医療一般|page:240

COVID-19パンデミック時の不安やうつ症状の有症率とその予測因子

 COVID-19による世界的なパンデミックの効果的なマネジメントのため、厳格な移動制限の実施とソーシャルディスタンスを保つことが求められている。キプロス大学のIoulia Solomou氏らは、一般集団におけるCOVID-19パンデミックの心理社会学的影響を調査し、メンタルヘルスの変化を予測するリスク因子と保護因子の特定を試みた。また、ウイルス蔓延を阻止するための予防策の準拠についても調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年7月8日号の報告。  社会人口統計学的データ、予防策の準拠、QOL、全般性不安障害尺度(GAD-7)およびこころとからだの質問票(PHQ-9)を用いたメンタルヘルスの状態を、匿名のオンライン調査で収集した。

ダパグリフロジン、2型DM合併問わずCKD患者に有益/AstraZeneca

 アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、同社が行ったダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の第III相DAPA-CKD試験の結果を発表した。  慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患。最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、重篤な状態になると腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする末期腎不全(ESKD)となる。全世界で約7億人の患者が推定されている。

ラメルテオンの術後せん妄予防効果~胃切除後高齢者を対象とした第II相試験

 高齢患者における胃がん症例数は増加しており、術後せん妄を予防する重要性は高まっている。静岡県立静岡がんセンターの本田 晋策氏らは、胃切除後の高齢患者における術後せん妄の予防に対するラメルテオンの有効性を評価するため、単施設プロスペクティブ第II相試験を実施した。Surgery Today誌オンライン版2020年7月8日号の報告。  対象は、75歳以上の高齢患者。手術の8日前から退院までラメルテオン8mg/日を投与した。術後せん妄の評価には、集中治療室におけるせん妄評価法(CAM-ICU)を用いた。

成人アトピーは糖尿病を引き起こす?

 アトピー性皮膚炎(AD)は糖代謝に影響を及ぼすのか。デンマーク・コペンハーゲン大学のLise Gether氏らは、ADの成人において、インスリン感受性の低下やその他の糖代謝異常が認められるかを調べるため、経口糖負荷検査(OGTT)と高インスリン正常血糖クランプ法を用いて検討した。結果として、健康成人との間に違いはなかったことが報告され、著者は、「炎症性皮膚疾患であるADは、糖代謝にほとんどあるいはまったく影響しないことが示唆される」と述べている。疫学研究では、一般集団と比較して、ADの成人における2型糖尿病の発生の増加が示されている。Diabetes Obesity and Metabolism誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

併存症のある高齢乳がん患者、補助化学療法と生存は関連するか/JAMA Oncol

 複数の併存疾患を有する高齢乳がん患者において、補助化学療法は生存と関連するのか。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNina Tamirisa氏らは、併存疾患を有する70歳以上の乳がん患者を対象に、補助化学療法と生存の関連を評価する、後ろ向きの大規模コホート研究を実施した。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月16日号に掲載の報告より。  対象は米国国立がんデータベースに登録された、70歳以上のエストロゲン受容体陽性、ERBB2陰性、Charlson/Deyo 併存疾患指数が2または3の乳がん患者。2010年1月1日~2014年12月31日にリンパ節転移陽性乳がんの手術を受けていた。

周産期うつ病の日本における有病率~メタ解析

 周産期うつ病は、女性で問題となる重大な精神疾患の1つである。しかし、十分なレビューが行われておらず、日本人女性の周産期うつ病の有病率については、一定のコンセンサスが得られていない。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人女性の周産期うつ病の信頼できる有病率の推定を試みた。Annals of General Psychiatry誌2020年6月26日号の報告。  1994~2017年に発表された出産前または産後うつ病の有病率に関するデータを含む研究を、2つのデータベース(PubMed、ICHUSHI)より特定した。公開されたレポートよりデータを抽出した。

2型糖尿病適応のimeglimin、国内製造販売承認を申請/大日本住友製薬

 2020年7月30日、大日本住友製薬は2型糖尿病治療薬として開発中のimegliminの国内製造販売承認の申請を行ったと発表した。本剤は2021年度に国内で世界初となる上市を予定している。  imegliminは、ミトコンドリアの機能を改善するという独自の作用機序を有し、膵臓・筋肉・肝臓において、グルコース濃度依存的なインスリン分泌の促進と、イ ンスリン抵抗性の改善および糖新生の抑制という作用を示すことで血糖降下作用が期待されている。さらに、本剤の作用機序は、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されている。

