テロメア長と脳心血管リスク/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/24

 

 白血球テロメア長は、従来血管リスク因子とは独立した冠動脈心疾患(CHD)のリスク因子であり、テロメア長が短い人ほどCHDとの関連が強いことが示された。英国・ケンブリッジ大学のPhilip C Haycock氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。脳血管疾患との関連も評価したが、確実な関連性は得られなかったという。テロメア長は老化に関わると考えられており、慢性疾患のマーカーとして提案されるようになっている。しかし、テロメア長と心血管疾患との関連エビデンスは相反する結果が報告されていた。BMJ誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。

白血球テロメア長とCHD、脳血管疾患との関連をメタ解析
 検討は2014年3月時点でMedline、Web of Science、Embaseをデータソースに行われた。検索論文は、前向きまたは後ろ向き試験で、白血球テロメア長とCHD(非致死的心筋梗塞、CHD死、冠動脈再建術)との関連、または脳血管疾患(非致死的脳卒中、脳血管疾患からの死亡)との関連について報告していたもの、被験者はおおむね一般集団の代表であったものを適格とし、心血管疾患または糖尿病既往をベースとするコホートまたは対照被験者のものは除外した。

脳血管疾患との関連については不確実
 検索の結果、4万3,725例が参加した24本が適格基準を満たした。このうち8,400例が心血管疾患(CHD 5,566例、脳血管疾患2,834例)を有していた。

 テロメア長三分位範囲で比較した結果、最短群は最長群と比べてCHDのプール相対リスクが、全試験対象の分析で1.54(95%信頼区間[CI]:1.30~1.83)であった。前向き試験での分析では1.40(同:1.15~1.70)、後ろ向き試験では1.80(同:1.32~2.44)であった。試験間の不均一性は中程度で(I2:64%、95%CI:41~77%、Phet<0.001)、被験者の平均年齢(p=0.23)、男性参加者の比率(p=0.45)、後ろ向き試験と前向き試験の差は有意ではなかった。

 同様のCHDに関する所見は、以下の限定的な試験を組み込んだメタ解析においても示された。従来血管リスク因子で補正後の試験を対象とした解析(相対リスク:1.42、95%CI:1.17~1.73)、200症例以上試験を対象とした解析(同:1.44、1.20~1.74)、試験の質の評価が高かった試験を対象とした解析(同:1.53、1.22~1.92)、出版バイアスを修正した分析(同:1.34、1.12~1.60)。

 脳血管疾患のプール相対リスクは1.42(1.11~1.81)であった。試験間の不均一性は有意ではなかった(I2:41%、95%CI:0~72%、Phet=0.08)が、テロメア長が短いことと脳血管疾患との関連は、前向き試験(相対リスク:1.14、95%CI:0.85~1.54)、質の評価が高かった試験(同:1.21、0.83~1.76)で有意であることは認められなかった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 原田 和昌( はらだ かずまさ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 副院長

J-CLEAR理事