症でみられる陰性症状(無気力や表出の減少など)は、健康上の重大な懸念事項である。陰性症状の適切な治療は、QOLや社会参加に向け、重要な進歩を意味している。陰性症状は、統合失調症の主症状である。その陰性症状を主要な症状と副次的な症状に区別することで、治療選択肢が得られる可能性がある。よく知られている副次的な陰性症状の原因は、精神症状、解体、不安、抑うつ、違法薬物やアルコールの慢性的な乱用、過度に高用量の抗精神病薬、社会的貧困、刺激の欠如、入院である。オランダ・ノールトホラント州地域精神保健局のSelene R. T. Veerman氏らは、二重盲検無作為化対照試験のレビューおよびメタ解析を行い、陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性を評価した。Drugs誌オンライン版2017年8月3日号の報告。

心室収縮能評価に寄与する心臓の形状変化(ジオメトリー)、EFはいかに保たれているか

 収縮能は保たれているが心筋ストレインが低下している症例が、肥大型心筋症、虚血性心疾患、糖尿病などの患者において報告されている。そこで、Oslo University Hospital(ノルウェー)のThomas M. Stokke氏ら研究グループが、左室駆出率(EF)とストレインが一致しないことを検証するため、数学的および心エコーを組み合わせた解析を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。

第36回日本臨床運動療法学会学術集会 開催のご案内

 日本臨床運動療法学会(会長 木村 穣氏 関西医科大学 健康科学センター 教授)は、2017年9月2日(土)・3日(日)に、第36回の学術集会を大阪市にて開催する。テーマは「臨床医学と運動のさらなる融合」で、臨床における運動、スポーツ、身体活動に関する講演のほか、実技実習も予定されている。また、今回は学会初となる、参加者の不活動を予防する仕組みとして、セッションの合間に「レッツBSL(Break Sedentary Lifestyle)」と称したストレッチビデオの上映を行う。

口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。

日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か

 国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。

抗CD20抗体obinutuzumab、濾胞性リンパ腫に承認申請

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長CEO:永山 治)および日本新薬株式会社(本社:京都、代表取締役社長:前川重信)は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫」を対象として国内で共同開発を進めていた抗CD20モノクローナル抗体obinutuzumabについて、中外製薬が2017年8月23日、製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。

日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。

降圧薬と乳がんリスクの関連~SEERデータ

 米国Kaiser Permanente Washington Health Research InstituteのLu Chen氏らは、Surveillance, Epidemiology and End-Results(SEER)-Medicareデータベースを用いて、主要な降圧薬と乳がんリスクの関連を検討し、利尿薬とβ遮断薬が高齢女性の乳がんリスクを増加させる可能性があることを報告した。「ほとんどの降圧薬は乳がん発症に関して安全だが、利尿薬とβ遮断薬についてはさらなる研究が必要」としている。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2017年8月14日号に掲載。