心カテの閉塞性CAD診断率、北米の2州で大きな差/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/24

 

 米国・ニューヨーク州の待機的心臓カテーテル検査による閉塞性冠動脈疾患(CAD)の診断率は、カナダ・オンタリオ州に比べ約15%も低いことが、臨床評価科学研究所(トロント市)のDennis T Ko氏らの検討で示された。同氏は「検査対象に含まれる低リスク例の差が原因」と推察している。同検査は、医療コストや診断効率の観点から、対象をより絞り込むべきとの意見がある一方で、重症CAD患者の同定に問題が生じたり、血行再建術が有効な患者を見逃す危険が指摘されている。同氏らはすでに、人口当たりの検査数はニューヨーク州がオンタリオ州の2倍に上り、これは疾病負担や選択基準の違いで説明可能なことを報告しているが、根本的な原因はわかっていなかった。JAMA誌2013年7月10日号掲載の報告。

診断効率、予測発症率の寄与を2州で比較
 研究グループは、ニューヨーク州とオンタリオ州における心臓カテーテル検査による閉塞性CADの診断効率を評価し、予測発症率に基づく検査対象の選択状況の比較を目的とする観察試験を行った。

 解析には、New York Cardiac Catheterization DatabaseおよびCardiac Care Network of Ontario Cardiac Registryの登録データを使用した。対象は、年齢20歳以上、心疾患の既往歴がなく、2008年10月1日~2011年9月30日までに待機的心臓カテーテル検査を受けた安定期CAD患者とした。

 閉塞性CADの定義は,左主冠動脈の50%以上の狭窄または主要な心外膜血管の70%以上の狭窄とした。また、3枝CADは、左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝、右冠動脈の70%以上の狭窄と定義した。

診断率:30.4 vs 44.8%、予測発症率50%以上の割合:19.3 vs 41%
 ニューヨーク州は1万8,114例、オンタリオ州は5万4,933例が解析の対象となった。ニューヨーク州の患者のほうが若く(平均年齢:61.2 vs 63.7歳、p<0.001)、女性が多かった(45.3 vs 39.0%、p<0.001)。典型的な狭心症症状がみられない患者もニューヨーク州が多かった(55.7 vs 29.3%、p<0.001)。

 心臓カテーテル検査前の非侵襲的な心筋虚血評価の施行率はオンタリオ州のほうが高く(63.2 vs 75.1%、p<0.001)、虚血評価例のうち高リスクと判定された患者はオンタリオ州が著明に高率だった(4.7 vs 50.9%、p<0.001)。施設の特徴にも差があり、PCIやCABGも施行可能な病院で心臓カテーテル検査を受けた患者はオンタリオ州のほうが多かった(56.9 vs 73.2%、p<0.001)。

 心臓カテーテル検査施行例における閉塞性CADの診断率は、ニューヨーク州が30.4%と、オンタリオ州の44.8%に比べ有意に低かった(p<0.001)。左主冠動脈病変または3枝病変の診断率も、ニューヨーク州は7.0%であり、オンタリオ州の13.0%よりも有意に低かった(p<0.001)。

 ニューヨーク州では、閉塞性CADの予測発症率が低い患者に対する心臓カテーテル検査施行率が高かった。たとえば、予測発症率が50%以上の患者に対する施行率はニューヨーク州が19.3%と低値であったのに対し、オンタリオ州は41%に達していた(p<0.001)。

 30日粗死亡率は、ニューヨーク州が0.65%(90/1万3,824例)であり、オンタリオ州の0.38%(153/4万794例)に比べ有意に高率であった(p<0.001)。

 著者は、「ニューヨーク州では心臓カテーテル検査による閉塞性CADの診断率が低く、これは検査対象に予測発症率の低い患者が多く含まれるためと考えられる。施行件数がニューヨーク州で多い点も、検査対象に低リスク例が多く選択されていることの反映であり、コストもニューヨーク州のほうが高額と推測される」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)