妊婦への禁煙支援としてニコチンパッチ療法は有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/03/14

 



妊婦への禁煙行動療法に加えてのニコチンパッチ使用(16時間につき15mg)の有効性と安全性について、英国・ノッティンガム大学のTim Coleman氏らによる二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、出産までの禁煙率を有意に高めることはなかったことが報告された。有害な妊娠または分娩アウトカムのリスクを有意に高めることもなかったという。ただし、本試験は被験者の治療コンプライアンス率が介入群7.2%、プラセボ群2.8%と低く、安全性評価については「大幅に制限された」と結論している。ニコチン置換療法は妊婦以外の人の禁煙には効果的であることが示されており、妊婦への使用も広く推奨されているが、これまでの試験は規模が小さくエビデンスは不足していた。NEJM誌2012年3月1日号に掲載された。

行動療法+ニコチンパッチ群、+プラセボパッチ群を比較




研究グループは、2007年5月~2010年2月の間に英国内7病院から、妊娠期間12~24週にある16~50歳で、タバコを1日5本以上吸う妊婦を募集した。参加者は1,050例で、行動療法による禁煙サポートを受けるとともに、ニコチンパッチ(15mg/16時間、521例)またはプラセボパッチ(529例)による8週間の治療を受けるよう無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、禁煙開始から分娩までの日数で、禁煙は呼気中の一酸化炭素または唾液中コチニン測定値によって確認した。安全性については、有害な妊娠と分娩アウトカムでモニタリング評価された。
両群で禁煙率に有意差なし、コンプライアンスも低調




禁煙した日から分娩までの禁煙率は、ニコチン置換療法を受けた群9.4%とプラセボ群7.6%と、両群に有意差は認められなかった。ニコチン置換療法群の非補正オッズ比は1.26(95%信頼区間:0.82~1.96)だった。

ただし、1ヵ月時点での禁煙率は、ニコチン置換群がプラセボ群より高かった(21.3%対11.7%)。

コンプライアンスの割合は低く、1ヵ月以上パッチを使用したのはニコチン置換療法群7.2%、プラセボ群は2.8%に過ぎなかった。

有害な妊娠と分娩アウトカムの発生率は、両群で同程度だった。

(朝田哲明:医療ライター)