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分子標的治療薬の新たな薬剤耐性メカニズム発見/LC-SCRUM-Japan

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)の研究所(所長: 間野博行)ゲノム生物学研究分野、中奥敬史研究員、河野隆志分野長、東病院(院長:大津 敦)呼吸器内科、後藤功一科長らは2018年2月14日、京都大学、東京大学、理化学研究所、英国クリック研究所と共同で、分子標的治療薬バンデタニブによって治療されたRET融合遺伝子陽性の肺がん患者のがん試料の機能ゲノム解析を行い、新しい薬剤耐性メカニズムを発見したと発表。研究結果は米国学術雑誌Nature Communicationsに2月12日付けで発表された。

小児てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性比較

 新規にてんかんを発症した小児の半数以上は、既知の脳波・臨床症候群に適合しない非症候性てんかんの脳波および臨床的特徴を有する。レベチラセタムおよびフェノバルビタールは、小児のてんかんに対し最も一般的に処方される薬剤ではあるが、これらの有効性の比較についてはよくわかっていない。米国・ワイルコーネル大学のZachary M. Grinspan氏らは、小児の非症候性てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性の比較を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2018年2月12日号の報告。

日本人掌蹠膿疱症患者でguselkumabが有効

 日本人掌蹠膿疱症(PPP)患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、抗IL-23モノクローナル抗体guselkumabは、PPPの治療選択肢として安全かつ有用であることが認められた。日本大学の照井 正氏らが報告した。PPPは、難治性の皮膚疾患で、現在、治療薬として承認されている生物学的製剤はない。最近、PPPにインターロイキン23(IL-23)およびTh17ヘルパーT細胞系のサイトカインが関与していることが明らかになってきた。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年2月7日掲載の報告。

自閉スペクトラム症小児のうつ病や発達障害併発と兄弟姉妹の関連

 兄や姉を持つ自閉スペクトラム症(ASD)の小児において、標準的なメンタルヘルスの社会的要因(家庭の収入、親の教育、小児期の逆境的体験など)を管理した後のうつ病、不安、行動の問題または注意欠如症(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の有病率について、米国・セント・ジョン・フィッシャー大学のGuillermo Montes氏が調査を行った。Maternal and child health journal誌オンライン版2018年2月10日号の報告。

日本の乳がん長期生存率の改善度~年齢・病期別

 近年、乳がんの5年生存率は日本および他の国々で改善しているが、10年生存率の改善や年齢・病期別の改善度は不明である。今回、愛知県がんセンター中央病院の吉村 章代氏らが地域がん登録データを用いて検討し、10年相対生存率が1993~2006年で2.4%改善したことを報告した。また、年齢・病期別の分析では、15~34歳および遠隔転移での改善度が非常に小さく、これらの患者における新しい治療戦略の必要性が示唆された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年2月24日号に掲載。

スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ

 スタチン使用と糖尿病や高血糖症リスクの増加との関連について、慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した。その結果、脂肪肝および高尿酸血症を併存している患者で、スタチン使用により糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆された。Clinical Pharmacology in Drug Development誌オンライン版2018年2月20日号に掲載。

夢遊病に関するシステマティックレビュー

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。

新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール

 ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールと同クラスの新規ドパミン受容体パーシャルアゴニストの抗精神病薬である。オーストラリア・モナッシュ大学のJudy Hope氏らは、ブレクスピプラゾールについてのレビューを行い、アリピプラゾールとの比較を行った。Australasian psychiatry誌2018年2月号の報告。

オシメルチニブ耐性後のMET増幅、NSCLCの予後を悪化?/Lung Cancer

 MET増幅はEGFR C797Sと並び、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの代表的な体制機構である。過去の研究では、オシメルチニブ耐性の30%前後にMET増幅がみられるとの報告もある。しかし、オシメルチニブ耐性後のMET増幅に関するコホート研究はほとんど行われていない。本研究では、進行肺腺がん患者におけるオシメルチニブ耐性後のMET増幅の獲得について、またMET増幅と臨床予後との関係について調査した。

加齢黄斑変性への抗VEGF薬、長期投与は?

 米国・Retina Consultants of Orange CountyのSean D. Adrean氏らは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をtreat-extend-stop(TES)法で50回以上投与された、滲出型加齢黄斑変性(AMD)患者の臨床転帰を後ろ向きに調査した。その結果、50回の注射後にはETDRS視力表で平均2行視力が改善し、平均追跡期間8年で最終調査時には3行以上改善していた眼の割合が35.2%であったことを報告した。著者は、「長期にわたるTES法での抗VEGF治療を要する患者は、視力の維持または改善が可能である」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月10日号掲載の報告。

双極性障害の補助治療オプションに関する情報のアップデート

 双極性障害は、複雑な疾患であり、その治療においては、しばしば併用療法が必要となる。近年、双極性障害の治療法は、著しい進歩を遂げている。臨床医が患者に情報を提供し、最適な結果が得られるよう治療を行うために、オーストラリア・メルボルン大学のOlivia M. Dean氏らは、現在の補助療法の治療選択肢に関する概要をまとめた。Bipolar disorders誌オンライン版2018年1月25日号の報告。

高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

 効果に比べ有害事象のリスクが高い薬剤は高齢者に向いているといえず、これらの薬剤はPIM(Potentially Inappropriate Medication)と呼ばれている。一部の抗うつ薬はPIMであると考えられるが、抗うつ薬とその後の認知症との関連については、これまでの研究で明らかになっていない。ドイツ・ボン大学のKathrin Heser氏らは、抗うつ薬(とくにPriscusリスト[ドイツ版のビアーズリスト]でPIMとみなされている抗うつ薬)の服用が、認知症発症を予測するかについて検討を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。