鎌状赤血球症に伴う急性疼痛発作を有する小児および若年成人において、アルギニン療法はプラセボと比較し、疼痛発作消失までの時間を短縮しなかった。米国・エモリー大学のClaudia R. Morris氏らPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)が、同国の小児病院10施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「Sickle Cell Disease Treatment With Arginine Therapy trial:STArT試験」の結果で示された。鎌状赤血球症患者において、急性疼痛発作は救急外来受診や入院の主な原因であるが、米国食品医薬品局(FDA)により承認された治療薬は存在しない。急性疼痛発作中に患者は急性アルギニン欠乏を呈し、発作消失までの時間の延長や非経口オピオイドの総投与量が増加する。単施設で行われた複数の第II相無作為化試験では、アルギニンは安全でオピオイド使用量を減少させ、心肺機能を改善し、入院期間を短縮することが示されていた。JAMA誌オンライン版2026年8月19日号掲載の報告。
アルギニンvs.プラセボで疼痛発作消失までの時間を評価
研究グループは、鎌状赤血球症(遺伝子型を問わず)と確定診断され、非経口オピオイドの投与を要する急性疼痛で救急外来を受診した3~21歳の患者を対象とした。
対象患者を、救急外来での初回オピオイド静脈内投与後12時間以内にアルギニン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、初回投与量として200mg/kgを静注後、8時間ごとに100mg/kg静注を最大21回または退院までのいずれか早いほうまで継続した。
主要評価項目は、疼痛発作消失までの時間(試験薬初回投与から非経口オピオイド最終投与までの時間で定義)、副次評価項目は、非経口オピオイドの総投与量(初回投与から最終投与までの期間における静注モルヒネ投与換算量[mg/kg])、疼痛スコアおよび患者報告アウトカムなどであった。
両群間で有意差はなく、試験は早期中止に
2021年6月21日~2024年6月13日に、274例が無作為化され、このうち271例が試験薬の投与を受けた(アルギニン群129例、プラセボ群142例)。患者背景は、平均年齢14.3歳(SD 4.3)、51%が男性、92%が黒人であった。
第2回中間解析において、疼痛発作消失までの時間中央値は、アルギニン群60.8時間(四分位範囲[IQR]:34.8~109.0)、プラセボ群65.8時間(IQR:31.1~111.1)で、有意差は認められなかった(絶対群間差:7.2時間、95%信頼区間:-21.6~35.9)。したがって、本試験は無益性のため早期中止となった。
副次評価項目である非経口オピオイド総投与量、疼痛スコアおよび患者報告アウトカム、ならびに安全性のいずれも、両群間で有意差は認められなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)