日本のがん患者のカウンセリングニーズは?1万件超の電話相談を分析

 日本のがんサバイバーらのアンメットニーズを、電話相談の主訴から、男女差を主眼に解析し、その特徴をあぶりだした神奈川県立がんセンター 臨床研究所 片山佳代子氏らの研究が、Patient Education and Counseling誌2020年5月16日に掲載された。  分析されたがん患者の電話相談は10,534件。男女別相談者別にデータのコーディングを行い、複数の関連コードをまとめ主要な19のカテゴリーを生成した。

双子の認知症リスク

 認知症発症の根底には、性差によるホルモンの影響が関与している可能性がある。米国・南カリフォルニア大学のJing Luo氏らは、同性および異性の二卵性双生児における認知症発症率を比較し、推定される出生前のホルモン環境が認知症リスクと関連しているかを検討した。Alzheimer's & Dementia(Amsterdam, Netherlands)誌2020年6月21日号の報告。  対象は、Swedish Twin Registryより抽出された60歳以上の二卵性双生児ペア4万3,254例。男女別に生存分析を実施した。

COVID-19流行下の熱中症対応の手引き/日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急

 本格的な夏を迎え、熱中症による搬送数も増えている臨床現場では、今までの夏とは異なり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染防止に配慮した対応に迫られている。  先般、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会はワーキンググループを構成し、6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を発表した。そして、今回この提言の追補版として、国内外の論文2,736件の情報を抽出し、臨床現場で活用可能な「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(医療従事者向け)」を作成し、公開を開始した。  本手引は、6つのクリニカルクエスチョンに対し、詳細に解説を加える体裁で書かれ、今後も4学会では情報収集とアップデートを行うとしている。

「命を絶つ行為は医療ではない」ALS嘱託殺人に会長が言及/日医

 29日、日本医師会の記者会見で、中川 俊男会長が医師による筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者嘱託殺人に関する日医の見解について言及した。  この事件では、京都府のALS患者とSNSで知り合い、依頼を受けた医師2人が、バルビツール酸系の薬物を投与し患者を殺害したとして、嘱託殺人の疑いで逮捕された。報道によると、医師らが事件前に患者から金銭を受け取ったことなどが明らかになっている。  中川氏は「今回の事件のように、たとえ患者さんから『死なせてほしい』と言われたとしても、生命を終わらせるような行為は医療ではない。そのような要望があった場合は、患者さんがなぜそう思ったのか、その苦痛に寄り添い、共に考えることが医師の役割である」と述べた。

新型コロナ抗原検査の同一検体でインフルの同定も可能に/富士レビオ

 2020年7月27日、富士レビオ株式会社(代表取締役社長:藤田 健、本社:東京都新宿区)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原の迅速診断キット「エスプライン(R) SARS-CoV-2」で用いる検体処理液が、インフルエンザウイルス抗原の迅速診断キット「エスプライン インフルエンザ A&B-N」においても使用できることを確認したと発表した。  これまで、インフルエンザ流行時の新型コロナウイルスとの鑑別対応が不安視されているが、本キットにより、新型コロナウイルス抗原およびインフルエンザウイルス抗原の2 検査を同一の鼻咽頭拭い液検体で行うことが可能となった。また、検体採取が1回で済むことから、検体採取時の患者への負担軽減および医療者の感染リスク低減にも寄与できる見込み。

双極性障害患者における片頭痛の有病率

 成人の双極性障害(BD)では、片頭痛の有病率が高く、片頭痛と精神医学的症状との負の相関が報告されている。これらの関係が思春期BD患者でもみられるかは、よくわかっていない。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのSara Z. Mehrhof氏らは、思春期BD患者における片頭痛の有病率および相関について、大規模サンプルを用いて調査を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年7月1日号の報告。  対象は、小児の精神疾患の半構造化面接(K-SADS-PL)により、双極I型障害(BD-I)、双極II型障害(BD-II)、特定不能の双極性障害(BDNOS)と診断された思春期BD患者165例と健康な対照者(HC)89例。頭痛(非片頭痛)と片頭痛は、検証済みの片頭痛スクリーナー(ID-Migraine 3-item screener)を用いて評価した。

小細胞肺がんの脳転移、定位放射線治療 vs.全脳照射

 小細胞肺がんの脳転移に対する標準治療は全脳照射(WBRT)なのか。ほとんどの限局性脳転移について、定位放射線治療(SRS)が推奨されているが、SRSに関するデータは不足している。米国・コロラド大学のChad G. Rusthoven氏らは、初回治療としてのSRS(WBRT既往なし/予防的全脳照射なし)とWBRTを比較する国際多施設コホート研究「FIRE-SCLC試験」を行い、SRSはWBRTと比較して中枢神経系進行までの時間(TTCP)が短いが、全生存(OS)期間は有意に延長したことなどを明らかにした。著者は、「今回の研究結果は、TTCPが短いがOSは短縮しないなど、初回SRS単独治療の主な一長一短が、SRSに関してすでに観察されていることと同様であることを示すものであった」と述べている。JAMA Oncology誌2020年6月4日号掲載の報告。

