パラチフスAに対するワクチンの安全性、有効性と免疫原性(解説:寺田教彦氏)
パラチフスA菌は、世界で年間200万例以上の症例が推定され、腸チフス(Salmonella Typhi)と共に、衛生水準の整っていない地域で依然として重要な公衆衛生上の課題となっている(John J, et al. Burden of Typhoid and Paratyphoid Fever in India. N Engl J Med. 2023;388:1491-1500.)。日本における腸チフスおよびパラチフスの報告数は年間20~30例と少なく、7~9割が輸入症例だが、渡航医療の観点では一定の診療機会が存在する。日本の渡航前外来では、腸チフスワクチンとしてVi多糖体ワクチンが承認されて以降、南・東南アジアを中心とする流行地域への渡航者を対象に接種が行われている。