未治療の切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの治療において、プラセボ+化学療法と比較してsugemalimab(完全ヒト型抗プログラム細胞死リガンド1[PD-L1]抗体)+化学療法は、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・北京大学のXiaotian Zhang氏らGEMSTONE-303 Investigatorsが実施した「GEMSTONE-303試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年2月24日号に掲載された。
中国の無作為化プラセボ対照第III相試験
GEMSTONE-303試験は、切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの1次治療における化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[CAPOX])へのsugemalimab追加の有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年4月~2021年12月に中国の54施設で患者を登録した(CStone Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。
PD-L1の複合発現スコア(CPS)が5点以上、全身療法による前治療を受けていない患者479例を対象とした。これらの患者を、3週間ごとに最長24ヵ月間sugemalimab 1,200mgを静脈内投与する群(241例)またはプラセボを投与する群(238例)に割り付け、全例に3週間ごとに最長6サイクルCAPOXを投与した。
主要評価項目は、OSおよび担当医評価によるPFSであった。
中央判定によるPFS、客観的奏効率も優れる
全例がアジア人であった。sugemalimab群の年齢中央値は63歳(範囲:25~75)、男性が71.4%、PD-L1 CPSが10点以上の患者の割合は53.9%であり、プラセボ群はそれぞれ63歳(26~75)、74.8%、53.8%だった。追跡期間中央値は、それぞれ25.1ヵ月および26.3ヵ月であった。
OS中央値は、プラセボ群が12.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.6~14.1)であったのに対し、sugemalimab群は15.6ヵ月(13.3~17.8)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.75[95%CI:0.61~0.92]、p=0.006)。
また、PFS中央値は、プラセボ群の6.1ヵ月(95%CI:5.1~6.4)に比べ、sugemalimab群は7.6ヵ月(6.4~7.9)であり有意に優れた(HR:0.66[95%CI:0.54~0.81]、p<0.001)。
副次評価項目である盲検下独立中央判定のPFS中央値(PD-L1 CPS 5点以上の患者のHR:0.72[p=0.002]、同10点以上の患者のHR:0.70[p=0.02])、および客観的奏効率(sugemalimab群68.6%vs.プラセボ群52.7%、群間差:15.9%[95%CI:6.6~25.2]、p=0.001)はsugemalimab群で有意に優れ、奏効期間中央値(PD-L1 CPS 5点以上の患者:6.9ヵ月vs.4.6ヵ月、同10点以上の患者:7.2ヵ月vs.5.6ヵ月)もsugemalimab群で良好であった。
新たな安全性シグナルは認めない
Grade3~5の治療関連有害事象は、sugemalimab群で53.9%、プラセボ群で50.6%に発現した。Grade3~5の治療関連有害事象のうち最も頻度が高かったのは血小板数の減少(sugemalimab群18.3%vs.プラセボ群16.0%)であった。
試験薬の投与中止に至った有害事象は、sugemalimab群17.8%、プラセボ群12.2%に認めた。治療関連の重篤な有害事象はそれぞれ33.2%および25.3%にみられ、最も頻度が高かったのは血小板数の減少(6.2%vs.6.8%)、貧血(3.3%vs.2.1%)、好中球数の減少(2.5%vs.1.7%)であった。死亡の原因となった有害事象は、それぞれ7例(2.9%)および9例(3.8%)に発現した。新たな安全性シグナルは認めなかった。
著者は、「PFSのHRはCPS 5~9点の患者で0.78、10点以上の患者で0.58、OSのHRはそれぞれ0.88および0.65であり、これはCPSが高いほどsugemalimabの有益性が優れるとの予測が可能であることを裏付けている」「これらの知見は、PD-L1 CPSが5点以上の患者の1次治療における新たな治療選択肢としてのsugemalimab+化学療法の併用を支持するものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)