医療一般|page:1

妊婦へのベンゾジアゼピン使用が妊娠アウトカムに及ぼす影響

 妊娠中のベンゾジアゼピン(BZD)使用は、流産、死産、早産、在胎不当過小など、妊娠アウトカムへの潜在的なリスクに対する懸念がある。しかし、依然としてその使用は増加している。これまでのエビデンスは、不明確な臨床解釈と方法論的バイアスによって限定的であった。台湾・National Cheng Kung UniversityのBrian Meng-Hsun Li氏らは、BZD使用と早産および在胎不当過小のリスクとの関連を、流産と死産のリスクを競合事象として考慮しながら評価した。JAMA Internal Medicine誌2026年2月1日号の報告。  2011~21年の台湾国民健康保険研究データベースを用いて、妊娠0~36週までの妊婦を対象にオープンラベルランダム化試験を実施した。

カカオの有効成分で、スポーツ時の判断力が向上

 サッカーやラグビーなどの競技中は、運動そのものによる身体的疲労に加え、連続的な状況判断による脳の疲労、すなわち認知疲労が生じる。認知疲労は、運動時の精神的疲労感を増強させるだけでなく、運動中の判断力を低下させることが知られている。こうした認知疲労下で有酸素性運動を行った場合、カカオの有効成分であるココアフラバノールを高用量含むサプリメントを摂取することで判断力が向上する可能性があるという研究結果が報告された。早稲田大学スポーツ科学学術院講師の塚本 敏人氏らによる本研究は、Psychopharmacology誌2025年12月号に掲載された。

BRCA1/2病的バリアント保持者におけるリスク低減乳房切除術、生存率を改善するか/JCO

 BRCA1およびBRCA2遺伝子の病的バリアント(pvBRCA1/2)を保持する女性において、両側リスク低減乳房切除術(BRRM)により生存率は改善するのだろうか。今回、英国・マンチェスター大学のAshu Gandhi氏らが、pvBRCA1/2保持女性においてBRRMを選択した群と画像検査によるサーベイランスを選択した群の長期アウトカムを前向きコホート研究で比較したところ、生存率に差はなかったが、乳がん発症率はBRRM選択群が有意に低かったことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年2月4日号に掲載。  本研究は、地域の家族歴・遺伝学サービスを受診しpvBRCA1/2遺伝子検査を受け、pvBRCA1/2を保持していた女性を対象とした前向きコホート研究である。参加者は英国のガイドラインに基づき、BRRMまたはサーベイランスのいずれかを選択した。

日本における経口片頭痛予防薬の有効性、atogepant vs.リメゲパント

 片頭痛は、日本の成人において3.2~8.4%が罹患していると推定されている。近年、片頭痛予防の新たな選択肢として、経口のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬(ゲパント系薬剤)が登場している。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らが実施した日本人患者を対象としたアンカーマッチング調整間接比較試験の結果、atogepantはリメゲパントと比較して、月間片頭痛日数の減少やQOLの改善において、より高い有効性を示すことが判明した。Expert Review of Neurotherapeutics誌2026年1月号に掲載。

若手医師は帰属意識が高い?首都圏出身者も移住希望?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2025年12月23日、『令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』を公表し、都道府県別にみた人口10万人当たりの医師数などが明らかになった。厚生労働省ではこれを基盤として医師偏在をさらに客観的に把握するため、2018年度より「医師偏在指数」も公表している。また、2025年11月に行われた医師偏在対策に関する検討会では、労働時間などの違い、地域ごとの医療需要(医療ニーズ)などといった考慮すべき5つの要素が示され、2027年度からの次期医師確保計画に向けて必要な見直しが検討されるという。

全身治療後のサルベージ手術で示された、進行肺がんの新たな長期生存の可能性

 進行した非小細胞肺がん(NSCLC)では、初診時に切除不能と判断される症例が多く、治療の主軸は全身治療に置かれてきた。しかし、治療反応が良好な一部の患者に対して、全身治療後に外科切除を行うサルベージ手術の意義は十分に検討されていない。今回、全身治療後にサルベージ手術を行った高度に選択された症例を解析した結果、進行肺がんでも長期生存が現実的となる可能性が示された。研究は愛知県がんセンター呼吸器外科部の瀬戸克年氏、坂倉範昭氏らによるもので、詳細は12月17日付で「Thoracic Cancer」に掲載された。  分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、進行NSCLCに対する全身治療成績は大きく向上している。

6種類のSSRIの安全性プロファイル比較

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、現在のうつ病の薬物治療において中心的な薬剤であるが、実臨床における安全性プロファイルの比較に関しては、依然として情報が不足している。エビデンス不足は、臨床の意思決定や患者アウトカムに深刻な影響を及ぼす。中国・Bayer PharmaceuticalsのAdrian Chin Yan Chan氏らは、主要な6つのSSRIに関する安全性を分析するため、グローバルファーマコビジランス分析を実施した。Cureus誌2025年12月8日号の報告。  WHOの個別症例安全性報告データベースであるVigiBaseを用いて、主要な6つのSSRI(セルトラリン、fluoxetine、パロキセチン、citalopram、エスシタロプラム、フルボキサミン)に関する34万2,000件超の報告を含む包括的なファーマコビジランス分析を実施した。

