遺伝性平滑筋腫症腎細胞がん症候群(HLRCC)随伴性または散発性の乳頭状腎細胞がん患者において、ベバシズマブとエルロチニブの併用投与により抗腫瘍活性が得られ、毒性は併用レジメンで既知のものであったことを、米国国立がん研究所のRamaprasad Srinivasan氏らが、単施設で実施した第II相非盲検試験の結果で明らかにした。HLRCCは、フマル酸ヒドラターゼをコードする遺伝子の生殖細胞系列変異によって特徴付けられる遺伝性疾患で、乳頭状腎細胞がんのリスクが高い。進行HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者の多くは疾患進行により死に至るため、有効な治療法の確立が望まれていた。NEJM誌2025年6月19日号掲載の報告。
主要評価項目は奏効率
研究グループは、進行HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がんまたは散発性乳頭状腎細胞がんと診断され、RECIST 1.1に基づく測定可能病変を有するECOG PS 0~2の18歳以上の患者に、ベバシズマブ10mg/kgを2週ごとに静脈内投与するとともにエルロチニブ150mgを1日1回経口投与した。
主要評価項目は、治験責任医師評価による奏効率(ORR)、重要な副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および奏効期間などであった。
2010年5月~2019年5月に、HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者43例(男性30例、女性13例、年齢中央値43歳[範囲19~74])および散発性乳頭状腎細胞がん患者40例(男性26例、女性14例、年齢中央値55.5歳[範囲24~74])が登録され、全例、ベバシズマブまたはエルロチニブを1回以上投与された。
ORRは、HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者72%、散発性乳頭状腎細胞がん患者35%
HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者では、追跡期間中央値71.9ヵ月、治療期間中央値18.6ヵ月において、奏効は31例(72%、95%信頼区間[CI]:57~83)で確認され、うち2例(5%)は完全奏効が得られた。奏効までの期間中央値は1.8ヵ月(範囲:1.7~18.3)、奏効期間中央値は19.3ヵ月(95%CI:12.9~35.9)であった。PFS中央値は21.1ヵ月(95%CI:15.6~26.6)、OS中央値は44.6ヵ月(95%CI:32.7~推定不能)であった。
散発性乳頭状腎細胞がん患者では、追跡期間中央値63.6ヵ月、治療期間中央値8ヵ月において、奏効は14例(35%、95%CI:22~51)で確認され、奏効までの期間中央値は1.8ヵ月(範囲1.7~7.3)、奏効期間中央値は18.4ヵ月(95%CI:13.8~49.7)であった。PFS中央値は8.9ヵ月(95%CI:5.5~18.3)、OS中央値は18.2ヵ月(95%CI:12.6~29.3)であった。
主な治療関連有害事象は、ざ瘡様皮疹(93%)、下痢(89%)、蛋白尿(78%)、主なGrade3以上の治療関連有害事象は高血圧(34%)、蛋白尿(17%)であった。
(ケアネット)