60歳時のPSA値で、前立腺がん死亡・転移の生涯リスクが予測できる

提供元:ケアネット

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公開日:2010/10/01

 



60歳時の前立腺特異抗原(PSA)値から、転移と前立腺がん死の生涯リスクが予測できるとの報告が、米国Sloan-Kettering記念がんセンター(ニューヨーク)のAndrew J Vickers氏らにより発表された。また、その際のPSA値が中央値(≦1 ng/mL)以下の場合、前立腺がんが潜んでいる可能性はあるものの、生命を脅かすようなことはないとも述べ、「それら男性はさらなるスクリーニングは免除されるべきで、それよりもPSA値がより高い群に照準を合わせるべき」と結論づけている。PSAスクリーニングは、前立腺がんの早期発見のため広く行われるようになっているが、過剰診断を招いていることが無作為化試験で示されたり、70歳男性の40%近くが前立腺がんを有していると推定されており、研究グループは「前立腺がんの有無ではなく、症状を引き起こすのか生命を縮めるのかが重要」として、検査値とその後の臨床転帰との関連を調べた。BMJ誌2010年9月18日号(オンライン版2010年9月14日号)より。

スクリーニングと化学的予防のリスク層別化が課題




研究グループは、60歳時にPSAスクリーニングを受けその後はスクリーニングを受けていない集団で、PSA値とその後の前立腺がん臨床症状との関連を評価すること、スクリーニングと前立腺がんに対する化学的予防療法がリスク層別化をできたのかどうかを評価するため、ケースコントロール研究を行った。

本研究は、一般集団をベースに症例1対対照3の割合でマッチングを図ったネステッドケースコントロール研究で、Malmo Preventive Projectに参加するスウェーデン人男性を対象とした。1981年の60歳時に血液サンプルを採取され、National Board of Health and Welfareにがん登録された1,167例で、85歳まで追跡された。

主要評価項目は、転移または前立腺がんによる死亡とした。

>2ng/mL群が前立腺がん死の90%を占める




本研究期間中のスクリーニング実施率は低かった。

転移は43例、前立腺がん死は35例だった。

60歳時点のPSA濃度は、前立腺がん転移(曲線下面積0.86、95%信頼区間:0.79~0.92、P<0.001)、前立腺がんによる死亡(同0.90、0.84~0.96、P<0.001)との関連が認められた。なお、曲線下面積値(0~1)は大きいほど試験成績は良好であることを示す。

致死性前立腺がんの発症は、検査値四分位範囲の最高群(>2ng/mL)のごく少数の男性だけだった。またそれら男性で、前立腺がん死の90%(95%信頼区間:78%~100%)を占めていた。反対に、中央値かそれ以下(≦1 ng/ml)の60歳男性では、前立腺がんの臨床症状との関連はなさそうだった(85歳時の転移:0.5%、前立腺がん死:0.2%)。