中高年のp-tau217値、認知機能低下を予測/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/29

 

 米国・Mass General BrighamのRachel F. Buckley氏らは、6件の長期追跡研究に参加した認知機能が正常な中高年のデータを統合し、血漿中リン酸化タウ217(p-tau217)値の増加が、認知機能障害への進行リスクおよび認知機能の低下速度と関連していることを明らかにした。アルツハイマー病(AD)の血液バイオマーカー、とくに血漿p-tau217値は、認知機能が正常な人のAD初期の脳病理を正確に反映することから、認知機能障害への進行リスクとの関連について検証が求められていた。著者は、「今回の結果は、認知機能が正常な高齢者における予後予測モデルの開発、および認知機能低下の長期リスクの推定においてp-tau217が有用であることを支持するものであり、AD治療薬の臨床試験の設計に示唆を与えるものであった。認知機能が正常な個々人の予後予測や臨床的な意思決定に役立てるために、無作為抽出集団でのさらなる検証が必要である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年7月14日号掲載の報告。

p-tau217とAβ PETのデータを有する認知機能が正常な中高年のデータを統合し評価

 研究グループは、北米、日本、オーストラリアにおける6件の観察研究および臨床試験(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative[ADNI]、Anti-Amyloid Treatment in Asymptomatic Alzheimer's[A4]研究とこれに関連する観察研究のLongitudinal Evaluation of Amyloid Risk and Neurodegeneration[LEARN]研究、Harvard Aging Brain Study[HABS]、Wisconsin Registry for Alzheimer's Prevention[WRAP]、Health and Aging Brain Study-Health Disparities[HABS-HD])の参加者で、ベースラインで血漿p-tau217値およびAβ PET画像のデータがあり、認知機能が正常な中年~高齢者のデータを統合した。

 主要アウトカムは、認知機能障害(軽度認知障害、認知症の診断、または臨床認知症評価尺度[CDR]総スコアが2回連続で0.5以上)への進行までの期間であった。副次アウトカムは、前臨床期アルツハイマー病の認知機能複合評価指標(PACC、高値ほど認知機能が良好であることを示す)の経時的変化であった。解析は、2025年9月~2026年5月に実施された。

ベースラインのp-tau217値が高いほど認知機能障害への進行リスクが高い

 解析対象は2,684例で、年齢中央値は69.6歳(四分位範囲[IQR]:66.2~74.2)、女性が1,697例(63%)であった。なお、本研究では年齢基準は設けられておらず、最低年齢は46歳であったが、55歳未満の参加者は95例(3.5%)であった。

 追跡期間の中央値は5.4年(IQR:2.4~7.2)、最長は13.5年であった。

 2,684例中139例(5%)が10年以上追跡を受けており、うち36例(26%)が認知症へ進行した(進行までの平均期間は7.3年)。

 主要アウトカムである認知機能障害への進行は478例に認められ、進行までの期間の中央値は4.1年(IQR:3.2~5.7)であった。

 ベースラインのp-tau217値の1標準偏差(SD)増加は、認知機能障害への進行と有意に関連していた(ハザード比[HR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.30~1.46)。この関連は、Aβ PET-センチロイド値を調整後も認められた(HR:1.32、95%CI:1.24~1.41)。

 また、p-tau217値の高値(+1.1~2.4 SD)群および超高値(>+2.5 SD)群は、低値(<-0.5 SD)群と比較して進行リスクが高く(それぞれHR:2.34[95%CI:1.60~3.44]、HR:4.66[95%CI:3.17~6.85])、進行の絶対リスクは5年間でp-tau217高値群24%(95%CI:20~28)、超高値群38%(95%CI:33~43)であった。

 p-tau217値の増加は、PACCスコアの変化に基づく認知機能の低下速度とも関連していた。全例のベースラインのPACCスコアは-0.8から2.7の範囲であった。PACCスコアの5年間の年換算変化は、p-tau217超高値群で-0.07単位/年(95%CI:-0.10~-0.05)に対し、低値群では0.03単位/年(95%CI:0.02~0.04)であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

東京都健康長寿医療センター

上智大学

大正大学

J-CLEAR評議員