FDA、マントル細胞リンパ腫に新CAR-T療法を迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年7月24日、成人の再発・難治性マントル細胞リンパ腫患者治療に、CD19を標的とするCAR-T細胞免疫療法brexucabtagene autoleucelを迅速承認した。  この承認は、アントラサイクリンまたはベンダムスチンを含む化学療法、抗CD20抗体、BTK阻害薬の治療歴のある再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者74例を対象とした非盲検多施設単群試験ZUMA-2に基づいたもの。主要有効性評価項目は、独立レビュー委員会による客観的奏効率(ORR)であった。

幼児期の睡眠問題とその後の精神疾患との関係

 小児期の悪夢は、思春期の精神疾患および境界性パーソナリティ障害(BPD)とプロスペクティブに関連している。しかし、この関連が睡眠行動問題にも当てはまるかは不明であり、潜在的なメカニズムもよくわかっていない。英国・バーミンガム大学のIsabel Morales-Munoz氏らは、親から報告された幼児期の睡眠関連問題と11~13歳時の精神疾患およびBPD症状、10歳時のうつ症状に関連する潜在的な影響について調査を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2020年7月1日号の報告。  13年以上フォローアップを行ったAvon Longitudinal Study of Parents and Children birth cohortに参加した1万3,488人を対象に評価を行った。1991年4月1日~1992年12月31日に出産予定日であった英国・エイボン州出身の女性に対し、研究への参加を依頼した。データ分析は、2019年5月1日~12月31日に実施した。12~13歳の精神疾患症状は、Psychosis-Like Symptom Interviewを用いて評価し、11~12歳のBPD症状は、UK Childhood Interview for DSM-IV Borderline Personality Disorderを用いて評価した。親から報告された、子供の月齢および年齢が6、18、30ヵ月、3.5歳、4.8歳、5.8歳時における、夜間の睡眠時間、中途覚醒頻度、就寝時間、睡眠習慣の規則性を評価した。

新型コロナ重症例、デキサメタゾンで28日死亡率が低下/NEJM

 英国・RECOVERY試験共同研究グループのPeter Horby氏らは 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、侵襲的人工呼吸器または酸素吸入を使用した患者に対するデキサメタゾンの投与が28日死亡率を低下させることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年7月17日号に掲載報告。なお、この論文は、7月17日に改訂された厚生労働省が発刊する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第2.2版」の“日本国内で承認されている医薬品”のデキサメタゾン投与の参考文献である。  この研究では、2020年3月19~6月8日の期間にCOVID-19入院患者へのデキサメタゾン投与における有用性を把握するため、非盲検試験が行われた。

認知症関連の行方不明発生とその後の死亡の関連因子

 認知症患者の増加に伴い、認知症に関連する行方不明やその後の死亡が深刻な問題となっている。しかし、認知症関連の行方不明発生率、その後の死亡率、リスク因子についてはよくわかっていない。国立循環器病研究センター研究所の村田 峻輔氏らは、日本の都道府県別に集計されたデータを用いて、生態学的研究を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年6月27日号の報告。  2018年の警察庁の統計より、認知症関連の行方不明とその後の死亡に関するデータを抽出し、これらに影響を及ぼす候補変数として、高齢者の特性、ケア、安全性に関する変数を抽出した。候補変数と行方不明発生率および死亡率との関連は、交絡因子で調整した後、一般化線形モデルを用いて分析した。

新型コロナウイルス診療の手引きをアップデート/厚生労働省

 7月17日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に向けに作成する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」を改訂し、2.2版として発表した。  3月17日に第1版が発行されたこの手引きは、5月18日に第2版が発行され、その後も毎月1回のペースで改訂されている。今回の改訂における主なポイントは以下のとおり。 ・国内データ:直近まで更新 ・診断:遺伝子増幅検査(LAMP法・PCR法)の解説を追加 ・診断:抗原定量検査の解説を追加

医師の2020年夏季ボーナス支給、新型コロナの影響は?

 6~7月と言えば、業務に追われるもボーナス支給日を心待ちに日々励んでいる人が多い時期。ところが今年は新型コロナウイルスの影響で状況は一変。外来患者減などが医療施設の経営に大打撃を与え、医療者の給与や将来設計もが脅かされる事態に発展している。  この状況を受け、ケアネットでは7月9日(木)~15日(水)、会員医師1,014名に「夏季ボーナスの支給状況などに関するアンケート」を実施。その結果、全回答者のうち14.6%は本来支給されるはずの夏季ボーナスが不支給または未定であり、支給された方でも25%は例年より減額されていたことが明らかになった。