急性心筋梗塞に多枝冠動脈疾患を合併する患者を対象に、完全血行再建と責任病変のみの治療を比較した患者レベルのメタ解析が、Lancet誌に報告されました。(解説:山地杏平氏)
急性心筋梗塞に多枝冠動脈疾患を合併する患者を対象に、完全血行再建(complete revascularization)と責任病変のみの治療(culprit lesion-only PCI)を比較した患者レベルのメタ解析が、Lancet誌に報告されました。近年、血行動態が安定した急性心筋梗塞患者においては、完全血行再建を行ったほうが良いという報告が多くみられます。本解析では、そのような無作為化比較試験を統合した8,836例の症例を解析しており、その約88%はST上昇型心筋梗塞症例でした。その結果、心血管死および新規発症の心筋梗塞のいずれにおいても、完全血行再建を行った群で有意にリスクが低いことが示されました。急性心筋梗塞と多枝病変を有する患者において、責任病変のみを治療するよりも、非責任病変を含めた完全血行再建を行うほうが、再血行再建や、不安定狭心症による入院などのソフトエンドポイントのみならず、心血管死亡、心筋梗塞といった重大な臨床アウトカムを改善しうることが示唆されたといえます。