PCI施術医の技能評価とデータ公開に有用な方法が開発された

提供元:ケアネット

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公開日:2008/05/16

 

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施術医の技能評価やアウトカムの予測にはnorth west quality improvement programme(NWQIP)モデルが有用で、データの提示、公開には累積ファンネルプロットおよびファンネルプロットが使用可能なことが、英国James Cook大学病院循環器科のBabu Kunadian氏らの検討で明らかとなった。英国では心臓外科医の相対的な技能が公開されているが、施術医特異的なPCIデータはまだないという。NWQIPはPCI施行後の心臓の主要有害事象の予測モデルを提供しており、内的および外的妥当性が確立されている。BMJ誌2008年4月26日号(オンライン版2008年3月26日号)掲載の報告。

院内有害事象をNWQIPモデルで解析、ファンネルプロットで提示




研究グループは、PCI施術医の技能の早期評価を目的に、確立されたリスクスコアに基づく予測結果を用いて施術医の院内アウトカムデータを比較する方法として、ファンネルプロットおよび累積ファンネルプロットを用いるアプローチの評価を行った。

対象は、2003年1月~2006年12月に英国北東部の3次医療施設でPCIを実施した5人の循環器医。個々の施術医について、院内で発生した心血管/脳血管の主要有害事象(院内死亡、Q波心筋梗塞、緊急CABG、脳血管障害)をNWQIPの予測リスクを用いて解析した。それぞれの施術医の全体的な技能はファンネルプロットで示し、一連の患者をベースとした個々の施術医の技能は累積ファンネルプロットで提示した。

PCI施行後のイベント発生率の実測値が予測値を下回る




PCIを施行された5,198例のファンネルプロットにより、心血管/脳血管の主要有害事象の平均発生率は全体で1.96%であることが示された。これはNWQIPの予測リスクである2.06%を下回っている。全施術医における心血管/脳血管の主要有害事象の院内発生率の3σ上方管理限界は2.75%以内であり、2σ上方警告限界は2.49%であった。

Kunadian氏は、「心血管/脳血管の主要有害事象の院内発生率は、全体としてイベント発生率の予測値を下回っていた。PCI施行後の院内イベント発生率は、3σ管理限界のファンネルプロットおよび累積ファンネルプロットを用いて個々の施術医のアウトカムを提示し、公開すれば十分にモニター可能であった。上方警告限界(管理限界値2σ)は内的モニタリングに使用可能である」と結論している。

また、「これらのチャートの主たる便益は、イベント発生の実測値と予測値を別個に示すことで透明性を保てることである。このアプローチにより、個々の施術医は自分の技能をモニターできるが、他の同業医の技能評価にも使用できるかもしれない。この方法は、個々の施術医の症例規模(case volume)や症例分類法(case mix)の差にかかわりなく適用可能である」と考察している。

(菅野守:医学ライター)