StageII大腸がん、ctDNAに基づく術後化学療法の選択は有用(DYNAMIC)/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/17

 

 StageII大腸がんの治療において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた治療方針の決定により無再発生存期間(RFS)を損なうことなく術後化学療法の使用を減少できることが、オーストラリア・Walter and Eliza Hall Institute of Medical ResearchのJeanne Tie氏らが行った多施設共同無作為化第II相試験「Circulating Tumour DNA Analysis Informing Adjuvant Chemotherapy in Stage II Colon Cancer trial:DYNAMIC試験」の結果、示された。StageII大腸がんにおける術後化学療法の役割については議論が続いている。術後にctDNAが存在する場合はRFSが非常に短いことを、存在しない場合は再発リスクが低いことを予測するが、ctDNA陽性者に対する術後化学療法の有用性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月4日号掲載の報告。

ctDNAの有無による術後化学療法vs.標準治療のRFSを比較

 研究グループは2015年8月10日~2019年8月2日の期間に、オーストラリアの23施設において、StageII(T3またはT4、N0、M0)の結腸または直腸腺がんでR0切除が得られ、術後化学療法を実施可能なECOG PS 0~2の患者455例を、ctDNAの結果に基づき治療を行うctDNA群または標準治療群に、2対1の割合で無作為に割り付けた(それぞれ302例、153例)。

 ctDNA群では、術後4週および7週時のいずれかでctDNAが陽性であった場合に、フルオロピリミジン単剤またはオキサリプラチンを含む2剤併用療法による術後化学療法を行い、標準治療群では従来の臨床病理学的所見に基づいた治療が行われた(いずれの群も、主治医による選択)。

 有効性の主要評価項目は、2年RFS率(非劣性マージンは、群間差の95%信頼区間[CI]の下限が-8.5%)、主要な副次評価項目は術後化学療法の実施とし、ITT解析を行った。

ctDNA群の標準治療群に対する非劣性を確認、術後化学療法はctDNA群で減少

 追跡期間中央値37ヵ月(ctDNA群37ヵ月、標準治療群38ヵ月)において、術後化学療法を受けた患者の割合は、ctDNA群が標準治療群より少なく(15% vs.28%、相対リスク:1.82、95%CI:1.25~2.65)、2年RFS率に関してctDNA群の標準治療群に対する非劣性が認められた(93.5% vs.92.4%、絶対群間差:1.1%、95%CI:-4.1~6.2)。

 3年RFS率は、術後化学療法を受けたctDNA陽性者で86.4%、術後化学療法を受けなかったctDNA陰性者では92.5%であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)