心臓手術周術期のコルヒチンは有用か?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/26

 

 イタリア・Maria Vittoria病院のMassimo Imazio氏らが、360例について行った試験の結果、心臓手術周術期のコルヒチン投与は、術後3ヵ月の心膜切開後症候群の発生リスクを10%減少することが示された。一方で、術後心房細動や術後心膜炎または胸膜滲出の発生リスク減少は認められず、またコルヒチン投与による胃腸障害発症リスク増大が示され、著者は「胃腸障害発症リスク増大でベネフィットは減少した」とまとめている。JAMA誌2014年9月10日号掲載の報告より。

コルヒチン0.5mgを周術期に1日1~2回投与
 研究グループは、2012年3月~2014年3月にかけて、イタリアの11医療機関を通じて、心臓手術が予定されている360例について無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。周術期コルヒチン投与の、心膜切開後症候群や術後心房細動、術後心膜炎または胸膜滲出の予防効果について分析した。

 被験者を無作為に2群に割り付け、一方の群(180例)にはコルヒチン0.5mg(体重70kg以上は1日2回、体重70kg未満は1日1回)を術前48~72時間に投与を開始し、術後1ヵ月間継続した。もう一方の群(180例)にはプラセボを投与した。

 主要評価項目は、術後3ヵ月以内の心膜切開後症候群の発生だった。副次評価項目は、術後心房細動と術後心膜炎または胸膜滲出の発生とした。

コルヒチン投与の心膜切開後症候群予防に関する治療必要数は10
 試験開始時点での被験者の平均年齢は67.5歳、男性は68.9%だった。

 結果、術後3ヵ月以内における心膜切開後症候群の発生は、プラセボ群が53例(29.4%)に対し、コルヒチン群は35例(19.4%)だった(絶対差:10.0%、95%信頼区間[CI]:1.1~18.7%、治療必要数[NNT]:10)。

 一方、術後心房細動の発生はプラセボ群が75例(41.7%)に対し、コルヒチン群が61例(33.9%)で、両群で有意な差はなかった。また、術後心膜炎または胸膜滲出のいずれかの発生についても、コルヒチン群103例(57.2%)、プラセボ群106例(58.9%)で有意差はなかった。

 有害事象の発生については、プラセボ群21例(11.7%)に対し、コルヒチン群は36例(20.0%)だった(絶対差:8.3%、同:0.76~15.9%、有害必要数[NNH]:12)。両群差の主な要因は胃腸障害がコルヒチン群で増大したことで、プラセボ群12例(6.7%)に対し、コルヒチン群は26例(14.4%)だった(同:7.7%、1.4~14.3%、13)。重大有害事象は報告されなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 大野 貴之( おおの たかゆき ) 氏

三井記念病院 心臓血管外科 部長

J-CLEAR評議員