非小細胞性肺がんのPET-CT診断、臨床効果に疑問符

迅速で正確な病期分類は、非小細胞性肺がん(NSCLC)の治療を選択する上で必須である。コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のBarbara Fischer氏らは、NSCLCの術前病期分類について、PET-CTを行うことによる臨床効果の評価を目的とした無作為化試験を行った。NSCLCのPET-CTによる病期分類は2001年以降盛んに行われるようになっているが、診断制度の改善が治療効果の改善に寄与しているのかは明らかになっていない。NEJM誌2009年7月2日号より。
術前病期分類を、PET-CT群と従来群に無作為化し追跡
試験は、NSCLCの術前病期分類の依頼のあった患者を無作為に、従来の病期分類群(病歴聴取、身体検査、血液検査、胸部と上腹部のCT、気管支鏡検査)と、従来の病期分類+PET-CT群とに割り付け、死亡もしくは12ヵ月以上追跡し行われた。
主要エンドポイントは、無益に終わった開胸術件数。定義付けは、病理学的所見としてステージIIIA(N2)に相当する縦隔リンパ節転移だった、あるいはステージIIIBまたはIVだった場合、もしくは良性肺病変だった場合、試験開胸に終わった場合、また無作為化後1年以内に再発性または死亡した場合とされた。
手術件数(実施数、無益だった件数とも)減少したが、全死亡率は従来群と同等
2002年1月から2007年2月の間で、患者98例がPET-CT群に、91例が従来群に無作為化された。縦隔鏡検査は、患者の94%で実行された。
PET-CT群では検査後、38例が手術不能と同定された。従来群では18例だった。
開胸術が行われたのは、PET-CT群は60例、従来群は73例だった(P=0.004)。そのうち手術が無益だったのは、PET-CT群21例、従来群は38例だった(P=0.05)。
無益ではなかった開胸術件数(PET-CT群:40%、従来群:38%)、および生存率(生存期間中央値 PET-CT群:31ヵ月、従来群:49ヵ月、P=0.29)は、両群で同等だった。
Fischer氏は「PET-CTによる手術前病期分類は、開胸術件数および無益な開胸術件数ともに減らす効果はあったが、全死亡率への影響は確認できなかった」と結論している。
(武藤まき:医療ライター)
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