喘鳴が見られる幼児が将来、喘息を発症する予測因子が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/04

 

喘鳴の見られる就学前の幼児が、将来、喘息をきたす可能性は、運動で誘発される喘鳴およびアトピー性疾患の既往という2つの因子で予測可能なことが、イギリスWythenshawe病院北西肺研究センター一般診療研究部のPeter I Frank氏らが実施した縦断的研究で明らかとなった。就学前の幼児の25~38%に喘鳴が見られるが、これらの幼児が将来、なんらかの肺疾患をきたす症候は明確でなかった。BMJ誌2008年6月21日号(オンライン版2008年6月16日号)掲載の報告。

5歳未満の幼児を6年以上追跡した縦断的研究




研究グループは、両親が喘鳴の有無を報告した就学前の児童を6~11年間追跡し、予後およびその重要な予測因子について検討した。本研究は、5つの縦断的な郵送質問票調査であり、1993~2004年に実施された喘息およびアレルギー疾患に関する国際研究に基づいている。

Manchester市南部の2つのGP施設から登録された5歳未満の628人の幼児を、6年後以降にフォローアップした。主要評価項目は、親が質問票に記入した呼吸器症状のデータと、その随伴所見とした。

「運動誘発性の喘鳴」「アトピー性疾患の既往」のみが有意な予測因子




628人の幼児のうち、ベースライン時に両親から喘鳴の報告があったのは201人(32%)であり、そのうち27%が2回目の調査で症状(持続性喘息)を報告した。ベースライン時における持続性喘息の有力な予測因子は、運動によって誘発される喘鳴(オッズ比:3.94、95%信頼区間:1.72~9.00、p=0.001)およびアトピー性疾患の既往(4.44、1.94~10.13、p<0.001)のみであった。

両予測因子の発現が見られる場合は、その53.2%が喘息を発症していた。一方の所見のみが見られる場合の喘息発症率は17.2%に低下したが、いずれの所見も認めない場合でも10.9%が喘息を発症していた。「男児」「喘息の家族歴」は、持続性喘息の予測因子ではなかった。

Frank氏は、「ベースライン時の両親の報告による運動誘発性喘鳴およびアトピー性疾患の既往という2つの簡便な予測因子により、喘鳴が見られる就学前幼児が将来喘息をきたす確率を予測しうる」と結論し、「これらの知見は、医師、両親の双方にとって、将来の管理計画を立てるにあたり重要である」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)