CPB心臓手術、4%アルブミン溶液投与の効果は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/04

 

 心肺バイパス術(CPB)による心臓手術を受ける患者において、心肺バイパス用プライミング液と術中・術後の静脈内充填液として、4%アルブミン溶液の投与は酢酸リンゲル液投与と比べ、術後90日の主要有害イベントリスクを有意に低下しなかった。フィンランド・ヘルシンキ大学のEero Pesonen氏らが、1,407例を対象に行った二重盲検無作為化試験の結果を報告した。心臓手術において、アルブミン溶液はクリスタロイドよりも血行動態を維持し、血小板数と体液過剰を抑制する可能性が示唆されていたが、手術に伴う合併症軽減に有効なのか、これまで無作為化試験は行われていなかった。著者は結果を踏まえて「CPB心臓手術を受ける患者における4%アルブミン溶液の使用を支持する所見は得られなかった」とまとめている。JAMA誌2022年7月19日号掲載の報告。

死亡、心筋傷害、急性心不全などの主要有害イベント発生率を比較

 研究グループは2017~20年にかけて、ヘルシンキ大学病院単施設で試験を行った。on-pump冠状動脈バイパス術(CABG)、大動脈弁・僧帽弁・三尖弁術、低体温循環停止を伴わない上行大動脈術、および/またはメイズ手術のいずれかを実施した患者を対象とし、術後90日追跡した(最終フォローアップは2020年4月13日)。

 被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、心肺バイパス用プライミング液と術中・術後24時間までの静脈内充填液として、一方の群には4%アルブミン溶液を、もう一方の群には酢酸リンゲル液を投与した(各群ともに693例)。

 主要アウトカムは、主要有害イベント(死亡、心筋傷害、急性心不全、再開胸、脳卒中、不整脈、出血、感染症、急性腎障害)の1つ以上の発生とした。

有害イベント発生率、アルブミン群37%、リンゲル群34%

 無作為化された1,407例のうち、1,386例が試験を完了した(男性1,091例[79%]、女性295例[21%])。アルブミン群の同溶液投与量中央値は2,150mL(四分位範囲[IQR]:1,598~2,700)で、リンゲル群の同投与量中央値は3,298mL(2,669~3,500)だった。

 1つ以上の主要有害イベントの発生は、アルブミン群257/693例(37.1%)、リンゲル群234/693例(33.8%)だった。リンゲル群に対するアルブミン群の相対リスクは、1.10(95%信頼区間[CI]:0.95~1.27、p=0.20)、絶対群間差は3.3ポイント(95%CI:-1.7~8.4)だった。

 最も多く発生した重篤な有害イベントは、肺塞栓症(アルブミン群11例[1.6%]、リンゲル群8例[1.2%])、心膜切開術後症候群(両群ともに9例[1.3%])、ICU入室または再入院を伴う胸膜滲出液(7例[1.0%]、9例[1.3%])だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)