アイスホッケージュニアリーグ、ボディチェック容認で試合中の怪我3倍超

提供元:ケアネット

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公開日:2010/06/22

 



カナダのアイスホッケージュニアリーグで、ボディチェック(相手の動きに対し体を使って妨害する)行為を容認した場合、容認していない場合と比べて、試合中の怪我の発生リスクが3倍超に増大することが明らかにされた。カナダRoger Jackson Centre for Health and Wellness ResearchのCarolyn A. Emery氏らが、カナダの二つの州のリーグを対象に前向きコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月9日号で発表した。

アルバータ州の試合中の怪我発生リスク、ケベック州の3.26倍




同氏らは、2007~2008年シーズン中、カナダのアルバータ州とケベック州の11~12歳を対象にしたアイスホッケー・リーグ「Pee Wee」の選手、合わせて2,154人について追跡した。アルバータ州は74チーム(1,108人)、ケベック州は76チーム(1,046人)だった。ボディチェックについて、アルバータ州では容認しているが、ケベック州では違反行為となっている。

追跡期間中の怪我は、アルバータ州で241件(うち脳震盪は78件、試合や練習の曝露時間合計:8万5,077時間)、一方ケベック州では91件(うち脳震盪は23件、同:8万2,099時間)だった。

アルバータ州とケベック州の、試合中の怪我の件数はそれぞれ、209件と70件で、罹患率比は3.26(95%信頼区間:2.31~4.60)だった。

脳震盪や重度の怪我発生リスクも、それぞれ3.88倍と3.30倍




また、アルバータ州とケベック州の、試合中の脳震盪の件数はそれぞれ、73件と20件で、罹患率比は3.88(同:1.91~7.89)だった。さらに、プレイできない期間が7日超に及ぶ重度の怪我発生に関する、アルバータ州のケベック州に対する罹患率比は、3.30(同:1.77~6.17)、同期間が10日超に及ぶ重度の脳震盪の罹患率比は、3.61(同:1.16~11.23)だった。

アルバータ州のリーグでボディチェックを違反とすることで、減らすことのできる試合中の怪我の絶対件数は、1,000プレイ時間中2.84(同:2.18~3.49)件、脳震盪の件数は1.08(同:0.70~1.46)件だった。

なお、練習中の怪我の発生リスクについては、両州で有意差はみられなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)