日本におけるロコモの有病率と危険因子が明らかに!ロコチェックの有用性も

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/11

 

 日本において、ロコモティブシンドローム※(LS)の有病率は男性よりも女性の方が高いことが、弘前大学大学院 佐々木 英嗣氏らにより報告された。また、著者らは、LSの強力な危険因子は画像上の変形性膝関節症(膝OA)であること、LS患者は骨格筋量の減少、バランスと柔軟性が低下していること、ロコチェックは初期段階の関節障害を見つけることができ、LSの予防介入に有用であることも明らかにした。Journal of orthopaedic science誌オンライン版2012年11月1日付の報告。

 本研究は、日本人におけるLSの有病率をロコチェックにより明らかにし、膝OAと腰部脊椎症、メタボリックシンドロームとLSとの関連について調べることを目的として行われた。
2010年にいわき市健康増進プロジェクトに参加した健常人722人(56.6±13.6歳)を対象にロコチェックを行い、日本整形外科学会のLS診断基準に従ってLS群(1つ以上の障害あり)または非LS群(障害なし)に分けられた。

 膝OAと腰椎脊椎症は、Kellgren-Lawrence分類に基づいて診断された。また、メタボリックシンドロームは、内臓肥満に加えて2つ以上の危険因子が存在している場合に診断された。
LSの有病率と画像上の膝OA、腰部脊椎症、メタボリックシンドロームとの関連を統計的に比較した。また、6つの機能検査のデータをLS群と非LS群で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・LSの有病率は、男性で21.2%、女性は35.6%であった。
・LSの有病率は、男女を問わず加齢とともに上昇した。
・LS患者は、48.7%が膝OAを、33.8%が腰部脊椎症を、43.4%がメタボリックシンドロームを、それぞれ合併していた。
・年齢調整後の比較では、非LS群の男女は、LS群の男女よりもFunctional reach test(動的姿勢コントロールの評価法)および長座位体前屈において、有意に優れた測定値を認めた。

※ロコモティブシンドローム(運動器症候群):骨・関節・筋肉など体を支えたり動かしたりする運動器の機能が低下し、要介護や寝たきりになる危険が高い状態。日本整形外科学会が2007年(平成19年)に提唱。

(ケアネット 武田 真貴子)