国内初の萎縮型AMD治療薬「アイザベイ」、地図状萎縮拡大の進行を抑制/アステラス

 アステラス製薬は萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)に対する国内初の治療薬として2025年11月に発売された、アバシンカプタド ペゴルナトリウム(商品名:アイザベイ)の発売プレスセミナーを2026年1月29日に開催した。堀 聡志氏(アステラス製薬 メディカルアフェアーズジャパンヘッド)が眼科領域の事業戦略を紹介し、続いて門之園 一明氏(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚再生外科学 主任教授)が「地図状萎縮を伴う萎縮型加齢黄斑変性の病態と治療」をテーマに講演した。  患者QOLを長期に損なう地図状萎縮、早期介入・早期診断が鍵 萎縮型AMDは、網膜の中心部である黄斑の組織が加齢に伴い地図状に萎縮し、不可逆的な視力低下を来す慢性疾患である。

重症円形脱毛症、別のJAK阻害薬への切り替えが約半数の患者で有効

 JAK阻害薬は円形脱毛症治療に大きな変化をもたらしたが、すべての患者が初期治療に反応するわけではなく、治療抵抗性の円形脱毛症におけるJAK阻害薬の切り替えの有用性は、十分に研究されていない。米国・Lahey Hospital & Medical CenterのAubrey Martin氏らによる多施設共同後ろ向き研究の結果、約半数の患者で2剤目のJAK阻害薬により重症度が改善した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2026年1月30日号の報告。  本多施設共同後ろ向き研究では、6ヵ月間以上の治療期間を経て経口JAK阻害薬の切り替えを行った重症円形脱毛症患者108例を対象として解析を実施。治療反応性はSeverity of Alopecia Tool(SALT)を用いて評価した。2剤目のJAK阻害薬に対する効果予測因子を特定するために、多変量ロジスティック回帰分析を行った。

食事からの重金属摂取は2型糖尿病の発症因子か/国立環境研

 糖尿病の発症には、遺伝、環境、生活習慣因子などさまざまな原因がある。とくに食生活において海産物を多く摂取する日本人は、魚介類からごく微量の重金属も摂取している可能性がある。こうした重金属の摂取が、2型糖尿病の発症のリスク因子となるのであろうか。このテーマに関し、国立健康危機管理研究機構 臨床研究センター 疫学・予防研究部の伊東 葵氏らの研究グループは、健康診断の血液サンプルを用いて、水銀、鉛などと2型糖尿病発症との関連性を検討した。その結果、血清水銀濃度が高いほど2型糖尿病のオッズ比が高いことが判明した。この結果は、Clinical Nutrition誌2026年2月号に掲載された。

未治療・再発肺MAC症、吸入アミカシン上乗せの有用性は?(ARISE)

 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)のうち、Mycobacterium avium complex(MAC)を原因菌とするものが肺MAC症である。肺MAC症に対し、国際的なガイドラインではマクロライド系抗菌薬、エタンブトール、リファンピシンによる3剤併用療法が推奨されている1)。また、本邦の指針である『成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2023年改訂―』でも、空洞がなく重度の気管支拡張所見がない場合は、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン)、エタンブトール、リファンピシンの併用が標準治療とされている2)。ただし、この3剤併用療法には忍容性や治療成功率に課題も存在する。

認知症の修正可能な14因子、日本人で影響が大きいのは?

 Lancet委員会では、2017年より認知症の修正可能なリスク因子に関する研究結果を報告しており、最新の研究結果は2024年に公開されている。そこでは、修正可能なリスク因子として14因子が挙げられ、難聴と高LDLコレステロール(LDL-C)が最も影響の大きな因子とされた1)。では、これらの因子の日本人における影響はどうだろうか。その疑問に答える研究結果が、和佐野 浩一郎氏(東海大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授)らによって、The Lancet Regional Health – Western Pacific誌2026年1月号で報告された。本研究では、日本人は難聴が最も影響が大きく、14因子を合計すると最大で38.9%(グローバル研究は45%)が理論上予防可能であることが示された。

点鼻のアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー」発売/アルフレッサファーマ

 アナフィラキシー補助治療薬「ネフィー点鼻液(1mg、2mg)」がアルフレッサファーマから2026年2月12日に発売された。アナフィラキシー補助治療薬としては自己注射製剤のエピペンに続く2剤目となるが、点鼻液での発売は国内初となる。  本製剤はアドレナリンを有効成分とする点鼻液で、蜂毒、食物、および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療薬で、点鼻により簡便な投与が可能である。

