MASHによる代償性肝硬変、efruxiferminは線維化を改善せず/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/23

 

 代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)による代償性肝硬変患者において、efruxiferminは36週時点で線維化の有意な改善を示さなかった。米国・Houston Methodist HospitalのMazen Noureddin氏らが、米国、プエルトリコおよびメキシコの45施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SYMMETRY試験」の結果を報告した。線維芽細胞増殖因子21(FGF21)アナログであるefruxiferminは、MASHによる線維化ステージ2または3の患者を対象とした第II相試験において線維化の軽減とMASHの消失が認められたが、MASHによる代償性肝硬変(線維化ステージ4)の患者における有効性と安全性に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2025年5月9日号掲載の報告。

主要アウトカムは36週時のMASH悪化を伴わない線維化ステージの1段階以上改善

 SYMMETRY試験の対象は、18~75歳、MASHと一致する肝組織学的所見が認められ、Child-Pughスコアが5または6(Child-Pugh分類A)、線維化ステージ4の代償性肝硬変患者であった。

 加えて、2型糖尿病、またはメタボリックシンドロームの構成要素(肥満、脂質異常症、高血圧、空腹時血糖上昇)のうち2つ以上を有していることを要件とした。

 研究グループは、適格患者をefruxifermin 28mg群、50mg群、またはプラセボ群に、1対1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ週1回皮下投与した。

 主要アウトカムは、36週時のMASH悪化を伴わない線維化ステージの1段階以上の改善、副次アウトカムは、96週時の同様の改善、ならびに36週および96週時におけるMASHの消失とした。主要アウトカムはITT解析により評価された。

36週時の改善、プラセボ群13%、efruxifermin 28mg群18%、50mg群19%

 2021年12月21日~2022年12月16日に182例が無作為化され、このうちefruxiferminまたはプラセボの投与を受けた181例がITT解析集団および安全性解析対象集団に含まれた。36週時に154例、96週時に134例で肝生検が行われた。

 36週時にMASHの悪化を伴わず線維化が改善した患者の割合は、プラセボ群で13%(8/61例)、efruxifermin 28mg群で18%(10/57例)(層別因子補正後のプラセボ群との差:3%ポイント[95%信頼区間[CI]:-11~17]、p=0.62)、50mg群で19%(12/63例)(プラセボ群との差:4%ポイント、95%CI:-10~18、p=0.52)であった。

 96週時にMASHの悪化を伴わず線維化が改善した患者の割合は、それぞれ11%(7/61例)、21%(12/57例)(プラセボ群との差:10%ポイント、95%CI:-4~24)、29%(18/63例)(プラセボ群との差:16%ポイント、95%CI:2~30)であった。

 有害事象は、efruxifermin両群で99%、プラセボ群で97%の患者に発現した。efruxifermin群でプラセボ群より発現が多かった有害事象は、主に胃腸障害(下痢、悪心、食欲亢進)であり、ほとんどは軽度または中等度であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)