高TG血症の新規治療薬、アポリポ蛋白C-IIIを有意に低下/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/08/14

 

 高トリグリセリド血症治療薬として新規開発中のISIS 304801は、トリグリセリド値の有意な低下と関連することが報告された。ベースラインのトリグリセリド値が異なる85例を対象に、カナダ・モントリオール大学のDaniel Gaudet氏らが行った第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験の結果、示された。ISIS 304801は、血漿トリグリセリド値の主要な調節因子であるアポリポ蛋白C-III(APOC3)合成の第2世代アンチセンス阻害薬である。NEJM誌2015年7月30日号掲載の報告より。

ベースライン値が異なる患者に単独、併用、各種用量を投与し検討
 試験は、空腹時トリグリセリド値が350mg/dL(4.0mmol/L)~2,000mg/dL(22.6mmol/L)の未治療患者でISIS 304801を評価すること(ISIS 304801単剤投与コホート)、同様に同225mg/dL(2.5mmol/L)~2,000mg/dLの固定用量のフィブラート系薬を併用する患者でISIS 304801を評価すること(ISIS 304801+フィブラート系薬併用コホート)を目的とした。

 各患者は、ISIS 304801(100~300mgの設定用量)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。投与は週1回、13週間だった。

 主要アウトカムは、血漿APOC3値のベースラインからの変化の割合(%)とした。

単独、併用を問わず、用量依存的かつ長期にわたる低下の効果を確認
 ISIS 304801単剤投与コホートで治療を受けたのは計57例(ISIS 304801投与41例、プラセボ投与16例)、ISIS 304801+フィブラート系薬併用コホートは計28例(同20例、8例)だった。年齢範囲は28~81歳、71%が男性。BMI値は境界型肥満を示すものだった。ベースラインでの両群の血漿トリグリセリド値は、単独群が581±291mg/dL、併用群は376±188mg/dLだった。

 結果、ISIS 304801投与は、単独、併用を問わず、用量依存的かつ長期にわたって血漿APOC3値を低下した。

 低下変化の割合は、単独群では、プラセボ群4.2±41.7%に対し、100mg投与群40.0±32.0%、200mg群63.8±22.3%、300mg群79.6±9.3%。併用群はプラセボ群2.2±25.2%に対し、200mg群60.2±12.5%、300mg群70.9±13.0%だった。

 同様の一致した低下が、トリグリセリド値にもみられた(31.3~70.9%)。

 安全性に対する懸念は、今回の短期試験では確認されていない。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 山下 静也( やました しずや ) 氏

りんくう総合医療センター/日本動脈硬化学会

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学・総合地域医療学寄附講座 教授

J-CLEAR評議員