中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのFei Ma氏らは、中国の40施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「PHILA試験」の主要評価項目である、治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)の最終解析結果を報告した。未治療のHER2陽性転移乳がんに対するトラスツズマブ+ドセタキセルへのpyrotinib併用は、プラセボ併用と比較してPFSの有意な改善が維持されており、全生存期間(OS)においても改善傾向が認められたという。安全性プロファイルは中間解析結果と一致しており、長期追跡期間中に新たな安全性に対する懸念は認められなかった。著者は、「今回の解析結果は、同患者集団に対する治療戦略として、pyrotinib+トラスツズマブによる抗HER2併用療法の有効性を裏付けるものである」とまとめている。BMJ誌2026年3月16日号掲載の報告。
トラスツズマブ+ドセタキセルへのpyrotinibまたはプラセボ併用を比較
PHILA試験の対象は、HER2陽性の再発または転移のある乳がんで、同がんに対する治療歴のない18~75歳の女性患者590例であった。
研究グループは、適格患者をpyrotinib(400mgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、いずれも1サイクルを21日間として1日目にトラスツズマブ(初回は8mg/kg、以降は6mg/kg)およびドセタキセル(75mg/m
2)の静脈内投与と併用投与し、病勢進行、許容できない毒性の発現、同意撤回、治験責任医師の判断または死亡まで継続した。
主要評価項目は、治験責任医師評価によるPFS、副次評価項目は独立評価委員会評価によるPFS、OSなどであった。
無作為化された590例(pyrotinib群297例、プラセボ群293例)全例が、少なくとも1回治療を受け、有効性および安全性の解析対象集団に含まれた。
pyrotinib併用群はPFSの有意な改善が継続、OSも良好
PFSの最終解析は2024年4月30日をデータカットオフ日として実施された。追跡期間中央値はpyrotinib群35.7ヵ月、プラセボ群34.3ヵ月で、それぞれ91例(31%)および26例(9%)が治療を継続しており、pyrotinib群における治験責任医師評価によるPFSの改善は維持されていた(PFS中央値22.1ヵ月[95%信頼区間[CI]:19.3~27.8]vs.10.5ヵ月[95%CI:9.5~12.4]、ハザード比[HR]:0.44[95%CI:0.36~0.53]、名目上の片側p<0.001)。
また、pyrotinib群で59例(20%)、プラセボ群で87例(30%)の死亡が報告され、OSは両群とも中央値には未到達であったもののpyrotinib群が良好であった(HR:0.64、95%CI:0.46~0.89、名目上の片側p=0.004)。
安全性プロファイルは、有害事象の種類、頻度、重症度に関して中間解析と一致しており、新たな安全性の懸念は確認されなかった。ドセタキセルの中止後、有害事象の全体的な発現割合は大幅に減少した。
長期解析のデータカットオフ日である2025年5月30日時点(追跡期間中央値は全体で45.5ヵ月)では、pyrotinib群で85例(29%)、プラセボ群で108例(37%)の死亡が確認され、OSはpyrotinib群が良好であった(HR:0.74、95%CI:0.56~0.98、名目上の片側p=0.02)。両群ともOS中央値には未到達で、5年生存率はそれぞれ66%および58.5%であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)