待機的心臓手術を受ける患者において、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(10mg)の周術期における4回投与(手術日前日~術後2日目まで1日1回経口投与)はプラセボと比較して、術後7日間の急性腎障害(AKI)の発生を減少させたことが示された。オランダ・アムステルダム大学医療センターのMaartina J. P. Oosterom-Eijmael氏らMERCURI-2 Study Groupが、同国で行った多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。待機的心臓手術を受ける患者の2~50%でAKI発生が認められるが、これを予防する薬物療法は確立されていない。SGLT2阻害薬は先行研究において、腎保護効果がある可能性やAKI発生の減少が示されていた。JAMA誌オンライン2026年7月30日号掲載の報告。
オランダの7施設で無作為化試験、ダパグリフロジン群vs.プラセボ群
研究グループは、待機的心臓手術を受ける患者において、手術前日から開始するダパグリフロジンの投与が、プラセボとの比較において術後7日間のAKI発生を減少させるとの仮説について検証した。
試験はオランダの7施設(大学医療センター2施設、非大学病院5施設)で実施され、対象は待機的心臓手術を受ける18歳以上の成人患者とした。除外基準は1型糖尿病、2型糖尿病でBMI値25未満かつ1日複数回のインスリン注射を施行、ベースラインeGFRが20mL/分/1.73m
2未満、糖尿病性ケトアシドーシスの既往、登録時評価の収縮期血圧100mmHg未満、SGLT2阻害薬服用中、SGLT2阻害薬に対する既知/疑いのアレルギーであった。また、妊娠(可能性を含む)・授乳中、妊娠を希望する女性なども除外された。
被験者を、1日1回経口投与のダパグリフロジン(10mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、手術前日(院内で午後3時~午後8時)に投与を開始し、術後2日目まで合計4回投与した(2回目は手術当日の朝、3回目は術後1日目、4回目は術後2日目)。
主要評価項目は、術後7日間におけるAKI発生の群間差とした。AKIは、Kidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO診断基準)に基づき、術後48時間以内に血清クレアチニン値0.3mg/dL(26.5μmol/L)以上上昇、術後7日以内に血清クレアチニン値が基礎値より1.5倍以上増加、または術後6~12時間の尿量が0.5mL/kg/時未満と定義した。
術後7日間のAKI発生率、28%vs.52%で有意差
被験者登録は2023年6月8日~2025年1月27日に行われ、最終追跡調査日は2025年5月16日であった。
784例が登録・無作為化され(各群392例)、778例(99%)が追跡評価を完了した(6例は手術を受けなかった)。ベースラインの両群の患者特性は類似しており、年齢中央値68歳(四分位範囲[IQR]:61~74)、76%が男性、97%が白人であり、BMI中央値27(IQR:25~30)、eGFR中央値80mL/分/1.73m
2(IQR:67~89)であった。
7日間のAKI発生は、ダパグリフロジン群111/392例(28%)、プラセボ群205/392例(52%)であった(相対リスク:0.54、95%信頼区間:0.45~0.65、p<0.001)。
最も多くみられた術後の有害事象は、心房細動および再手術であった。心房細動の発現率はダパグリフロジン群45%(176/392例)、プラセボ群45%(176/392例)であり、再手術率はそれぞれ11%(43/392例)、10%(39/392例)であった。
(ケアネット)