オンコール時のインターンは29.9時間勤務、睡眠2.8時間

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/23

 

臨床研修中のレジデントの長時間勤務が、患者への有害なミスにつながるとの指摘を受けて、レジデントの勤務時間をさらに規制することが検討されているが、米国・シカゴ大学医学部のVineet M. Arora氏らは、研修初年度のインターンについても「インターンのオンコール(待機当番)勤務は、睡眠不足と長時間勤務および教育活動への不参加に関連する」と警鐘を鳴らしている。JAMA誌2008年9月10日号より。

約2年間、インターンの勤務状態を観察




2003年7月1日から2005年6月24日にかけて、米国の研究医療センターのインターンを対象に、新規入院患者によるオンコール数と、入院患者への医療サービス数によって、オンコール勤務状態を測定し、オンコール時の睡眠時間減少や交代制勤務時間の延長、教育活動参加への低率との関連を評価した。

主要評価項目は、オンコール時の睡眠期間(腕時計式活動量測定器で推定)、交代制勤務時間(ポケットベルの記録から測定)、講義や臨床実習など教育活動への参加(携帯情報機器から測定)とした。

睡眠不足、長時間勤務、教育活動への不参加に関連すると警鐘




インターン81人のうち56人(69%)が、総合内科の入院患者165人から計1,100回の夜間呼び出しを受けた。

オンコール時の睡眠期間は平均2.8時間(SD=1.5)にすぎず、交代制勤務時間は29.9時間(SD=1.7)に達していた。教育活動に費やされていたのは「自分の時間の11%」。

学期初め(7~10月)に新しくオンコールに参加することは、より睡眠時間が減り(-10.5分、95%信頼区間:-16.8~-4.2分、P<0.001)、より交代制勤務時間が増える(13.2分、3.2~23.3分、P=0.01)ことに関連していた。また入院患者が多いほど、教育活動への参加見込みが低下した(オッズ比:0.82、95%信頼区間:0.70~0.96、P=0.01)。オンコールのある週と学期初めは、最も睡眠不足になり、1回の交代制勤務時間も長くなった。

このためArora氏は「オンコールの負担が増えると、インターンはより睡眠不足になり、交代制勤務時間は長くなり、教育活動への参加率が低下する」と報告している。

(朝田哲明:医療ライター)