アシクロビルとバラシクロビルに重大な副作用追加、エンシトレルビルの併用禁忌一部変更/厚労省

 2026年2月10日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出された。アシクロビル(経口剤、注射剤)とバラシクロビル塩酸塩(以下、バラシクロビル)の「重大な副作用」の追加、エンシトレルビル フマル酸(以下、エンシトレルビル)とロナファルニブとの併用が禁忌とされていたリオシグアトの併用注意への変更などが含まれる。  アシクロビルとバラシクロビルの重大な副作用に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加 単純疱疹や帯状疱疹などの治療に用いられる抗ウイルス薬アシクロビルおよびバラシクロビルについて、国内外の急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価した結果、因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、不安レベルにより有効性に違いはあるか

 うつ病患者でよくみられる不安症状は、治療反応の低下と関連している。ブレクスピプラゾールの8週間第IV相オープンラベル試験「ENGAGE試験」において、抗うつ薬への治療反応が不十分なうつ病患者に対するブレクスピプラゾール0.5~2mg/日補助療法により、ライフ・エンゲージメント、抑うつ症状、不安症状の改善が認められた。大塚カナダファーマシューティカルのFrancois Therrien氏らは、臨床的に関連するサブグループにおけるブレクスピプラゾール補助療法の有用性を、ベースライン不安レベル別に明らかにするため、ENGAGE試験の事後解析を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年12月29日号の報告。

乳がん生存率、アジア系と白人を比較

 乳がん生存率についてアジア系米国人と白人を比較した研究はほとんどない。今回、中国・Qinghai UniversityのYongxin Li氏らがSEERデータを用いて検討したところ、アジア系米国人の乳がん患者は白人の乳がん患者より全生存期間(OS)が有意に良好で、すべてのサブグループにおいても一貫していた。Clinical Breast Cancer誌2026年3月号に掲載。  本研究はSEERデータベース(2010~21年)のデータを用いて、アジア系米国人と白人の乳がん患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。年齢、Stage、分子サブタイプ、治療法などのベースライン特性を調整するため、傾向スコアマッチングを適用した。評価項目はOSおよび乳がん特異的生存期間(BCSS)とした。

てんかん重積状態に対するジアゼパム点鼻液の利点

 てんかん重積状態(SE)においては迅速な対応が予後を左右する。新たに登場したジアゼパム点鼻液(商品名:スピジア)が病院前治療にいかなる変革をもたらすのか、3名の専門家が紹介。迅速な発作終息がもたらす神経学的予後の改善と、患者・家族のQOL向上に向けた新たな可能性が示された。  日本のてんかん患者は42万人と推定されるが、文献等によれば100万人にのぼる可能性がある。その中で、抗てんかん薬でも発作をコントロールできない薬剤抵抗性患者は20~30%いるとされる。

入浴中の死亡、年間で最もハイリスクな日は?

 日本は世界的にみて高齢者の溺死率がきわめて高く、その主な要因は家庭での入浴習慣にある。とくに入浴中の死亡は冬場にピークを迎えるが、全国規模での外気温の影響や、特定の「ハイリスク日」については十分に検討されていなかった。奈良県立医科大学の田井 義彬氏らの研究グループは、全国の26年間のデータを解析した結果、浴槽内溺死リスクの季節性の影響のうち約80%が外気温の影響であり、元日や大晦日にとくにリスクが上昇することを明らかにした。Environmental Health and Preventive Medicine誌2025年号に掲載。  本研究では、1995〜2020年の死亡診断書に基づく住宅での浴槽内溺死データ(ICD-10コードW65)9万9,930件を用いて、全国47都道府県を対象とした時系列解析を実施した。

日本における認知症有病率、2012年から変化〜久山町研究

 2010年代以降、アジア地域における認知症の有病率、発症率、生存率がどのように変化したかを調査した集団ベースの研究は、これまでほとんどなかった。九州大学の小原 知之氏らは、日本のコミュニティにおける37年間の疫学データを用いて、認知症の有病率、発症率、生存率の変化を調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌2025年12月29日号の報告。  65歳以上の日本の地域住民を対象に、認知症に関する横断調査を7回実施した(1985、1992、1998、2005、2012、2017、2022年)。また、1988年(803例)、2002年(1,231例)、2012年(1,519例)に、認知症を発症していない65歳以上の住民を対象とした3つのコホートを設定し、それぞれ10年間フォローアップ調査を行った。認知症有病率の傾向は、ロジスティック回帰モデルを用いて検証した。年齢と性別で調整した後、コホート間で認知症発症率と認知症発症後の生存率を比較するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

気管支拡張症へのbrensocatib、日本人サブグループ解析結果(ASPEN)

 非嚢胞性線維症性気管支拡張症は、慢性的な咳嗽や膿性痰を伴い、増悪を繰り返すことで肺機能低下やQOL低下を招く進行性の炎症性呼吸器疾患である。炎症には好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼが深く関与しており、その活性化を担うのがジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)とされている。そこで、DPP-1阻害薬brensocatibが開発され、非嚢胞性線維症性気管支拡張症患者を対象とした国際共同第III相試験「ASPEN試験」において、増悪を抑制することが示された。本試験の結果から、米国食品医薬品局(FDA)は2025年8月に非嚢胞性線維症気管支拡張症を適応症として、brensocatibを承認した(本邦では承認申請中)。