多臓器mCRC、腫瘍減量療法追加で全生存期間は改善するか/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/03/31

 

 多臓器の転移を有する大腸がん(mCRC)患者の治療では、局所治療と全身療法の併用が生存率を改善する可能性が、多くの後ろ向き研究で示唆されている。オランダ・Radboud University Medical CenterのElske C. Gootjes氏らORCHESTRA Study Groupは、この課題を前向きに検討し(ORCHESTRA試験)、緩和的全身化学療法単独と比較して、全身療法に局所治療として腫瘍減量療法を加えても、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)は改善せず、重篤な有害事象が有意に増加することを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年3月16日号に掲載された。

オランダと英国の無作為化第III相試験

 本研究は、オランダの27施設と英国の1施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化第III相試験(Dutch Cancer Societyなどの助成を受けた)。2013年5月~2023年5月に、年齢18歳以上、少なくとも2つの異なる臓器への転移を有するmCRCで、緩和的全身化学療法の1次治療の施行前に、切除、放射線照射、アブレーションにより80%以上の腫瘍減量が可能と判定された患者を登録した。

 これらの患者に、カペシタビン+オキサリプラチン(±ベバシズマブ)療法(CAPOX[B])を3サイクル、またはフルオロウラシル/ロイコボリン+オキサリプラチン(±ベバシズマブ)療法(FOLFOX[B])を4サイクル施行し、部分・完全奏効または病勢安定が得られた患者を、引き続き化学療法のみを受ける群(標準治療群)または腫瘍減量療法後に化学療法を受ける群(介入群)に1対1の比率で無作為に割り付けた。

 介入群は追加の化学療法を受けた後、局所治療を受け、その後はCAPOX(B)またはFOLFOX(B)を、総サイクル数がそれぞれ8および12サイクル以上となるまで継続投与した。

 主要評価項目はOSとし、副次評価項目はPFSおよび重篤な有害事象であった。

OS中央値:標準治療群27.5ヵ月vs.介入群30.0ヵ月

 382例を登録し、標準治療群に190例(年齢中央値64歳、男性67%)、介入群に192例(64歳、69%)を割り付けた。肝転移は、標準治療群で154例(80.2%)、介入群で152例(80.0%)に認められた。

 追跡期間中央値32.3ヵ月の時点で、ITT集団におけるOS中央値は、標準治療群が27.5ヵ月、介入群は30.0ヵ月と、両群間に有意な差はみられなかった(補正後ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.70~1.10、p=0.26)。

 また、PFS中央値は、標準治療群が10.4ヵ月、介入群は10.5ヵ月であった(補正後HR:0.83、95%CI:0.67~1.02、p=0.08)。
 重篤な有害事象は、標準治療群で74例(39%)に発現したのに対し、介入群では101例(53%)と有意に多かった(p=0.006)。

CEAはOS、PFSの予測因子ではない

 ベースラインのCEAは、OS(CEA≦200μg/L[補正後HR:0.84、95%CI:0.66~1.08、p=0.17]、CEA>200μg/L[0.90、0.32~2.52、p=0.84]、交互作用のp=0.87)およびPFS(CEA≦200μg/L[補正後HR:0.83、95%CI:0.66~1.04、p=0.11]、CEA>200μg/L[0.72、0.25~2.06、p=0.54]、交互作用のp=0.64)について標準治療群と介入群で統計学的に有意な差はなく、予測因子ではなかった。

 また、BRAF V600E変異陽性の患者および野生型の患者の双方とも、OSおよびPFSについて両群間に有意な差を認めなかった。RAS変異についても、その有無を問わず、両群間にOSおよびPFSについて有意な差はなかった。一方、ほぼすべての患者がマイクロサテライト安定型であったため、マイクロサテライト不安定性の状態の解析はできなかった。

 著者らは、「緩和的全身化学療法への腫瘍減量療法の追加は、多臓器mCRC患者の標準治療ではないことが明らかとなった。より限局性で転移数が少ない(oligometastatic)大腸がん患者における局所治療の有用性については、さらなる検討が必要であり、現在、臨床試験が進行中である」としている。

(医学ライター 菅野 守)