ICU患者への強化血糖コントロールは死亡率を増加

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/07

 



集中治療室(ICU)患者への強化血糖コントロールは、より緩やかな従来型の管理方法に比べ、死亡率を増加することが明らかにされた。高血糖はICU患者に多く見られるものの、血中グルコース値をどこまで引き下げるべきかについては、これまで意見が分かれていた。今回、6,000人超を対象に行った大規模試験で、ICU患者については、血糖値の目標値を81~108mg/dL(4.5~6.0mmol/L)で管理をするよりも、目標値180mg/dL(10.0mmol/L)以下で管理をしたほうが、死亡率が低下したという。

オーストラリアとニュージーランド、カナダの共同研究で明らかになったもので、オーストラリアGeorge Institute for International HealthのSimon Finfer氏らが、NEJM誌2009年3月26日号(オンライン版2009年3月24日号)で発表した。

90日以内の死亡率は強化群でおよそ1.14倍




同研究グループは、ICUに3日以上入院すると予測された患者6,104人を、ICU入室後24時間以内に無作為に2群に分けた。一方の強化血糖コントロール群では、血糖値の目標値を81~108mg/dLで管理し、もう一方の従来型血糖コントロール群では、同目標値を180mg/dL以下で管理した。主要エンドポイントは、試験開始後90日以内の死亡とした。

その結果、90日以内に死亡したのは、強化群では27.5%に当たる829人だったのに対し、従来群では24.9%に当たる751人だった(オッズ比:1.14、95%信頼区間:1.02~1.28、p=0.02)。

外科的治療と内科的治療でも同様な傾向




被験者のうち、外科的治療を行ったグループと、内科的治療を行ったグループについてそれぞれ見てみても、同様な傾向が見られた(強化群の従来群に対する死亡に関するオッズ比:外科群1.31、内科群1.07、p=0.10)。

さらに、血糖値40mg/dL以下の重度低血糖が見られたのは、従来群の0.5%に対し、強化群では6.8%と、有意に高率だった(p<0.001)。

(當麻 あづさ:医療ジャーナリスト)