軽症COPD患者への電話コーチングの効果は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/22

 

 かかりつけ医を受診した軽症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、行動変容を促すための電話でのコーチングによる介入は、自己管理行動の変化にはつながったものの健康関連QOLの改善には至らなかった。英国・バーミンガム大学のKate Jolly氏らが、軽症COPD患者の自己管理の支援を目的とした社会的認知理論(Social Cognitive Theory)に基づく電話によるコーチングの有効性を評価した多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。システマティックレビューでは、COPD患者の自己管理支援が健康関連QOLを改善し入院の減少に有用であることが示されていたが、このエビデンスは主に2次医療における中等症または重症患者を対象としたものであった。BMJ誌2018年6月13日号掲載の報告。

約600例を対象に、電話によるコーチング群と通常ケア群を比較
 研究グループは、英国4地域のプライマリケア71施設において、スパイロメトリー(呼吸機能検査)で確定診断されたCOPD患者のうち、MRC(Medical Research Council)息切れスケールが1~2の577例を、電話によるコーチングを行う介入群(289例)と通常ケア群(288例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 介入群では、禁煙、身体活動の増加、正しい吸入器の使用法および薬物療法のアドヒアランスに関する自己管理の支援を目的に、2日間訓練を受けた看護師が文書、歩数計および日誌を用いる電話指導を行った(1週時に35~60分、3、7、11週時に各15~20分の計4セッション、16、24週時には標準的な文書を郵送)。通常ケア群には、COPDに関するリーフレットを渡した。
 主要評価項目は、COPD疾患特異的QOL評価尺度であるSGRQ-Cを用いて評価した12ヵ月時の健康関連QOLとし、intention-to-treat集団で線形回帰モデルを用いて解析した。

12ヵ月時の健康関連QOLに有意差なし
 介入群において、電話によるコーチングは予定の86%が実施され、75%の患者は4回の全セッションを受けた。追跡調査を完遂したのは、6ヵ月時92%、12ヵ月時89%であった。

 12ヵ月時のSGRQ-Cスコアは、介入群と通常ケア群で有意差は確認されなかった(平均群間差:-1.3、95%信頼区間[CI]:-3.6~0.9、p=0.23)。6ヵ月時では、介入群において通常ケア群と比較し、身体活動の増加が報告され、ケアプラン(44 vs.30%)、抗菌薬のレスキュー使用(37 vs.29%)、吸入法のチェック(68 vs.55%)をより多く受けていたことが示された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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