肥満2型DMへのセマグルチド、68週後の体重減少は約10%/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/03/12

 

 過体重/肥満の2型糖尿病成人患者において、GLP-1アナログ製剤のセマグルチド2.4mg週1回投与は臨床的に意義のある体重減少を達成し、プラセボに対する優越性が示された。英国・レスター大学のMelanie Davies氏らが、体重管理を目的としたセマグルチド2.4mg週1回皮下投与の有効性と安全性を同1.0mg(糖尿病治療として承認された投与量)およびプラセボと比較する、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Semaglutide Treatment Effect in People With Obesity 2:STEP 2試験」の結果を報告した。2型糖尿病患者において、セマグルチド1.0mg投与は体重減少効果があることが示されており、体重管理のための高用量2.4mg投与の有効性が検討されていた。Lancet誌オンライン版2021年3月2日号掲載の報告。

セマグルチド2.4mg週1回皮下投与による体重減少をプラセボと比較

 研究グループは、12ヵ国(欧州、北米、南米、中東、南アフリカおよびアジア)のクリニック149施設において、スクリーニングの半年以上前に2型糖尿病と診断され、BMI≧27かつ糖化ヘモグロビン値7~10%の成人患者を登録し、セマグルチド(週1回皮下投与)2.4mg群、同1.0mg群またはプラセボ群に、血糖降下薬および糖化ヘモグロビン値で層別し1対1対1の割合で無作為に割り付けた。いずれも生活習慣の改善介入とともに68週間投与した。

 主要評価項目は、セマグルチド2.4mg群とプラセボ群との比較における68週時の体重変化率および5%以上減量の達成率で、intention-to-treat解析で評価した。安全性の解析対象集団は、治験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者とした。

セマグルチド2.4mg群の約70%が体重5%以上減少を達成

 2018年6月4日~11月14日の期間に、1,595例がスクリーニングされ、そのうち1,210例がセマグルチド2.4mg群(404例)、同1.0mg群(403例)、およびプラセボ群(403例)に無作為に割り付けられ、intention-to-treat解析に組み込まれた。

 ベースラインから68週時までの平均体重変化率推定値は、セマグルチド2.4mg群-9.6%(標準誤差0.4)vs.プラセボ群-3.4%(同0.4)であった。プラセボ群と比較したセマグルチド2.4mg群の治療群間差推定値は、-6.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-7.3~-5.2、p<0.0001)であった。

 68週時点で、セマグルチド2.4mg群はプラセボ群と比較し、5%以上の減量を達成した患者の割合が高かった(68.8%[267/388例]vs.28.5%[107/376例]、オッズ比:4.88、95%CI:3.58~6.64、p<0.0001)。

 有害事象は、セマグルチド2.4mg群(87.6%)および同1.0mg群(81.8%)で、プラセボ群(76.9%)より高頻度にみられた。消化管系の有害事象は、ほとんどが軽度~中等度であり、発現頻度はセマグルチド2.4mg群256/403例(63.5%)、同1.0mg群231/402例(57.5%)、プラセボ群138/402例(34.3%)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

専門家はこう見る

コメンテーター : 安孫子 亜津子( あびこ あつこ ) 氏

旭川赤十字病院 糖尿病・内分泌内科